空腹時血糖120mg/dLは糖尿病の境界型!改善への3ステップを解説

空腹時血糖、120mg/dlは糖尿病の境界型。改善への3ステップを解説

日本糖尿病学会が発表している糖尿病診療ガイドライン2024の基準によると、空腹時血糖の正常範囲は70〜109mg/dLです。

空腹時血糖が120mg/dLの場合は、110〜125mg/dLの境界型に該当します。

境界型は将来糖尿病に移行するリスクが高いため、すぐに行動を起こして改善を目指すのが重要です。

この記事では、境界型と判定された後に取るべき行動を精密検査と生活習慣の改善、受診判断の3つのステップに分けて解説します。

この記事でわかること
  • 空腹時血糖120mg/dLは糖尿病の発症リスクが高い
  • OGTT(75g経口ブドウ糖負荷試験)を受診して病態を把握する
  • 悪化を防ぐには HbA1c7.0%未満を目標として生活習慣を改善する
  • 激しい喉の渇きや多尿などの症状が出た場合はすぐに医療機関を受診する

糖尿病の発症を防ぐには境界型の段階で精密検査を受け、生活習慣を改善する姿勢が最も有効な手段です。

健康診断で空腹時血糖が120mg/dL以上だった人、血糖値が高めの人はぜひ最後まで読んで参考にしてください。

目次

空腹時血糖120mg/dLは境界型に該当し将来の糖尿病発症リスクが高い

健康診断で空腹時血糖が120mg/dLという数値が出た人は、現時点で糖尿病の確定診断ではありません。

しかし、110〜125mg/dLの境界型は正常ではない状態を示しており、糖尿病予備軍ともいわれています。

健常者よりも糖尿病を発症するリスクが高く、放置すると数年以内に2型糖尿病に移行する恐れがあるでしょう。

糖尿病の診断には、以下のような診断基準が用いられます。

  • 空腹時血糖
  • OGTT(75g経口ブドウ糖負荷試験)
  • HbA1c

血糖値が高い人は放置せず、検査や治療を受けて症状の悪化を防ぐのが大切です。

空腹時血糖による判定基準は3つの区分に分類される

日本糖尿病学会の糖尿病診療ガイドライン2024によると、空腹時血糖の判定基準は以下の3つの区分に分類されます。

空腹時血糖判定次の行動
109mg/dL以下正常型定期的な経過観察を継続する
110〜125mg/dL境界型OGTT精密検査を速やかに受ける
126mg/dL以上糖尿病型専門医による治療を開始する

