健康診断で血糖値の高さを指摘された人の中には、テレビやSNSできな粉が体に良いと聞いて気になっている人もいるでしょう。
薬に頼らずに身近な食材で高血糖対策がしたいという考え方は、血糖値が高めの人にとって当然の心理です。
本記事では、きな粉が血糖値に与える影響と正しい取り入れ方、糖尿病の食事療法について解説します。
- 一次情報にきな粉が血糖値を下げるという記載はない
- 食事療法の基本は適正なエネルギー量と栄養バランスが取れた食事
- 低GI食品や食物繊維の摂取が血糖管理に役立つ
- ガイドラインには血糖管理の目標値が示されている
- 食事内容は医師や管理栄養士に相談する
きな粉の血糖値に対する効果を知りたい人、毎日の食事で数値を改善したいと考えている人はぜひ参考にしてみてください。
きな粉が血糖値を下げるという効果は一次情報には記載されていない

きな粉が血糖値を下げるという効果は、日本糖尿病学会や厚生労働省などの公的機関が公表している一次情報には記載されていません。
インターネットやSNS上に出回っている情報は一次情報や二次情報、三次情報に分類されます。
一方、二次情報や三次情報は一次情報を元に第三者が分析や要約をした内容であり、作成者の主観や解釈が含まれています。
血糖管理は、日本糖尿病学会の糖尿病診療ガイドライン2024や厚生労働省のホームページなど、一次情報の確認が重要です。
特定の食材への依存は食事全体の栄養バランスの乱れにつながる
きな粉に限らず、特定の食材への依存は、食事全体の栄養バランスの乱れにつながります。
厚生労働省は糖尿病の食事において栄養バランスが取れた健康食を推奨しており、具体例として主食に主菜と副菜を組み合わせたメニューを挙げています。
参照元:糖尿病の食事 健康日本21アクション支援システム – 厚生労働省
きな粉に依存して食事のメニューが限定されると栄養素も偏り、血糖管理に悪影響を与えるため、食事全体の栄養バランスを整える心がけが大切です。
厚生労働省と農林水産省、文部科学省が連携して作成した食生活指針においても、多様な食品を組み合わせた食事が推奨されています。
食事療法においてきな粉は食事を構成する食材の1つと捉える
食事療法において、きな粉は食事を構成する食材の1つであるという見方が適切です。
テレビやインターネットには血糖値を下げる食品についての情報もみられますが、食品を治療薬のように捉える考え方は避けましょう。
特定の食材を食べるほど健康になるという考え方は体にとって逆効果となるため、血糖管理では食事全体の栄養素の組み合わせが優先されます。
健康効果が期待できる食品も食事を構成する食材の1つである、という見方は特定の食品への依存を防ぎます。
食事療法の基本は適正なエネルギー量と栄養バランスが取れた食事

糖尿病治療における食事療法の基本は、適正なエネルギー量と栄養バランスが取れた食事です。
1日に摂取するエネルギー量の目安は、以下の数式で算出できます。
1日のエネルギー量(kcal)=目標体重(kg)※1×エネルギー係数※2
※1 目標体重
| 年齢 | 算定式 |
|---|---|
| 65歳未満 | 身長(m)×身長(m)×22 |
| 高齢者 | 身長(m)×身長(m)×22〜25 |
※2 エネルギー係数(単位:kcal/kg目標体重)
| 活動状況 | エネルギー係数 |
|---|---|
| 大部分が座位の静的活動である軽い労作 | 25〜30 |
| 通勤や家事、軽い運動を含む普通の労作 | 30〜35 |
| 力仕事や活発な運動習慣などの重い労作 | 35〜 |
ただし、最適なエネルギー量は年齢や合併症の有無などによっても異なるため、受診時に医師に確認しましょう。
参照元:糖尿病の食事のはなし(基本編) – 糖尿病情報センター
血糖管理における食事は栄養バランスが重視され、さまざまな栄養素を適量摂取できる食事内容が理想です。
食事療法といっても特別な食事を用意する必要はなく、食材選びや食事量、食べ方の工夫で血糖値の安定を目指します。
食事療法は極端な制限ではなく地道な取り組みを継続して行う
食事療法は極端な食事量や糖質の制限ではなく、地道な取り組みを継続して行う姿勢が大切です。
体がエネルギー不足に陥ると筋肉が分解されるため、筋肉量が減少して基礎代謝が低下します。
筋肉は糖質の貯蔵庫としての役割も果たしており、筋肉量の減少によってインスリン感受性の低下や血糖値の上昇を招きます。
食事を抜くとエネルギー量を減らせると考える人もいますが、空腹時間が長くなり、次の食後で血糖値が急上昇する恐れがあります。
特に朝食は1日を通して血糖値を安定させる働きがあるため、朝食を抜かないように意識しましょう。
糖尿病に肥満を伴う場合は食事量を調整して減量を目指す
糖尿病に肥満を伴う場合は食事量を調整し、減量を目指す必要があります。
日本医師会は、肥満の程度にあわせた減量の目標値を以下のように示しています。
| 肥満の状態 | 減量目標 |
|---|---|
| 肥満症 | 現体重の3% |
| 高度肥満症 | 現体重の5〜10% |
健康障害または内臓脂肪の蓄積があり、BMIが25以上35未満の場合に肥満症、BMIが35以上の場合は高度肥満症と診断されます。
消費エネルギーよりも食事から摂取するエネルギー量が多いと体重増加や肥満につながるため、食事量の調整が必要です。
内臓脂肪の減少により、インスリンの働きが改善されて血糖管理にも良い影響を与えます。
低GI食品や食物繊維の積極的な摂取が血糖管理に役立つ

