毎日の忙しい生活の中で、食生活が乱れ血糖値を気にしながらも、改善できないまま健康診断の日を迎えてしまった経験がある人も多いでしょう。
そんな健康診断の結果、糖尿病もしくは糖尿病の疑いありという表記が目に入った時には、もう自由に食事はできないのではないかと不安に感じますよね。
日々の献立に野菜を取り入れつつ、バランス良く食事をすると、好きな物が食べられないと悩む必要がなくなります。
そして、糖尿病の初期から野菜を取り入れた食事療法に取り組むと、血糖値が安定し糖尿病の改善にもつながるのです。
この記事では、以下の内容を解説します。
- 糖尿病や血糖値が気になる人は、野菜を取り入れると食事の幅が広がる
- 野菜の中でも、食物繊維が豊富な葉物野菜がおすすめ
- 根菜類は糖質が多いため、避けるべき野菜も多い
- 食物繊維は、糖質を緩やかに吸収する役割を持つ
- 野菜は加熱調理するとかさが減る一方、食物繊維の量は増える
- 食事の際、野菜を一番初めに食べると血糖値の上昇を抑えられる
- 野菜を炒めたい場合はオリーブオイルやサラダ油などの植物油を使おう
- 市販の調味料は分量に気をつけて使う必要がある
- 野菜ジュースは野菜の代わりにはならず、血糖値を上げるおそれもある
この記事を読んで、食事療法をする上でどのような野菜を食べると血糖値を抑えられるのか、野菜を取り入れて好きな物を我慢しない食事療法を実現できるようにしましょう。
血糖値を下げるために我慢して食生活を大きく変える必要はない

食事療法と聞くと、好きな物を食べられなくなる印象を抱く人も多いでしょう。
簡単に食事療法に取り組める方法として、野菜を使った料理を一品加えたり、野菜から先に食べるようにしたりと工夫すると、食事に対するストレスも少なくなります。
野菜は体の調子を整えるために欠かせない食品の1つで、栄養を豊富に含み、血糖値の急上昇を抑えてくれる頼もしい存在です。
なぜ野菜が血糖値の上昇を抑える役割をするのか、どのような栄養を含んでいるのかを理解して、バランス良く食事に取り入れていきましょう。
食物繊維が多い葉物野菜は糖質の吸収を緩やかにし血糖値上昇を抑える
野菜に含まれる食物繊維やビタミン、ミネラルといった栄養素は、糖尿病に限らず生活習慣病予防などにも効果を発揮します。
血糖値をコントロールできると、糖尿病の改善や合併症防止につながるため、食事療法は有効なのです。
食物繊維は分解されずにそのまま大腸まで届き、糖分や脂質などを吸収して体外に排出する役割を持つため、整腸作用も期待できます。
このような点から、食物繊維を多く含む野菜は、食事を楽しみながらも血糖値を抑えたい人に適している食材です。
糖尿病や血糖値を気にする人が積極的に食べるべき野菜を紹介

栄養バランスに優れ、食物繊維が豊富に含まれる野菜は、健康的な体づくりに必要な存在です。
血糖値を抑えたい人は、野菜の中でも糖質の低いものを選ぶようにしましょう。
野菜の中でも葉菜類は、食物繊維が豊富かつ糖質が少ない野菜が多く、種類も豊富で飽きずに毎日の食事に取り入れられます。
葉菜類は、大きく3つに分けられます。
ここからは、具体的にどのような野菜が糖尿病や糖質を気にする人に良いのか、食物繊維や糖質の含有量とともに紹介します。
葉菜類の中でも糖質が低く食物繊維が多い葉物野菜を中心に食べよう
食事療法を始めるにあたって、なるべく血糖値を効率良く抑えられる野菜について詳しく知りたい人もいるでしょう。
糖尿病の人や血糖値を気にする人が取り入れる野菜として、ほうれん草と小松菜、水菜の主に3点が挙げられます。
1つ目のほうれん草は、葉酸と鉄の含有量の高さから、貧血予防に効果がある点が知られています。
さらに、ほうれん草に多く含まれるカリウムはナトリウムを多く体内に取り込んでしまった場合に排出する役割を持つため、高血圧予防にもなるのが特徴です。
2つ目に挙げた小松菜には、骨や歯を強く保つカルシウムが豊富に含まれています。
カルシウムは摂取しても7割程度が体の外に排出されてしまうため、カルシウムを積極的に摂取したい場合にも食べるべき野菜です。
3つ目に挙げた水菜に特に多く含まれる栄養素は、カリウムとビタミンCで、どちらも吸収されにくいため積極的に食べるのが推奨されます。
