寝てる時に口の中が乾く原因は糖尿病の可能性あり

寝てる時に口の中が乾く原因。糖尿病の可能性あり

寝てる時に口の中が乾く原因には、糖尿病が関係している可能性があります。

糖尿病によって引き起こされる症状は様々ありますが、その一つに口の乾きがあるのです。

今回は、糖尿病と口の乾きがどのように関係しているのか、乾きを助長させるものにはどのようなものがあるかを解説していきます。

この記事を読んで分かること
  • 糖尿病と口の渇きの関係性
  • 寝てる時に口の中が乾く原因
  • 寝てる時に口が乾かないようにする方法

寝てる間の口の乾きを防ぐ方法などもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

目次

口の乾きと糖尿病には関連がある

口の渇きと糖尿病の関連。代表的な症状の一つ。

口の乾きや喉の渇きなどは、糖尿病の代表的な症状の一つです。

糖尿病は血糖値のコントロールがうまくいかずに高値になり、体が余分な糖を排出しようとし尿量が増加します。

過度な排尿により体中の水分が失われ、それを補おうと体は水分を欲するようになるため喉や口の中が乾くのを感じるようになります。

さらに寝てる間は水分摂取ができないため、より顕著に乾きを感じやすくなるのです。

寝てる時に口の中が乾く原因は血糖値の上昇である

口が乾いたり、喉が渇いたりする症状は、血糖値の上昇による可能性があります。

糖尿病は、高血糖の状態を正常化させようと体が過度に水分を排出する働きによって、体内の水分不足を引き起こします。

糖の多い飲み物利尿作用のある飲み物では、糖尿病の症状を悪化させる大きな要因となり、乾きを助長させてしまうでしょう。

寝てる間の血糖値の変動には、2つの現象が関与している可能性があると考えられています。

まず、インスリンの分泌が不足している場合に起こるとされている「暁現象」です。

暁現象では、就寝後徐々に血糖値が上昇していき、特に起床時に高血糖を引き起こすのが特徴と言えるでしょう。

就寝時の低血糖後、高血糖になり起床時に強く口渇感や口の中が乾くのを感じる場合には、「ソモジー効果」という現象が起きている可能性があります。

ソモジー効果とは糖尿病治療をしている人が食事量や飲酒、インスリン量などによって睡眠中に低血糖を引き起こしている反動で、血糖上昇ホルモンが分泌され起床時に高血糖を引き起こす現象を指します。

糖尿病になると唾液の分泌低下が引き起こされる

糖尿病になると、インスリン治療による作用や糖代謝異常から唾液腺細胞が影響を受け、唾液の分泌量を抑制させてしまいます。

多尿によって生じる脱水も、唾液の分泌低下に拍車をかける要因として関与していると考えられています。

血糖コントロールは糖尿病を悪化させないためだけではなく、唾液の分泌機能を保持するためにも重要です。

唾液の分泌量低下は、口の乾きだけでなく歯周病などの口腔内環境も悪化させてしまう要因となります。

唾液の減少を補うには、人工的に口腔内の湿潤を保つ方法や漢方薬によって多尿や口渇感を緩和させる方法も有効であるとされています。

多飲多尿の症状が就寝時に脱水症状の引き金となる

糖尿病になると体は増えすぎてしまった糖を排出しようと尿量を増やすため、多尿となり体は水分不足に陥り、それを補おうと多飲するようになります。

多飲多尿は気づかないうちに脱水症状となる可能性があり、特に睡眠中は生じるリスクが高いです。

脱水症状には、下記のようなものがあります。

  • 頭痛
  • 食欲不振
  • 血圧低下
  • 頻脈
  • 倦怠感・脱力感
  • めまい
  • 尿量の減少
  • 口渇

就寝時に頻尿が気になるために飲水制限をしてしまうと、脱水症状となる恐れが高くなります。

口の乾きも脱水症状から引き起こされている場合もあるため、注意しましょう。

糖尿病患者は口の中が乾くと感染リスクが高まる

口腔内の乾燥。糖尿病患者は感染リスクが高まる

口腔内は唾液で潤されており、乾燥を防ぐとともにウイルスなどに感染するリスクを軽減しています。

唾液は糖尿病や脱水症によって分泌量が低下し、加齢によっても減少する傾向です。

口腔内の乾燥は、次のようなリスクを高めるとされています。

  • 歯周病
  • 虫歯
  • 味覚異常
  • 感染症

口は外から細菌やウイルスの侵入が容易な場所であり、繁殖したり全身に巡ったりすると健康状態に大きな影響を与えかねません。

特に、高齢の方や免疫力が低下している糖尿病を患っている方は感染症に陥る可能性が高い状態にあるため、口腔内環境が重要です。

糖尿病による口の渇きはドライマウスの症状でもある

ドライマウスは糖尿病や腎不全などの疾患、ストレスや筋力の低下などによっても引き起こされ、現代病とも言われている口腔内が乾燥状態になるものです。

ドライマウスの主な原因は、唾液の分泌量低下によるものとされています。

糖尿病以外にも咀嚼回数や時間の減少、ストレス社会による緊張状態の持続によって唾液の分泌は低下します。

咀嚼が唾液の分泌量と関与する理由は、唾液を分泌する唾液腺は咀嚼などの筋肉の刺激によって分泌が促されるためです。

ファストフードなどの柔らかい食べ物の普及やダイエットなどでの咀嚼回数や時間の減少によってドライマウスが引き起こされる現状は、現代社会ならではと言えるでしょう。

ドライマウスの症状には、下記のようなものがあります。

  • 口の中の粘つき
  • 舌の痛み
  • 口臭
  • 嚥下困難

唾液が持つ自浄作用などによって口腔内環境が保たれている中、唾液の減少は感染症のリスクを高めるだけでなく、口腔内の不快感や機能も損なわれる可能性があるのです。

睡眠時無呼吸症候群が糖尿病患者の口の乾燥を悪化させる

起床時に口の乾きが気になる際は、睡眠時に口呼吸となっている可能性があり、その原因として考えられるのが睡眠時無呼吸症候群です。

睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に呼吸が10秒以上停止している無呼吸状態が1時間に5回以上、もしくは7時間の睡眠中に30回以上あるのを基準としています。

