血圧と血糖値が両方高い状態が身体にもたらすリスクと適切な改善方法を紹介

血圧と血糖値が両方高い。身体へのリスクと適切な改善方法

健康診断の結果から血圧と血糖値の両方が高いと診断された場合、どう改善すべきかわからない人もいるでしょう。

血圧は高血圧、血糖値は高血糖から糖尿病に発展する可能性があるため、どちらも改善が必要です。

血圧と血糖値の改善は片方ずつ行うよりも、両方を調整して同時に改善したほうが良い場合があります。

この記事では、血圧と血糖値が両方高い状態について、傷病の発症リスクや適切な改善方法などをまとめました。

この記事でわかること
  • 血圧と血糖値が両方高い状態は血管に対する負担が増える
  • 血管の負担は糖尿病三大合併症や動脈硬化などの発症リスクを高める
  • 生活習慣の見直しが血圧や血糖値を下げる
  • 血圧や血糖値の管理目標を目安に個人に合わせた目標値を設定する
  • 栄養バランスの良い食事を規則正しく摂取すると血圧や血糖値を下げられる
  • 有酸素運動が血圧やインスリンの働きに作用する
  • 血圧や血糖値の詳しい状態を把握するために病院で検査や診察を受ける

健康診断で問題なかった人も、将来的な高血圧や高血糖を防ぐ対策として、参考にしてみてください。

目次

血圧と血糖値の数値が両方高い状態は血管の負担が大幅に増える

血圧と血糖値の数値が両方高い場合、2つの症状から血管の負担が大幅に増えて、動脈硬化や合併症を引き起こす可能性があります。

血圧は心臓から送り出した血液が、血管の壁を押すときの圧力を指す数値です。

高血圧は血管の壁に高い圧力がかかり続けている状態であり、血管が圧力で傷付くと、動脈硬化をはじめとした傷病につながります。

一方、血糖値は血液中のブドウ糖の量を指す数値です。

健康体の人は食事で糖分を摂取した場合、血糖値は一時的に上昇しますが、ホルモンのインスリンの働きで正常な数値に戻されます。

しかし、インスリンが正常に働かない場合は、一度上昇した血糖値を下げきれません。

血糖値が高止まりしたまま、次の食事で糖分を摂取すると、血糖値はさらに上昇して慢性的な高血糖状態が継続します。

高血糖で血液中のブドウ糖が多い場合も、ブドウ糖が血管を傷つけるため、高血圧と合わさると血管に大きな負担がかかります。

血管の負担は臓器や神経などのさまざまな傷病に発展する可能性がある

血管は体内の臓器や神経とつながっているため、血管の負担が増えると、臓器や神経に関連したさまざまな傷病に発展する可能性があります。

血管の負担から発症が想定される主な傷病は、以下のとおりです。

傷病影響を受ける臓器や神経
糖尿病網膜症眼の網膜
糖尿病腎症腎臓
糖尿病神経障害末梢神経
狭心症、心筋梗塞心臓の冠状動脈
脳卒中脳血管
心不全心臓
閉塞性動脈硬化症、末梢動脈疾患、足病変手や足の太い動脈
大動脈瘤・大動脈解離大動脈の壁

