糖尿病の治療中でもパンを食べられる!血糖値を安定させるパンの選び方

糖尿病治療中でもパンを食べられる!血糖値を安定させるパンの選び方

糖尿病の食事療法中にパンを食べる際は、血糖値の急上昇を避ける工夫が求められます。

ポイントとなるのは、パンの種類の選択や食べる量の管理、おかずとの組み合わせです。

この記事では、血糖値を安定させるパンの選び方やHbA1cの管理目標、賢い食べ合わせのルールなどを整理します。

この記事でわかること
  • 糖尿病の食事療法中にパンを食べる際は食事全体の総エネルギー量の管理が重要
  • 食物繊維が多いパンを選ぶと血糖値の急上昇を防げる
  • ジャムや菓子パンに含まれる糖質量にも注意が必要
  • HbA1cの目標値に合わせた食事で合併症を防げる
  • たんぱく質や野菜との組み合わせが血糖値コントロールに寄与する

単にパンを制限するのではなく、賢く選択する姿勢が食事療法を長く継続させる出発点となるため、ぜひ参考にしてください。

目次

糖尿病の食事療法では食事のバランスと総エネルギー量の管理が基本

糖尿病の食事療法では、主食と主菜、副菜を組み合わせた食事の設計が基本です。

主食として何を食べるかよりも、食事全体の総エネルギー量と栄養バランスの管理が優先されます。

そのため、血糖値コントロールを意識する際にパン食を避ける必要はありません。

さらに、糖尿病患者の食事療法では、患者の体格や活動量などに応じた個別のプランに基づいた管理が重要です。

主食の種類が異なると、同じ量を食べても食後血糖値の上昇パターンが変わります。

パンを選ぶ判断そのものが問題なのではなく、1回の食事でどれだけの量を食べるか他の食材とどう組み合わせるかという全体設計が、血糖値コントロールの精度を左右します。

血糖値の変動を抑えるためには食物繊維を豊富に含むパンの選択が重要

血糖値の変動を抑える。食物繊維を豊富に含むパンの選択

パンの種類を選ぶ際の基準は、食物繊維の含有量と精製度の高さです。

そもそもパンの原料である小麦粉は、成分の約7割が糖質でできています。

精製された白いパンは食物繊維が少ない分、消化や吸収が速く、食後の血糖値が急激に上昇します。

一方で、未精製の穀物を使用しているライ麦パンや全粒粉パンは食物繊維を多く含むため、糖の吸収速度が緩やかになる点がメリットです。

血糖値コントロール中は、食パンやロールパンを避けてライ麦パンや全粒粉パンを選ぶ意識により、パン食を制限せずに幅広い食事メニューを楽しめるでしょう。

糖尿病治療中はライ麦パンや全粒粉パンなどの未精製の穀物を用いたパンが向いている

先述のとおり、糖尿病の食事療法では、未精製の穀物を用いたパンを選択すると食後の血糖値を安定させられます。

未精製の穀物を用いたパンの種類と特徴は、以下のとおりです。

ライ麦パン・ライ麦を使用して作られている
・小麦粉の約2倍の食物繊維が含まれている
・ビタミンB1が糖質の代謝を促す
全粒粉パン・小麦の表皮や胚芽までそのまま粉状にした全粒粉を使用して作られている
・小麦粉の約5倍の食物繊維が含まれている
・表皮が糖質を包みこんでおり、糖質の分解と血糖値の上昇を遅延させられる
・ビタミンやミネラルなどの栄養素が含まれている
ブランパン、ふすまパン・小麦の表皮であるふすまを使って作られている
・ミネラルや繊維質が豊富に含まれている

いずれも白い食パンに比べて食物繊維やビタミン、ミネラルを多く含み、食後血糖値の上昇を緩やかにする特性を持っています。

ハーバード公衆衛生大学院などの研究グループで実施された看護師健康研究によると、全粒穀物の摂取量が多いグループは、2型糖尿病の発症率が低くなるという結果が示されています。