本人は無意識のため気づくのが難しいですが、起床時の口の乾きや疲労感、睡眠不足を感じるなどの症状がある場合には睡眠時無呼吸症候群の検査を行うのもおすすめです。

糖尿病患者の場合、唾液の分泌量の低下や口渇感、脱水症状などと併発して睡眠時無呼吸症候群を発症していると口腔内乾燥を悪化させてしまいます。

口の乾きの対策や予防するには3つのポイントがある

口の渇きの対策や予防。口腔内環境を整えるポイント

口の乾きの改善や予防には、保湿や口腔内環境の正常化などが重要です。

ここでは、簡単に始められる保湿を含めた口腔内環境を整える3つのポイントをご紹介します。

寝る前に水分摂取と寝室の湿度調整を行うと乾燥対策になる

就寝前の飲水や寝室の湿度調整は、失われる水分が減少するため口の乾燥予防効果が期待できます。

飲水には、口腔内の温度を下げる役割もあり、暑い時期には冷水を飲むと良いでしょう。

寝室の湿度は、40〜60%となるように調整すると睡眠中の口の乾燥を防ぐ効果が期待できます。

特に冬場は、暖房器具などによってより乾燥傾向の環境になるため、湿度調整が重要です。

マウスウォッシュは口内環境の改善に効果的で乾燥を和らげる

マウスウォッシュは、口腔内洗浄だけでなく保湿効果や刺激により唾液の分泌を促す効果が期待できるため、ドライマウスの改善におすすめです。

口腔内の不衛生な環境は感染症のリスクを高めるだけでなく虫歯や歯周病、口内炎や口臭などの口腔内トラブルの要因ともなります。

マウスウォッシュでは歯磨きで取りきれなかった歯や歯茎、粘膜などに付着している汚れなどを浮かび上がらせて洗浄できるため、虫歯や歯周病だけでなく口臭予防にも効果が期待できます。

さらに歯に付着するステインを付きにくくする効果もあり、歯の着色予防にも効果的です。

糖尿病患者は特に食事と生活習慣の見直しが重要である

糖尿病の進行は重篤な疾患へと発展する可能性があるため、安易に考えずに服薬などだけではなく、日常生活からの見直しが重要です。

食生活は血糖コントロールに最も重要な要素であり、糖質や脂質などのカロリーを考慮して摂取するのが望ましいでしょう。

ポイントとなるのは、食材だけのカロリー換算ではなく調味料も含めて考えるという点です。

見落としがちな調味料の質量も考慮すると、より血糖コントロールに良い影響を与えられるでしょう。

睡眠不足や運動不足は、自律神経を乱すため血糖の変動や唾液の分泌抑制にも関与していきます。

糖尿病を患っている方は、特に食事から生活習慣全体の改善が重要なポイントとなります。

寝てる時に口の中が乾く原因を理解して糖尿病の悪化を防ぐ

寝てる時の口の乾燥には、口呼吸や睡眠時無呼吸症候群などが原因となっている他に糖尿病が背景にある可能性が考えられるでしょう。

糖尿病によって体から過剰に水分が喪失され、口腔内の乾燥まで引き起こします。

口腔内の乾燥は虫歯や歯周病などのトラブルを発生させ、唾液によって外からの細菌の侵入を防ぐ効果も失われるため、感染症を引き起す要因となります。

糖尿病患者は、免疫力の低下から治癒力も低下しているため重篤化に注意が必要です。

部屋の湿度を高める方法や飲水で口腔内を潤しておく、マウスウォッシュで唾液の分泌を促進する方法などが、口腔内の乾燥改善や予防に効果が期待できます。

マウスウォッシュには、洗浄や保湿効果も備わっているため継続的に使用すると、より効果を実感できるでしょう。

予防や改善策だけでなく、糖尿病による症状を緩和させるには日常生活の見直しが重要です。

食事や運動などの生活習慣を見直し、うまく糖尿病と付き合っていきましょう。

この記事の監修者

大学病院で糖尿病・内分泌内科の臨床医として経験を積み「リサーチマインドを持った診療」をモットーに日々研鑽を積んでまいりました。当院が少しでもあなた様のお役に立つことが出来れば幸いです。

■経歴
平成21年3月 金沢医科大学医学部医学科卒業
平成21年4月 杏林大学病院 初期臨床研修医
平成26年1月 金沢医科大学病院 糖尿病・内分泌内科学教室
平成30年4月 金沢医科大学病院 助教
平成30年9月 金沢医科大学大学院医学研究科 博士課程修了
令和3年1月 金沢医科大学病院学内講師
令和5年6月 Gran Clinic(石川県金沢市)院長

■所属学会
日本内科学会 認定医
日本糖尿病学会 専門医
日本抗加齢医学会 専門医
日本腎臓学会
日本内分泌学会

目次