参照元:日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2024」第1章 糖尿病診断の指針

空腹時血糖120mg/dLは、糖尿病型の基準である126mg/dL以上に近い数値です。

糖の処理能力が低下し始めているサインとして受け止め、早めに精密検査を受けてください。

境界型と診断された人も生活習慣の改善で正常型に戻れる

境界型は糖尿病の一歩手前の段階ではありますが、生活習慣の改善で正常型に戻れます。

糖尿病は、一度発症してしまうと完治するのが難しい病気です。

しかし境界型はすい臓の機能がまだ失われていないため、十分に正常型への回復が期待できます。

血糖値が上昇する要因としてインスリンが分泌されているにもかかわらず、うまく働かないインスリン抵抗性があると考えられます。

インスリン抵抗性の改善には、健康的な食生活と運動習慣が必要不可欠です。

境界型を放置した場合は糖尿病型への進行リスクが高まるため、正確な診断を受けるのが最初の行動となります。

ステップ1:75g経口ブドウ糖負荷試験で正確な病態を把握する

75g経口ブドウ糖負荷試験。正確な病態を 把握する

空腹時血糖が110〜125mg/dLの場合、OGTT(75g経口ブドウ糖負荷試験)の受診が最初のステップです。

OGTT(75g経口ブドウ糖負荷試験)は75gのブドウ糖を溶かした液体を飲み、2時間かけて血糖値の変動を測定します。

血糖値を一定に保つための糖の処理能力を測定し、健康診断では見落とされがちな食後高血糖初期の糖尿病を発見できます。

そのため糖尿病の早期発見や将来的なリスクの予測につながり、確定診断の判断材料となる精密検査です。

空腹時の数値だけでは判明しない血糖変動を測定できるため、正確な病態を把握するのに役立ちます。

75g経口ブドウ糖負荷試験の判定基準に従って3つの型に分類される

OGTT(75g経口ブドウ糖負荷試験)による診断は、以下の判定基準に従って3つに分類されます。

OGTT 2時間値判定対応
140mg/dL未満正常型経過観察、生活改善継続
140〜199mg/dL境界型生活改善と定期的な再検査
200mg/dL以上糖尿病型専門医による治療の開始