参照元:Whole Grains – HARVARD T.H. CHAN

血糖値の変動を抑えるにはパンに塗るジャムや油の選択も不可欠

血糖値の管理においてはパンの種類の選択と同様に、パンに塗るジャムや油の選択も重要です。

一般的なジャムには砂糖が多く含まれており、パンの糖質に加えて血糖値を上昇させる要因となり得ます。

ジャムを塗ってパンを食べたい場合には、低糖度の製品を活用すると、味の満足感と健康管理の両立が叶います。

低糖度のジャムとは、砂糖の使用量を通常品より少なくした製品のことです。

スーパーでも複数種類の低糖度ジャムが販売されているため、購入時は意識してラベル表示を確認してみましょう。

さらに、オリーブオイルは糖質量を変えずに風味を添えられる選択肢の1つです。

カロリーオーバーとならないよう、あくまでも適量を意識して取り入れてください。

菓子パンや惣菜パンを避けてエネルギー量や塩分量を管理する工夫も有効

血糖値コントロールを意識したい場合、パンはできるだけシンプルなものを選択する工夫も有効です。

菓子パンや惣菜パンには小麦粉に加えて砂糖や油脂、塩分などが多く含まれており、食パンやロールパンと比較するとエネルギー量が大幅に増えてしまいます。

塩分は血糖値には直接的な影響を及ぼさないものの、塩分過多の食事を続けると、糖尿病の合併症を引き起こす可能性が高くなる点に注意が必要です。

具体的には、以下のようなパンを避けると食事全体のエネルギー量や塩分量を適切に管理できます。

  • あんぱん
  • クリームパン
  • デニッシュパン
  • 焼きそばパン
  • コロッケパン

ベーカリーなどでパンを購入する際は、栄養成分表示の炭水化物量や脂質量、塩分量をしっかりと確認しましょう。

パン食を楽しみながら合併症を予防するHbA1cの目標設定

合併症を予防する。Hba1cの目標設定

パンを含む食事管理の成果は、HbA1cの値として現れます。

HbA1cとは、糖化ヘモグロビンがどの程度の割合で存在しているかを示す指標のことです。

血液中のブドウ糖がヘモグロビンと結合すると、糖化ヘモグロビンへと変化します。

血糖値が高い状態が続くほどHbA1cは高くなり、反対に血糖値が低い状態が続くとHbA1cは低くなります。

日本糖尿病学会が示すHbA1c目標値は、以下のとおりです。

HbA1c(%)HbA1cコントロールの目標
6.0未満適切な食事療法や運動療法のみで血糖正常化を目指す目標
7.0未満合併症予防のための目標
8.0未満低血糖などの副作用が理由で治療強化が困難な場合の目標

参照元:糖尿病診療ガイドライン2024 第2章 糖尿病治療の目標と指針 – 日本糖尿病学会

上記はあくまでも参考値であり、実際の目標値は年齢や合併症の有無、服用中の薬などの条件を考慮して個別に設定されます。

パン食を継続しながらHbA1c目標を達成できているかは、定期検査の数値で確認できます。

目標に届いていない場合は、食べているパンの量や種類、組み合わせる食材の内容などを主治医や管理栄養士と見直す取り組みが必要です。

定期的な検査結果を日々の食事内容に反映させて最適なエネルギー配分を追求する

HbA1cの検査結果は、過去1〜2か月の血糖状態を示しています。

数値が目標より高い場合は、パンを含む主食の量や菓子パンを食べる頻度などの調整が求められます。

反対に、目標を大幅に下回る場合は主食の量が不足している可能性もあるため、エネルギー配分の見直しが必要です。

短期間の取り組みによる改善ではなく長期的な安定維持を目標として、主治医と相談しながら食事管理を行いましょう。

パン食を充実させるおかずの組み合わせと血糖値の上昇を緩やかにする食べ方の工夫

パン食を充実させるおかずと食べ方の工夫

パン食で血糖値の上昇を抑えるためには、血糖値の上昇を緩やかにする働きを持つ食物繊維たんぱく質の摂取がポイントです。

食物繊維の摂取量を増やすには、ライ麦パンや全粒粉パンを選択する以外にも、副菜で野菜やきのこを取り入れる工夫が役立ちます。

日々の食物繊維の摂取量を増やして血糖値を安定させる積み重ねが、長期的なHbA1cの安定に寄与します。

食物繊維の含有量が多い食材の例は、以下のとおりです。

  • ごぼう
  • 枝豆
  • パセリ
  • れんこん
  • きのこ類
  • ドライフルーツ
  • アボカド
  • あずき
  • きなこ
  • 海藻類