低GI食品や食物繊維には血糖値の上昇をおだやかにする効果があり、これらの食品の積極的な摂取が血糖管理に役立ちます。
食品はGI値によって、以下の3つに分類されます。
| 分類 | GI値 |
|---|---|
| 高GI食品 | 70以上 |
| 中GI食品 | 56以上69以下 |
| 低GI食品 | 55以下 |
糖質の吸収速度が遅くなると血糖値の上昇も緩やかになるため、低GI食品は血糖値コントロールに効果的です。
糖尿病診療ガイドライン2024においても、低GI食品の摂取は血糖値コントロールに有効であると示されています。
食物繊維には水溶性と不溶性の2種類がありますが、水溶性食物繊維には糖質の吸収速度を遅らせる働きがあります。
そのため、食事で水溶性食物繊維を積極的に摂取すると食後高血糖や血糖値スパイクの予防に有効です。
不溶性食物繊維に血糖値を直接下げる効果はありませんが、食べ過ぎや便秘の予防に役立ちます。
きな粉はGI値が低く水溶性と不溶性の食物繊維が含まれている
きな粉はGI値が30〜40程度と低く、水溶性と不溶性の食物繊維が含まれているため、血糖管理に役立つ食品です。
そもそもきな粉は大豆を焙煎して粉状に加工したものであり、大豆食品は全般的にGI値が低いという特徴があります。
きな粉に含まれている植物性タンパク質は消化や吸収に時間がかかり、胃の中に長く留まって糖質の吸収を遅らせるため、血糖値の急上昇を抑える効果が期待できます。
きな粉には血糖値の急激な上昇を抑制する効果が期待できますが、一度に多くの量を食べたり、砂糖を入れたりする食べ方はおすすめできません。
毎日の食事では1日に大さじ1〜2杯程度を目安とし、食事の補助としてきな粉を取り入れましょう。
食材の1つとして食事に適量のきな粉を取り入れると、血糖管理に良い影響を与えます。
大豆食品以外にも血糖管理に良い影響を与える食材がある
きな粉をはじめとする大豆食品以外に血糖管理に良い影響を与える食材として、以下のものが挙げられます。
- きのこ類
- 海藻類
- 野菜
- 精製されていない穀物
- 良質なタンパク質
- 乳製品
GI値や食物繊維の含有量は食材によって異なりますが、これらの食材は共通してGI値が低いという特徴があります。
きのこ類や海藻類は食物繊維が豊富でカロリーが低いため、エネルギー量の管理や体重管理に役立つ食材です。
ほうれん草やブロッコリー、オクラなどの野菜は低GI食品に分類されており、食物繊維も摂取できます。
精製されていない穀物は食物繊維が豊富なため、主食の白米に置き換えると血糖値の上昇を抑えられます。
精製されていない穀物の具体例は、以下のとおりです。
- 玄米
- 雑穀米
- 全粒粉パン
- 十割そば
- オートミールなど
タンパク質は糖質の吸収速度を遅らせる以外にも、インクレチンという血糖値の上昇を抑えるホルモンを分泌させる働きがあります。
血糖値が気になる人は加工肉や脂身が多い部位を避け、鶏のささみや胸肉、カツオなどの魚を選ぶと効果的です。
牛乳やヨーグルト、チーズなどの乳製品も低GI食品であり、タンパク質が血糖値の上昇をおだやかにします。
ただし、市販の乳飲料やヨーグルトには糖質が多く含まれている場合があるため、栄養成分表示を確認して糖質が少ない商品を選びましょう。
ガイドラインには血糖管理の目標となる数値が示されている