空腹時血糖が120mg/dLでも、OGTT2時間値が200mg/dL以上であれば糖尿病型と判定されます。

反対に140mg/dL未満であれば正常型となり、生活習慣の改善によって十分に回復できる状態です。

75g経口ブドウ糖負荷試験は内科や糖尿病内科で受診できる

OGTT(75g経口ブドウ糖負荷試験)は、内科や糖尿病内科で受診できます。

検査は原則として予約が必要なため、事前にクリニックや病院に問い合わせて指示を仰ぎます。

正確な診断結果を得るには検査前の激しい運動やアルコールの摂取、喫煙は避けるようにしましょう。

OGTT(75g経口ブドウ糖負荷試験)は10時間以上の絶食が条件となり、前日の夜から飲食を控えるなどの準備が求められます。

検査を受ける際は健康診断の結果を持参すると、医師が状況を把握するのに役立ちます。

ステップ2:HbA1c7.0%未満を目標に生活習慣を改善する

HbA1c7.0%未満を目標。生活習慣を改善する

精密検査の次のステップとして、HbA1c7.0%未満を目標とする生活習慣の改善が挙げられます。

HbA1cは血液中のヘモグロビンとブドウ糖が結合した割合を示しており、過去1〜2ヵ月間の平均的な血糖の状態を表す重要な指標です。

日本糖尿病学会の糖尿病診療ガイドライン2024において、合併症予防のための目標値はHbA1c7.0%未満と示されています。

境界型の段階からこの数値を意識した生活習慣を積み重ねると、正常型への改善および糖尿病への進行抑制の両方を目指せます。

これに対応する血糖値の目安は空腹時130mg/dL未満、食後2時間200mg/dL未満です。

参照元:日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2024」第2章 糖尿病治療の目標と指針

食事や運動などの生活習慣の改善は今日から始められ、境界型の段階からの介入が高い効果を発揮します。

標準体重に基づく適正なエネルギー量と食事内容の見直しが大切

食事療法は、標準体重(身長(m)² × 22)から算出した適正なエネルギー量と食事内容の見直しが大切です。

自分が普段食べている食事を見直し、食べ過ぎていないか確認しましょう。

主食と主菜、副菜を組み合わせたバランスの良い食事を1日3食規則正しく摂る習慣が、代謝機能の回復を助けます。

 炭水化物は血糖値を上げる直接的な原因となるため、特に夕食時の炭水化物の量を減らすと翌朝の空腹時血糖の安定に役立ちます。

食べる順番も数値に影響を及ぼし、食後の血糖値が急上昇するのを抑えるには食物繊維が多い食品や低GI食品を最初に食べると効果的です。

食物繊維や低GI食品には、血糖値の上昇をおだやかにする働きがあります。

レジスタンス運動には糖を取り込む能力を高める効果がある

血糖値の改善には継続的な運動が必要であり、特にレジスタンス運動には糖を取り込む能力を高める効果があります。

レジスタンス運動は筋力トレーニングの一種で、具体的にはスクワットや腕立て伏せ、椅子を使った立ち座りなどです。

筋肉に負荷をかける動作を繰り返し行い、下半身の大きな筋肉を刺激してインスリン抵抗性を改善します。

糖尿病予防に効果的なレジスタンス運動の頻度は、週2〜3回程度です。

運動療法ではレジスタンス運動と有酸素運動の組み合わせが推奨されているため、ウォーキングや散歩も並行して取り入れると良いでしょう。

特別な器具を使わずにできる運動の継続が、空腹時血糖の改善につながります。

食後高血糖や血糖値スパイクを予防するには、食後30分〜1時間以内に運動すると効果的です。

ステップ3:激しい喉の渇きや多尿が現れた場合はすぐに医療機関を受診する

激しい喉の渇きや多尿。すぐに医療機関を受診する

OGTT(75g経口ブドウ糖負荷試験)や健康診断を受ける予定があっても、激しい喉の渇きや多尿など特定の症状が現れた場合はすぐに医療機関を受診しましょう。

以下の症状は、糖尿病が進行している典型的なサインです。

症状内容
激しい口渇や多飲水を何杯飲んでも喉の渇きが解消しない
多尿や頻尿尿量が極端に増え、夜間のトイレ回数が増える
急激な体重減少食事量に変化がないのに体重が急速に落ちる
強い倦怠感体のだるさが続き、休息しても回復しない

これらの症状が複数出ている場合や急激に症状が強くなった場合は、血糖値が著しく高い状態まで進行している可能性があります。 

初期の糖尿病は自覚症状がない場合も多く、発症に気付かないまま重症化する人もいます。

糖尿病患者は数日間で急速に症状が悪化する恐れがあるため、重症化を防ぐには迅速な行動が大切です。

高血糖を放置すると急性合併症を発症し、意識障害や呼吸困難など重篤な症状を引き起こす恐れがあります。

糖尿病診療ガイドライン2024でも口渇や多尿など特定の症状が明記されており、これらの症状が続く場合は速やかな受診が推奨されています。

正しい診断と生活習慣の改善で糖尿病への進行を未然に防げる

空腹時血糖120mg/dLは体からのサインであり、正しい診断と生活習慣の改善で糖尿病への進行を未然に防げます。

血糖値が高い人は自身の健康状態を見直し、放置せずに迅速に行動を起こすのが重要です。

ここでもう一度、境界型と診断された場合の3つのステップを確認します。

順序行動目的
ステップ1OGTT(75g経口ブドウ糖負荷試験)を受ける正確な病態の把握と確定診断
ステップ2食事や運動の改善を始めるHbA1c7.0%未満を目標とした血糖管理
ステップ3特定の症状が出たら受診する急性合併症の予防と早期対応

OGTT(75g経口ブドウ糖負荷試験)によって精度の高い診断が可能となり、正確な病態を把握できます。 

精密検査と並行して食事や運動などの生活習慣の改善を心がけると、数値が改善して境界型から正常型に戻れる可能性があります。

ただし強い喉の渇きや多尿、体重減少など特定の症状が出た場合は、検査を待たずに早急に医療機関の受診が必要です。

早期の対応が重症化や急性合併症を防ぎ、重篤な症状から体を守ります。

健康診断で空腹時血糖120mg/dL以上だった人は今回の記事を参考に行動を起こし、糖尿病の発症を未然に防ぎましょう。

この記事の監修者

大学病院で糖尿病・内分泌内科の臨床医として経験を積み「リサーチマインドを持った診療」をモットーに日々研鑽を積んでまいりました。当院が少しでもあなた様のお役に立つことが出来れば幸いです。

■経歴
平成21年3月 金沢医科大学医学部医学科卒業
平成21年4月 杏林大学病院 初期臨床研修医
平成26年1月 金沢医科大学病院 糖尿病・内分泌内科学教室
平成30年4月 金沢医科大学病院 助教
平成30年9月 金沢医科大学大学院医学研究科 博士課程修了
令和3年1月 金沢医科大学病院学内講師
令和5年6月 Gran Clinic(石川県金沢市)院長

■所属学会
日本内科学会 認定医
日本糖尿病学会 専門医
日本抗加齢医学会 専門医
日本腎臓学会
日本内分泌学会

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