糖尿病の頭痛は低血糖のサインでまず血糖値と重なる症状を確かめる

糖尿病の頭痛は低血糖のサインでまず血糖値と重なる症状を確かめる

糖尿病の治療中に出る頭痛は、低血糖のサインの一つです。

意識がはっきりしないときは口には何も入れず、すぐ救急車を呼びます。

判断に使うのは、頭痛そのものより一緒に出ている症状と血糖値です。

ここからは、頭痛と低血糖の関わりと、その場で取る対処を取り上げます。

この記事でわかること
  • 頭痛は動悸や発汗と並ぶ体からの警告
  • 血糖値70mg/dL以下は体が出す合図
  • 血糖値が50mg/dLより低いと意識のない状態もある
  • 意識が無いときは口には何も入れない
  • 飲み込める場合はブドウ糖10gをすぐに
  • 血糖値が高いほうでは頭痛の名が挙がらない
  • 脱水の日の非ステロイド性抗炎症薬は急性腎不全の引き金

参照元:低血糖 | 国立国際医療研究センター 糖尿病情報センター

目次

糖尿病の頭痛が出たその場で確かめる5つの順番

糖尿病の頭痛が出たその場で確かめる5つの順番

頭痛に気づいたとき最初に行うのは、血糖値の測定です。

その場で確かめる点は、次の5つの順番にまとまります。

確かめる順番
  1. 血糖値を測れる場合は測る
  2. 動悸や発汗、手足のふるえが一緒に出ていないか
  3. 意識がはっきりしているか
  4. 飲み込めるか
  5. 吐き気や腹痛、強いのどの渇きが重なっていないか

動悸や発汗、手足のふるえが頭痛に重なるときは、血糖値を下げる薬を使っている場合の低血糖を疑います。

頭痛の原因は幅広く、糖尿病だけで説明がつくわけではありません。

血糖値で説明がつかない頭痛や、いつもと様子の違う頭痛が出た場合は、医療機関を受診してください。

参照元:低血糖 | 国立国際医療研究センター 糖尿病情報センター

救急車を呼ぶ場面とブドウ糖を取ってよい場面の分かれ目

救急車を呼ぶ場面とブドウ糖を取ってよい場面の分かれ目

意識がはっきりせず飲み込めないときは、口には何も入れずに救急車を呼びます。

状態対応
意識がはっきりしない口には何も入れない
{痙攣:けいれん}している口には何も入れない
飲み込めない口には何も入れない
上のいずれかその場ですぐ救急車を呼ぶ
意識があり飲み込める次の節の手順へ進む

無理に飲ませると{誤嚥:ごえん}や窒息の原因になるため、その場ですぐ救急車を呼びましょう。

飲み込めない人へブドウ糖や砂糖を水で溶かし、口唇と歯肉の間に塗り付ける方法もあります。

吐き気や腹痛、強いのどの渇きが重なるときも、その場で医療機関へご連絡ください。

迷ったときは、ブドウ糖を与えるより先に救急車を呼びます。

参照元:低血糖 | 国立国際医療研究センター 糖尿病情報センター

意識があり飲み込める場合に取る量と食べ物

意識があり飲み込める場合に取る量と食べ物

飲み込める場合は、ブドウ糖10gか飲料水150〜200mlをすぐに取ります。

意識があり飲み込める場合に取る量と食べ物
場面取るもの量
低血糖と感じたらすぐブドウ糖10g
同上ブドウ糖を含む飲料水150〜200ml
症状が治まったあと炭水化物を含んだ食事早めに
食事まで1時間以上ある炭水化物80kcal程度
食事の時間が近いそのまま食事通常どおり
この場面で避けるものチョコレート糖分の吸収がゆっくり

α-グルコシダーゼ阻害薬を飲んでいる場合、血糖値を上げられるのはブドウ糖だけです。

この薬は糖質の消化と吸収を遅らせるため、砂糖や菓子では血糖値が戻りません。

一時的に血糖値が戻っても、そのあとにまた下がる場合があります。

低血糖が続くときは、その日のうちに医療機関で診察を受けてください。

参照元:低血糖 | 国立国際医療研究センター 糖尿病情報センター

血糖値の段階ごとに入れ替わる低血糖の症状

血糖値の段階ごとに入れ替わる低血糖の症状

血糖値がおよそ70mg/dL以下になると、動悸や発汗として体の反応が表に出ます。

血糖値の段階ごとに入れ替わる低血糖の症状
血糖値の目安症状の分類例として挙がる症状
およそ70mg/dL以下交感神経症状動悸、発汗、手足のふるえ、頭痛
60〜70mg/dL未満自覚し始める範囲ふらつき、めまい、空腹感、脱力感
50mg/dLより低い中枢神経症状強い眠気、意識障害、異常行動、{痙攣:けいれん}、昏睡

交感神経症状は中枢神経症状より先に出るため、前駆症状とも警告症状とも呼ばれます。

頭痛も、意識障害より先に出る前駆症状の一つです。

低血糖を繰り返している人や乳幼児と高齢の人では、症状が出ないまま進む場合があります。

自覚のないまま進む状態が、無自覚性低血糖です。

高齢の人では、認知症と取り違えられる場面もあります。

頭痛が出る人と出ない人がいるため、症状の有無だけで低血糖を否定はできません。

参照元:低血糖 | 国立国際医療研究センター 糖尿病情報センター

参照元:重篤副作用疾患別対応マニュアル 低血糖 | 厚生労働省

高血糖のほうで目立つ口渇と多飲という典型症状

高血糖のほうで目立つ口渇と多飲という典型症状

高血糖の代表的な症状に、頭痛は入っていません。

分類症状
典型的な症状{口渇:こうかつ}、多飲、多尿、体重減少
加わる場合がある症状倦怠感、集中力の欠如
徴候多尿、夜間尿の出現、体重減少
症状が出ない場合がある範囲350〜400mg/dLを超えるまで
高血糖に準じる値空腹時126mg/dL、随時160mg/dL、HbA1c6.5%