そして水菜は、ほうれん草と小松菜よりも食物繊維が豊富で糖質も含まないため、糖質の管理をしたい場合は積極的に献立に取り入れてください。
ここでは厳選して3つの葉物野菜を紹介しましたが、その中でも特に食物繊維が豊富で糖質が低く、栄養価が高いという点では水菜が推奨されます。
100gあたりの葉物野菜(生)の糖質と食物繊維量の比較
野菜名 | 糖質 | 食物繊維 |
---|---|---|
ほうれん草(葉/生) | 0.3g | 2.8g |
小松菜(葉/生) | 0.3g | 1.9g |
水菜(葉/生) | 0g | 3.0g |
参照元:https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=6_06267_7
参照元:https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=6_06086_7
参照元:https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=6_06072_7
アブラナ科の野菜やナス科の野菜も血糖値を下げるのに役立つ食材

先ほど紹介した3つの葉物野菜の他に、キャベツやブロッコリーに代表されるアブラナ科の野菜やピーマンやトマトなどのナス科の野菜も、食物繊維量が豊富であり推奨される野菜です。
キャベツやブロッコリー、トマトは生のサラダとして好んで組み合わせて食べる人も多いでしょう。
葉物野菜とアブラナ科の野菜などを上手に組み合わせて、生野菜を使ったサラダを1食加えると手軽に野菜を食べられます。
普段からサラダを好んで食べている人は、食事療法に野菜を楽に組み込めるでしょう。
そして、スープに入れたり肉や魚と一緒に炒めたりと調理の幅も広い食材としては、アブラナ科の白菜やナス科に代表されるナスやピーマンもあります。
人によって好みが分かれるため、自分が好きな野菜や食べられる野菜を積極的に取り入れてみてください。
根菜類やイモ類は糖質を多く含むため食事に取り入れる際は要注意

糖尿病の人や血糖値を抑えたい人は、食事療法に野菜を取り入れると良いと説明してきましたが、野菜には糖質が多く気をつけなければならないものもあります。
食べる際に気をつける必要がある野菜の種類は、根菜類です。
根菜類の中でもイモ類は、糖質に分類されるデンプンとタンパク質が主成分であるため、特に気をつけなければなりません。
基本的には根菜類もイモ類も量を調整すれば食べても良い食材ですが、食べる量で毎回頭を悩ませるのは大変なストレスになるでしょう。
そんな根菜類ですが、糖尿病の人でも食べて良い成分を含んだものもあります。
根菜類の中でも積極的に食べた方が良い野菜は大根、イモ類では調理次第でジャガイモが献立に加えて良い食材です。
ここからは大根とジャガイモ、それぞれのどのような成分が血糖値の上昇を抑えてくれるのか、どのような食べ方をすると効果を発揮できるかを解説します。
大根は1本丸ごと食べられて葉も栄養価が高く美味しい根菜類
大根には消化酵素の一種であるジアスターゼが含まれており、消化を促したり胃もたれを防止したりする役割を持ちます。
その他の栄養として粘膜を健康に保つビタミンAや、骨を構成する成分で血液を固める作用のあるビタミンK、血圧を下げる役割を持つカリウムなど多くの栄養を含むのが特徴です。
大根の根の部分よりも、葉の部分の方が食物繊維量やビタミン類、カルシウムなどが豊富に含まれています。
しかし、大根全体にえぐ味の原因である灰汁が含まれるため、味が気になる人は生食ではなく一度ゆでてからの調理を推奨します。
大根の根の糖質と食物繊維量について、生野菜とゆでた場合とを比較して以下に記載するため、料理で大根を使用する際の参考にしてください。
大根の根/皮つき(100g)の糖質と食物繊維量
大根(根/皮つき) | 糖質 | 食物繊維 |
---|---|---|
生 | 2.7g | 1.4g |
ゆで | 2.8g | 1.6g |
参照元:https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=6_06132_7