パンを食べる際は副菜として根菜サラダやきのこのマリネを組み合わせたり、アボカドやきなこでペーストを作って塗ったりするとよいでしょう。

さらに、肉や魚をはじめとする良質なタンパク質を主菜に取り入れると、少量でも満腹感を得られます。

タンパク質は消化吸収が緩やかであり、食後の血糖値の上昇を穏やかにする効果も期待できます。

たとえば朝食でパンを食べる場合は、ゆで卵や目玉焼き、ツナサラダなどをセットにするスタイルが理想的な食事設計です。

肉や魚はもちろん、卵や豆腐などの低コストで手軽に取り入れられる食材を活用すると、無理なくたんぱく質量を確保できます。

朝食やランチでパンのみを食べている人は、野菜スープやゆで卵などの簡単な1品をプラスできると血糖値の安定に効果的です。

ベジファーストを取り入れるとさらに血糖値の安定効果が期待できる

血糖値コントロールには、食事内容のみでなく、食べる順番も影響を与えます。

食物繊維を多く含む野菜やきのこを食事の最初に食べるベジファーストを実践すると、腸内に食物繊維の層が形成され、後から摂取するパンの糖質の吸収速度が緩やかになります。

ベジファーストとは、以下の順番に食べ進める食事法のことです。

  • 野菜
  • たんぱく質
  • 炭水化物

パン食であっても、サラダやスープなどの野菜を先に食べてからたんぱく質とパンを口にする習慣を身につけると、食後血糖値の急上昇を防げます。

ベジファーストの効果を十分に得るには、野菜を食べてから10分程度時間をおいて炭水化物を口にする食べ方が重要です。

早食いは血糖値の急上昇を招くうえ、食事量の増加にもつながります。

ベジファーストを実践する際は、よく噛んでゆっくり食べる点も心がけましょう。

献立や食べ方の工夫を取り入れて健康的なパン食を楽しもう

パン食は、食べるパンやメニューの選択、食べ方の工夫によって血糖値コントロール中であっても楽しめます。

正しい知識を身につけて食事全体の質を継続的に高めていく意識が重要であり、パン食を避ける必要はありません。

糖尿病患者が管理するHbA1cの数値は、毎食の食事内容や食べる順番、適正な量の管理によって改善されます。

パン食において血糖値コントロールに寄与する取り組みは、以下のとおりです。

  • 未精製の穀物を使用したパンを選択する
  • 低糖度ジャムやオリーブオイルを塗って食べる
  • 惣菜パンや菓子パンを避ける
  • 食物繊維、たんぱく質のおかずを組み合わせる
  • ベジファーストを意識する

糖尿病治療中の人は、主治医と相談しながら、自分の体格や血糖値の推移に合った食事法を実践しましょう。

パンを楽しむ食卓を守りながら食事療法を継続する姿勢が、自分らしい健康な生活の基盤となります。

この記事の監修者

大学病院で糖尿病・内分泌内科の臨床医として経験を積み「リサーチマインドを持った診療」をモットーに日々研鑽を積んでまいりました。当院が少しでもあなた様のお役に立つことが出来れば幸いです。

■経歴
平成21年3月 金沢医科大学医学部医学科卒業
平成21年4月 杏林大学病院 初期臨床研修医
平成26年1月 金沢医科大学病院 糖尿病・内分泌内科学教室
平成30年4月 金沢医科大学病院 助教
平成30年9月 金沢医科大学大学院医学研究科 博士課程修了
令和3年1月 金沢医科大学病院学内講師
令和5年6月 Gran Clinic(石川県金沢市)院長

■所属学会
日本内科学会 認定医
日本糖尿病学会 専門医
日本抗加齢医学会 専門医
日本腎臓学会
日本内分泌学会

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