ただし高血糖に伴う脱水や体調の変化が頭痛に関わる場合もあり、無関係と言い切れる話でもありません。

症状だけで血糖値の高低は判断できないため、測れる場合は血糖値そのものを確かめます。

自己測定をしている場合は、主治医から示された範囲を超える値が続くときに早めにご相談ください。

参照元:重篤副作用疾患別対応マニュアル 高血糖 | 厚生労働省

吐き気や腹痛が重なるときに疑う急性合併症

吐き気や腹痛が重なるときに疑う急性合併症

吐き気や腹痛が頭痛と重なるときは、急性合併症を疑います。

合併症血糖値様子きっかけ
糖尿病ケトアシドーシス250mg/dL以上のどの渇き、多飲、多尿、全身のだるさ、腹痛、吐き気感染症、治療の中断、甘いジュースの飲みすぎ
高浸透圧高血糖症候群600mg/dL以上著しい高血糖と極度の脱水、意識障害肺炎や尿路感染症、嘔吐や下痢による脱水

糖尿病ケトアシドーシスは、ひどいときに昏睡状態へ陥ります。

高浸透圧高血糖症候群で意識を{朦朧:もうろう}とさせるのは、極度の脱水です。

数値だけで判断はできず、吐き気や腹痛と脱水、意識の状態を合わせて確かめます。

頭痛のほかにこうした症状が重なる場合は、様子を見ずに医療機関を受診してください。

参照元:糖尿病の急性合併症のはなし | 国立国際医療研究センター 糖尿病情報センター

市販の鎮痛薬を選ぶ前に確かめたい腎臓の働き

市販の鎮痛薬を選ぶ前に確かめたい腎臓の働き

市販の鎮痛薬は、腎臓の状態を確かめてから選んでください。

危険因子この因子へのはたらきかけ
高齢年齢そのものは変えられない
もともとの腎機能の低下もともとの低下は変えられない
脱水水分の取り方と早めの受診で下げられる
発熱受診で対処できる
市販の鎮痛薬を選ぶ前に確かめたい腎臓の働き

市販の解熱鎮痛薬に多い非ステロイド性抗炎症薬は、腎臓の血流を通じて急性腎不全の引き金になり得ます。

高血糖で尿の量が増えている日は、危険因子の脱水がそこへ重なります。

市販薬には非ステロイド性抗炎症薬のほかにアセトアミノフェンもあり、成分名で見分けてください。

腎機能が落ちると薬の成分やインスリンが体内に残り、低血糖や副作用のリスクが高まります。

現在使っている薬と検査値を、薬剤師や主治医へ伝えてください。

参照元:重篤副作用疾患別対応マニュアル 急性腎障害 | 厚生労働省

参照元:腎症 | 国立国際医療研究センター 糖尿病情報センター

食事の遅れと空腹のままの運動が招く低血糖

食事の遅れと空腹のままの運動が招く低血糖

低血糖が起こるのは、食事と薬と運動がずれたときです。

場面内容
食事量や炭水化物の不足
薬との間隔薬を使ったあとの食事時間の遅れ
運動量や時間が多いときの運動中と運動後
空腹空腹のままの運動
薬の量インスリン注射や飲み薬の量が多かった
そのほか飲酒、入浴

運動で低血糖を起こす人は、空腹時の運動を控えてください。

1型糖尿病の患者さんやインスリンとSU薬を使っている人は、必要に応じて補食をとります。

運転をする人は、ブドウ糖やブドウ糖を多く含む食品を車へ常備します。

無自覚性低血糖があり自分で血糖値を管理できない場合、運転は避けてください。

参照元:低血糖 | 国立国際医療研究センター 糖尿病情報センター

頭痛が出た日に記録して診察で伝える3つの項目

頭痛が出た日に記録して診察で伝える3つの項目

診察で伝える材料は、3つの項目にまとまります。

記録するもの内容
時刻頭痛が出た時刻
食事直前に食べたものと時間
血糖値そのときの値

インスリンの量や飲み薬の回数、頭痛薬を足すか食事を抜くかは、記録ではなく主治医が決める事柄です。

低血糖では頭痛が症状の一つに挙がる一方、高血糖の典型症状にも神経障害の症状にも入りません。

どの状態で起きた頭痛かが伝わると、次に確かめる点の相談が進みます。

自己判断で薬の量を変えると、かえって低血糖を招く場合があります。

頭痛が続く場合や意識が{朦朧:もうろう}とする場合は、記録を持参の上で主治医へご相談ください。

参照元:重篤副作用疾患別対応マニュアル 低血糖 | 厚生労働省

参照元:神経障害 | 国立国際医療研究センター 糖尿病情報センター

この記事の監修者

大学病院で糖尿病・内分泌内科の臨床医として経験を積み「リサーチマインドを持った診療」をモットーに日々研鑽を積んでまいりました。当院が少しでもあなた様のお役に立つことが出来れば幸いです。

■経歴
平成21年3月 金沢医科大学医学部医学科卒業
平成21年4月 杏林大学病院 初期臨床研修医
平成26年1月 金沢医科大学病院 糖尿病・内分泌内科学教室
平成30年4月 金沢医科大学病院 助教
平成30年9月 金沢医科大学大学院医学研究科 博士課程修了
令和3年1月 金沢医科大学病院学内講師
令和5年6月 Gran Clinic(石川県金沢市)院長

■所属学会
日本内科学会 認定医
日本糖尿病学会 専門医
日本抗加齢医学会 専門医
日本腎臓学会
日本内分泌学会

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