参照元:https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=6_06133_7
大根は部位ごとで調理方法を変えると食べるのが楽しくなる野菜の1つ
大根は、おでんや切り干し大根に始まり、大根おろしなどとよく使われる野菜です。
しかし、その多くは根の部分の調理方法で、栄養価が高い葉の部分を上手く活用できている人は少ないでしょう。
皮膚を健康に保つβカロテンや体内のナトリウム量を調整するカリウム、骨を強く維持するために必要なビタミンKや、赤血球の形成に必要な葉酸などの成分が代表的です。
大根の葉をゆでると、葉酸やカリウムなどは水に溶けだしてしまう一方、βカロテンとビタミンKは増加するという特徴を持ちます。
ビタミンは油に溶ける特徴を持つため、ごま油やオリーブオイルなどの植物油を使用した炒め物に加えると、大根の葉に含まれる栄養を逃さずに摂取できるのです。
料理の際に参考にできるよう、大根の葉の糖質と食物繊維量を、生とゆでた場合に分けて以下に記載します。
大根の葉(100g)の糖質と食物繊維量
大根の葉 | 糖質 | 食物繊維 |
---|---|---|
生 | 1.4g | 4.0g |
ゆで | 1.3g | 3.6g |
参照元:https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=6_06130_7
参照元:https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=6_06131_7
参照元:https://vegetable.alic.go.jp/yasaijoho/yasai/0711_yasai1.html
参照元:https://health2sync.com/ja/blog/japanese-white-radish-nutrition/
ジャガイモはポテトサラダにして冷やすと血糖値上昇を防ぐ効果がある

ジャガイモは100gあたりのカロリーが59kcalで、糖質も17gと高めであり、血糖値を管理する上で取り入れるのが難しいように感じられます。
マヨネーズで有名なキューピーが行った研究では、ポテトサラダを1日冷蔵庫で冷やすと難消化性デンプンのレジスタントスターチが増加し、食後の血糖値の上昇が抑えられたという結果が出ています。
上記の結果に加えて、冷やしたポテトサラダを食事の際に米飯より先に食べた場合にも、食後血糖値が抑制される点も判明しました。
一方、蒸しただけのジャガイモや温かいポテトサラダの場合では、食後の血糖値は急上昇してしまいます。
ポテトサラダの適切な摂取量は1日70~100gまでですが、独自の判断で食事療法中の献立に毎日組み込むのは推奨できません。
担当医や管理栄養士に相談のもと、自分へのご褒美として他のメニューのカロリーとバランスを取りながら組み込んでみてください。
献立に組み込む難易度は少し高いですが、ポテトサラダを冷やしただけで血糖値が抑えられる可能性が高くなるのは、ジャガイモ好きの人にはとても嬉しい話ですよね。
参照元:https://wellulu.com/balanced-diet/22892/
血糖値を下げるためにできる野菜の調理方法や食べ方の工夫を解説

血糖値を下げるために食事療法に野菜を取り入れたいと考えても、野菜ばかりの食事はつらいと感じる人もいるでしょう。
厚生労働省によると、健康増進のためには1日350g程度の野菜の摂取が推奨されています。
単純に野菜を毎日一食ずつ100g程度食べると想定すると、野菜を食べるのが苦痛になりかねません。
ここからは野菜を食べるのがつらくならないように、野菜は食後の血糖値を抑えてくれる強い味方である点を解説し、野菜を美味しく食べられる方法を提案します。
上手く野菜と付き合って、食事療法を楽しめるように参考にしてみてください。
野菜を一番最初に食べるベジファーストを意識した食事を徹底しよう
糖尿病の人や、血糖値を抑えたい人は食事の順番や方法にも少し気をつけるだけで、血糖値の上昇を抑えられます。
野菜を最初に食べたあとに米飯を食べると、食後血糖値の急上昇が防げるため、野菜を最初に食べるベジファーストを心掛けて食事をしてみてください。
野菜を食べる順番に加えて、血糖値を上げにくくする食べ方として、3点ポイントがあります。