糖尿病網膜症糖尿病腎症糖尿病神経障害は、糖尿病の三大合併症と呼ばれています。

慢性的な高血糖から糖尿病を発症して、症状が進行すると、血管を通して眼の網膜や腎臓にも負担がかかります。

心筋梗塞や脳卒中をはじめとしたそのほかの傷病も、高血圧と高血糖が重なったときは、健康体の人よりも発症リスクが高い状態です。

生活習慣の見直しから血圧と血糖値が両方高い状態を同時に改善する

高血圧や高血糖の診断を受けた場合、どちらか片方ずつを治療するのではなく、生活習慣の見直しから両方の改善を行っていきます。

血圧と血糖値が両方高い原因として、以下の状態に当てはまる人がいます。

  • 肥満
  • 栄養バランスの悪い食生活
  • 運動不足
  • 喫煙者
  • インスリン抵抗性が高い体質

インスリン抵抗性が高い体質については、先天的な要因であるため、通常とは異なる治療や改善が必要です。

一方、食生活の乱れや運動不足、喫煙の有無は本人の努力次第で改善できます。

高血圧や高血糖の診断から体質以外が原因と考えられる場合は、医師や管理栄養士と相談しながら生活習慣を改善していきましょう。

血圧と血糖値の管理目標を目安にして個人に合わせた目標値を設定する

血圧と血糖値の管理目標。個人に合わせた目標値を設定

血圧と血糖値を同時に改善する際は、それぞれの管理目標を目安にして、個人に合わせた目標値を設定していきます。

高血圧管理・治療ガイドライン2025における血圧の目標値の目安は、以下のとおりです。

測定場所目標値
診察室血圧130/80mmHg 未満
家庭血圧125/75mmHg 未満

血圧は病院の診察室のほうが緊張感などで数値が高く出る傾向があるため、基本的には家庭血圧を基準に状態を判断します。

過去のガイドラインでは高齢者や持病がある人向けの血圧の目標値がありましたが、2025年版以降は全世代で目標値が統一されました。

一方、糖尿病診療ガイドライン2024におけるHbA1cの管理目標の目安は、以下のとおりです。

目標HbA1c適用の目安
基本目標7.0%未満合併症予防のための標準的な目標
より厳格な管理6.0%未満食事・運動療法のみで達成可能な場合など
緩やかな管理8.0%未満低血糖リスクが高い・高齢・副作用が懸念される場合