糖尿病診療ガイドライン2024では、血糖管理の目標となるHbA1cの具体的な数値が示されています。
日本糖尿病学会が示すHbA1cの目標値は、以下のとおりです。
| 目的や状況 | HbA1cの数値 |
|---|---|
| 血糖値の正常化を目指す | 6.0%未満 |
| 合併症を予防する | 7.0%未満 |
| 治療の強化が困難である | 8.0%未満 |
糖尿病治療の目的は、代謝異常の改善による合併症の予防と寿命の延長、生活の質の維持です。
血糖管理を行う際は自分にとって最適なエネルギー量や目標体重、HbA1cの目標値の把握が治療の精度を左右します。
長期間にわたって血糖管理していく上で、具体的な数値は自己管理や治療の進み具合を計る物差しとなります。
自分にとって適切なHbA1cの目標値を知り、目先の情報に惑わされずに冷静に体の状態を把握しましょう。
合併症予防に効果的な目標値はHbA1c7.0%未満である
合併症予防に効果的な目標値はHbA1c7.0%未満であり、この数値は多くの患者にとっての基準となります。
HbA1c7%未満に対応する血糖値は空腹時で130mg/dL未満、食後2時間で180mg/dL未満が目安です。
慢性的に高血糖の状態は血管を損傷させてさまざまな障害を引き起こしますが、HbA1c6.9%未満で細小血管症と呼ばれる合併症が起こるリスクを減らせます。
血糖管理はHbA1c7.0%という数字を意識し、食事療法と運動療法を地道に続けましょう。
患者の病態や血糖管理の状況に応じてHbA1cの目標値は異なる
患者の病態や血糖管理の状況に応じてHbA1cの目標値は異なり、6.0%未満や8.0%未満に設定される場合もあります。
6.0%未満は食事療法や運動療法のみで改善できる場合や、薬物療法中でも低血糖が起こるリスクが低い場合の目標値です。
血糖管理の成果には個人差がありますが、糖尿病予備軍や血糖値が高めと指摘された人は生活習慣の改善によって6.0%未満を達成できる可能性があります。
一方低血糖が起こるリスクが高い場合や、持病があって治療の強化が難しい場合は、目標値が8.0%未満に設定されます。
毎日の食事内容は自己判断を避けて医師や管理栄養士に相談する

毎日の食事内容は自己判断を避け、医師や管理栄養士などの専門家に相談する姿勢が重要です。
医師や管理栄養士は自分では気付かない視点を持っており、公的なガイドラインや医学的根拠に基づいた指導を行っています。
これまで何気なく食べていた食品が血糖値を上げる要因となっている可能性があり、体に良いとされている食材も食べる頻度や食べ方によって体への効果が異なります。
健康診断の結果や食事の記録、服用している薬が記録されたお薬手帳は、治療の方針を決めるための重要な資料です。
医療機関を受診する際は必要な情報を持参して医師と共有し、治療計画を立てる際の参考にしましょう。
糖尿病治療は画一的なものではなく、患者一人ひとりの病態や価値観に合わせて個別で決定されます。
血糖値の安定には治療の継続が重要であるため、医師と患者が話し合い、無理なく続けられる治療計画を立てる必要があります。
ガイドラインや医師の指導に基づいた食事療法で血糖値を安定させよう
血糖値を安定させるには、ガイドラインや医師の指導に基づいた食事療法の実践が効果的です。
きな粉が血糖値を下げるという効果は一次情報には記載されておらず、特定の食品への依存は栄養バランスの乱れにつながります。
食事療法の基本は、適正なエネルギー量と栄養バランスが取れた食事です。
低GI食品や食物繊維の摂取が血糖管理に役立ち、きな粉にはGI値が低く食物繊維が豊富な特徴があります。
糖尿病診療ガイドライン2024には血糖管理におけるHbA1cの目標値が示されており、自分にとって最適な目標値の把握が治療の精度を左右します。
目標値や摂取エネルギーの目安は患者によって異なるため、自己判断せずに医師や管理栄養士に相談しましょう。
正しい情報に基づく食事療法や運動療法の継続が、将来にわたって健康な体と生活の質の維持につながります。
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