- よく噛み、時間をかけて食べる
- 1日3食、決まった時間間隔で食べる
- 食事量のバランスを一定にする
前提として、食事をする時はゆっくりよく噛んで、早食いは絶対にしてはいけません。
早食いをすると、糖質が短時間で大量に体内へと吸収されて血糖値が急上昇し、糖尿病を悪化させる原因となってしまいます。
噛む回数が増えると脳のはたらきが活性化し、体内でヒスタミンの分泌が増加し満腹中枢を刺激するため、食欲も抑えられるのです。
次に、食事の間隔を一定にする重要性について説明します。
血糖値は健康な人であれば、インスリンが分泌されて食後2時間程度で正常値へと戻りますが、糖尿病や糖尿病予備軍の人は食後2時間が経過しても血糖値が下がりません。
血糖値が高めだと診断された人や、糖尿病を患っている人は、食後2時間以降も血糖値が高い状態の場合が多くあります。
特に食後の血糖値が高い状態の人が間食をしてしまうと、血糖値がずっと上昇し続けて血管に負担がかかり、糖尿病を悪化させるおそれがあるのです。
そのため、基本的に間食はせず、1日の食事は決まった間隔で3回取るのが理想的だとされます。
最後に、食事量のバランスについてです。
1回の食事量が多いと、食べた分だけ血糖値も上がりやすくなるため、食事は3食とも同じくらいの量を食べるように心掛けてください。
参照元:https://www.mimihara.or.jp/sogo/wps/wp-content/uploads/2024/02/004.pdf
参照元:https://disease.jp.lilly.com/diabetes_dac/theraphy/dietary
野菜をたくさん食べるために煮たりゆでたりと調理方法を工夫しよう

野菜を積極的に食べたくても、栄養バランスの良い食事をしようと考えると、品数も増えます。
品数が増えた分、お腹が膨れてしまい野菜を十分に食べられずに困っている人のために、調理のコツを説明します。
野菜をたくさん食べたい場合は、生野菜のままではなく、熱を通して調理する方法を選んでみてください。
野菜を加熱する調理方法には、煮るや炒めるなど、さまざまな方法があります。
先ほど紹介した大根を例に挙げると、灰汁を抜くために煮るのが、素材の味を活かし出汁をよく染み込ませたい場合にも良い方法です。
根の部分は、大根の芯まで柔らかくするために水からゆでて沸騰させ、葉の部分はすでに沸騰した状態のお湯に入れてゆがくと灰汁も抜けて柔らかくなります。
この調理法は大根だけではなく、根菜類や葉物野菜を煮て調理する場合に共通するため、料理をする際に参考にしてみてください。
葉物野菜はゆでると食物繊維量が増えて血糖値を抑えるのに役立つ
葉物野菜はゆでるとかさは減りますが、食物繊維量は増えるため、咀嚼回数も増える点がメリットです。
ただし、ゆでたり煮たりすると、野菜に含まれる一部のビタミンやカリウムは水に溶ける性質から流出してしまいます。
他のおかずで栄養を補うのも良いですが、なるべく野菜からビタミンやカリウムを摂りたい、流出を控えたいという場合は電子レンジで野菜を加熱する方法もあります。
電子レンジで加熱した場合も野菜のかさは減り、栄養の流出はゆでた場合よりも少ないため、手軽に加熱したい時には電子レンジを使用しましょう。
参考に、ここまで紹介したおすすめの葉物野菜について、ゆでると食物繊維量が増加する野菜を以下に記載します。
生野菜とゆでた野菜の食物繊維量の違い(葉物野菜/100gあたり)
野菜名 | 食物繊維生 | 食物繊維ゆで |
---|---|---|
ほうれん草 | 2.8g | 3.6g |
小松菜 | 1.9g | 2.4g |
水菜 | 3.0g | 3.6g |
キャベツ | 1.8g | 2.0g |
白菜 | 2.2g | 2.4g |
参照元:https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=6_06267_7
参照元:https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=6_06268_7
参照元:https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=6_06072_7