HbA1cは、赤血球内のヘモグロビンにブドウ糖が結合した割合であり、一度結合すると約120日間は同じ状態が保たれます。

血糖値は検査日当日の数値しか把握できないため、HbA1cは過去1〜2か月の平均的な血糖状態を反映する指標として使われます。

参照元:高血圧管理・治療ガイドライン2025 – 日本高血圧学会

    糖尿病診療ガイドライン2024 2章 – 日本糖尿病学会

血圧は塩分を控えた食生活から改善を始めて必要に応じて投薬治療を行う

高血圧を改善する際は、塩分を控えた食生活から始めて、必要に応じて投薬治療を行っていきます。

血圧が上がる要因は複数ありますが、病院の診断で最初に推奨される対策は塩分を控えた食生活です。

塩分を過剰摂取している場合、体内の塩分濃度を下げるために腎臓の水分排出が減り、体内の血液量が増加して血圧が上昇します。

肥満や運動不足、喫煙も血圧を上げる可能性があるため、血圧が高い状態が継続していると、医師からそれらの改善も推奨される場合があります。

そのほか、血圧が上昇する原因に挙げられるのは遺伝的要因や加齢、特定の傷病から受ける影響などです。

加齢や生涯にわたって付き合う必要がある傷病は、根本的な改善が難しいため、その場合は血圧降下剤による投薬治療を行います。

血圧降下薬は最初に効果が軽めのものから処方されて、一定期間の服用で血圧が下がらなかった場合は、より効果が強いものに変えていきます。

血糖値は低血糖リスクを考慮しながら食事療法と運動療法で改善する

高血糖を改善する際は、低血糖リスクを考慮しながら、糖尿病における食事療法と運動療法を行います。

日本糖尿病学会のガイドラインでは、代謝障害が中等度以下であれば、初めに食事療法と運動療法を行うと明記しています。

ただし、人によっては糖質の摂取制限や運動量の増加による低血糖リスクも考慮しなければいけません。

高血糖と診断された人でも、急激な糖質の摂取量の変化が発生すると、低血糖リスクを引き起こす可能性があります。

食事療法と運動療法を2〜3か月継続しても血糖値が十分に下がらない場合は、薬物療法の導入が検討されます。

参照元:糖尿病診療ガイドライン2024 2章 – 日本糖尿病学会

血圧や血糖値を下げるために栄養バランスの良い食事を規則正しく摂取する

バランスの良い食事を規則正しく摂取。血圧や血糖値を下げる

血圧や血糖値を下げるために食生活を改善するには、栄養バランスの良い食事を規則正しく摂取できるようにします。

厚生労働省の糖尿病対策における食事療法の基本は、以下のとおりです。

  • 食物繊維を多く含む食品の積極的な摂取
  • 脂質や塩分を控える
  • 1日3食を規則正しく摂取する

食物繊維食後の血糖値の上昇を緩やかにする働きがあるため、ほかの栄養素よりも積極的な摂取が推奨されています。

脂質や塩分を過剰摂取すると生活習慣病を引き起こす一方で、栄養素として身体に一定量は必要です。

そのため、脂質や塩分も完全に摂取を絶つのではなく、個人に合わせた適量を摂取できるように改善します。

1日3食を規則正しく取る習慣は、血糖値の安定した管理に必要です。

食事の回数や時間帯が不規則である場合、血糖値の急激な変動を招くため、1日3食を決まった時間に食べる食生活が推奨されています。

上記は血糖値側の食事療法ですが、血圧を管理するうえでも、塩分を控える栄養バランスや規則正しい食生活は効果的に働きます。

参照元:糖尿病対策 – 厚生労働省

毎日の有酸素運動で血圧の低下やインスリンの活性化を促す

血圧や血糖値を下げるために運動不足を改善する場合、血圧の低下やインスリンの活性化を促せる有酸素運動を取り入れます。

有酸素運動はウォーキングジョギングなど、酸素を使いながら筋肉を動かし続ける運動です。

厚生労働省の高血圧の人を対象にした運動プログラムによると、定期的な有酸素運動は、血圧を低下させる効果が期待できると示されています。

糖尿病の運動療法においても、有酸素運動は脂肪燃焼効果やインスリンの活性化から血糖値を下げる効果があるため、推奨されています。

有酸素運動も食事と同様に毎日の継続から効果を発揮するため、激しい運動をするよりも毎日継続できる運動量で始めてみましょう。

参照元:高血圧の人を対象にした運動プログラム – 厚生労働省

    身体活動・運動 – 厚生労働省

適切な治療を行うために一度は医療機関で検査や診察を受ける

適切な治療を行う。医療機関で検査や診察を受ける

高血圧や高血糖を改善する際は、適切な治療を行うために、一度は医療機関で検査や診察を受けてください。

血圧や血糖値の管理目標は、あくまで目安として用意されており、実際に下げるべき数値は個人によって異なります。

生活習慣の見直しも自己判断で行ってしまうと、かえって数値が増えたり、低血糖リスクなどの別の症状に発展したりする可能性があります。

治療や改善の必要性は、その時点における血圧や血糖値の状態によるため、まずは血液検査や尿検査で正確な数値の把握が必要です。

検査結果から血圧や血糖値を下げる必要性がある場合は、医師や管理栄養士と相談しながら、食生活や運動不足を改善していきましょう。

血圧と血糖値が両方高い場合は生活習慣の見直しから同時に改善する

血圧と血糖値が両方高い場合、血管に対する負担が増えて、高血糖から発展する糖尿病合併症や動脈硬化などの発症リスクが高まります。

健康診断で高血圧と高血糖が同時に見つかった場合は、どちらも食事や運動などの生活習慣の見直しから改善していきます。

血圧と血糖値にはそれぞれ公的なガイドラインが示す管理目標がありますが、実際の目標値は個人に合わせた調整が必要です。

目標値を定めた後は、栄養バランスの良い食事を規則正しく摂取しながら、毎日の有酸素運動で血圧の低下やインスリンの活性化を促していきます。

血圧や血糖値の改善が必要かどうか判断するために、一度は病院で詳しい検査や診察を受けて、医師や管理栄養士の意見を仰いでください。

この記事の監修者

大学病院で糖尿病・内分泌内科の臨床医として経験を積み「リサーチマインドを持った診療」をモットーに日々研鑽を積んでまいりました。当院が少しでもあなた様のお役に立つことが出来れば幸いです。

■経歴
平成21年3月 金沢医科大学医学部医学科卒業
平成21年4月 杏林大学病院 初期臨床研修医
平成26年1月 金沢医科大学病院 糖尿病・内分泌内科学教室
平成30年4月 金沢医科大学病院 助教
平成30年9月 金沢医科大学大学院医学研究科 博士課程修了
令和3年1月 金沢医科大学病院学内講師
令和5年6月 Gran Clinic(石川県金沢市)院長

■所属学会
日本内科学会 認定医
日本糖尿病学会 専門医
日本抗加齢医学会 専門医
日本腎臓学会
日本内分泌学会

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