参照元:https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=6_06073_7
参照元:https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=6_06072_7
参照元:https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=6_06073_7
参照元:https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=6_06061_7
参照元:https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=6_06062_7
参照元:https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=6_06233_7
参照元:https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=6_06234_7
野菜を炒める場合は植物性油を使って味付けは食塩量に気をつけよう

糖尿病の人や血糖値が高い人が野菜を食べる場合は、サラダや煮物などの調理法で食べるのが理想的ですが、野菜炒めにして食べたいという時もありますよね。
野菜を炒めて調理する場合は、サラダ油やオリーブオイル、ごま油などの植物油を使用すると良いでしょう。
善玉コレステロールは、血管内に蓄積したコレステロールを肝臓へ運び、体外に排泄する役割を担うため動脈硬化の予防にもなるのです。
野菜に限らず、料理で油を使う場合は植物油の使用を推奨しますが、血糖値を考慮する場合は油を使用した料理は1日2品までに控えましょう。
参考に、植物油に含まれる不飽和脂肪酸とビタミンEの量を、国立循環器病研究センターのデータをもとに記載します。
1人前の植物油に含まれる不飽和脂肪酸とビタミンEの割合
植物油の種類 | 1人前の目安量 | 不飽和脂肪酸 | ビタミンE |
---|---|---|---|
オリーブオイル | 12g | 9.8g | 0.9mg |
ごま油 | 12g | 9.5g | 0.05mg |
なたね油 | 12g | 10.3g | 1.8mg |
参照元:https://www.ncvc.go.jp/hospital/pub/knowledge/diet/diet02/
参照元:https://www.karadacare-navi.com/foods/16/
参照元:https://www.hokeniryo1.metro.tokyo.lg.jp/kensui/ei_syo/index.html
市販の調味料は塩分が多く含まれるため出汁などを活用しよう
味付けに使用する調味料は、食塩量に気をつけて選ぶのが大切です。
塩分の多い食事は高血圧につながり、糖尿病の人が高血圧になると糖尿病性腎症や心筋梗塞などの合併症を併発するリスクが高くなります。
糖尿病の人は、糖尿病ではない人に比べて高血圧である確率が2倍という研究結果も出ているため、日ごろから塩分の低い食事を心掛ける必要があります。
参照元:https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/2009/093061/200926015A/200926015A0010.pdf
高血圧の人が1日に摂取する食塩量の目安は6g未満とされていますが、市販の調味料を使うと知らないうちに塩分を摂りすぎてしまう可能性もあるのです。
少し手間はかかりますが、野菜をゆでて下処理を行うと出汁がしっかりと染み込み、美味しく料理が仕上がります。
生野菜サラダを食べる時にドレッシングをかけたくなりますが、シソやバジルに代表される香味野菜や柑橘類の酸味は、味に変化が出て楽しめるのが特徴です。
おかずに調味料を足したい場合は、おかずに調味料をそのままかけるのではなく、一口分のおかずに調味料を付けてください。
例えば刺身を食べる場合、醤油を使いたい時には小皿に醤油を少量入れておき、刺身一切れを醤油に少しだけ付けるというようなイメージです。
直接調味料を料理にかけると、塩分を摂りすぎるおそれがあるため、気をつけてください。
市販の調味料は食塩の含有量が高いものの、量に気をつければ料理に使っても問題はありません。
味の濃い料理は美味しく感じられますが、血糖値を管理するためにも1日1品までに留めるようにしましょう。
参考として、日本糖尿病学会が提示する調味料小さじ1杯分(5㏄)の食塩量を以下に記載します。
- 食塩(6g)・・・6g
- 濃い口しょうゆ(6g)・・・0.9g
- 辛みそ(6g)・・・0.7g
- 中濃ソース(6g)・・・0.3g
- トマトケチャップ(6g)・・・0.2g
- マヨネーズ(4g)・・・0.1g
- フレンチドレッシング(6g)・・・0.4g
参照元:https://www.jds.or.jp/uploads/files/publications/kenkoshoku_startbook/kenkoshoku_startbook.pdf
参照元:https://www.hokeniryo1.metro.tokyo.lg.jp/kensui/tonyo/eatinghabits.html
参照元:https://www.city.yufu.oita.jp/wp-content/uploads/2021/03/r3-02_tounyoubyou.pdf
野菜ジュースは糖質が高く野菜の代わりにはならないため注意が必要

毎日食事療法を続ける中で、野菜が食べられない日も出てきてしまうでしょう。
野菜が食べられないなら、せめて野菜ジュースで補おうとする人もいますが、これは誤った栄養の摂り方です。
野菜を搾ると食物繊維はほぼ失われてしまうのに加えて、野菜を直接食べる時と比べると糖質が高くなり、血糖値も上昇してしまいます。
最近では機能性表示食品の野菜ジュースや、食物繊維が豊富に含まれているという商品もあるため、これで1日で食べるべき野菜の栄養が補えるなら飲みたいと思ってしまいますよね。
しかし、基本的に野菜ジュースは健康な人を基準として作られているため、糖尿病の人や血糖値を抑えたい人が飲むと血糖値が上昇してしまうおそれがあります。
野菜を食事療法の中に取り入れる目的は、食物繊維を多く含む野菜が血糖値の急上昇を防いでくれる点、よく噛んで食べると満腹感を得られるという点の2つです。
野菜ジュースは、野菜の置き換えにならないという点を覚えておきましょう。
参照元:https://www.club-dm.jp/content/dam/Club-Dm/AFFILIATE/www-club-dm-jp/Booklet/PDF/sickday_220124.pdf
野菜は糖尿病を改善するためのパートナーとして心強く優秀な存在
糖尿病の人や血糖値を抑えたい人が食事療法に取り組む場合には、野菜はとても心強い味方であると、ここまで説明してきました。
野菜の中でも特に葉物野菜を推奨するのは、葉物野菜に特に多く含まれる食物繊維が、糖質の吸収を緩やかにして血糖値の急激な上昇を抑えてくれるためです。
食事の際は野菜料理から選んでよく噛んでゆっくり食べ、間食はせずに1日3食バランスの良い献立を決まった時間に食べるという点を意識すると、血糖値の上下が安定し体への負担が減ります。
もともと頻繁に野菜を食べる習慣がない人にとっては、食事療法で日常的に野菜を食べるのは大変ですが、野菜を取り入れると食べられる料理の幅が増えるのも事実です。
だからこそ、野菜を我慢して食べるという意識ではなく、食の楽しみを増やしてくれる強い味方として日々の食生活に取り入れてみてください。
食事療法をきっかけに、自分の体調に合った食材選びや調理方法、自分好みの味付けを発見できる楽しさも生まれてきます。
食事療法を始める際には、糖尿病で血糖値に気をつけなければならない体だから、自分は野菜を食べないといけないという考え方を止めてみてください。
好きな食べ物を我慢するとストレスにもなり、体には良くありません。
野菜はあくまでも食後の血糖値急上昇を抑えるための補助をしてくれる存在であり、上手に付き合うと食事をいっそう楽しくしてくれるパートナーであると認識して、毎日の食事の一部に馴染ませていきましょう。