オートミールは糖尿病対策になる食材!健康上の利点や利用上の注意点も解説

オートミールは糖尿病対策になる。健康上の利点や利用上の注意点

オートミールは、手軽に食べられて効率よく栄養素を摂取できる便利な食材です。

普段から、朝食やおやつにオートミールを利用している人も多いのではないでしょうか。

オートミールは、糖尿病対策にも効果があると考えられています。

血糖値の上昇を抑えたり、満腹感を得られたりする食材であるため、糖尿病のリスクを軽減できる食材です。

他にも、健康面で利点の多い食材として有名ですが、利用上の注意点もあるため、特徴を理解して食卓に活かしましょう。

今回は、オートミールが糖尿病対策に効果がある理由について解説します。

糖尿病リスク回避以外の利点や、利用上の注意点などについても説明します。

この記事でわかること
  • オートミールは血糖値の上昇が少ないなど糖尿病対策に効果がある
  • 糖尿病は重度の合併症リスクがあるなど怖い病気
  • オートミールは原材料や加工法によりグラノーラなどと区別される
  • オートミールは低糖質や豊富な食物繊維など健康面の利点が多い
  • 他の食材と併用を要するなど利用上の注意点もある

今回の記事を参考に、オートミールを上手に活用して糖尿病リスクを軽減してください。

目次

オートミールは糖尿病対策に効果のある食材

糖尿病対策に効果のある食材。血糖値が上がり過ぎない特徴

オートミールは、糖尿病対策に効果のある食材と考えられています。

糖尿病は、血液中のブドウ糖が増加して発症する病気です。

オートミールには、血糖値が上がり過ぎない特徴がいくつかあります。

普段の食事から糖尿病に罹患するリスクを軽減したい人には、適している食材といえるでしょう。

オートミールが糖尿病対策に効果のある理由として、以下の3点があります。

  • 血糖値の上昇量が少ない
  • 空腹を抑えられる
  • 栄養バランスが整っている

オートミールの特徴を理解して、糖尿病対策に活用してみてください。

血糖値の上昇量が少ない

オートミールは血糖値の急上昇を抑える低GI食品

オートミールは、血糖値の上昇量が比較的少ない食材です。

血糖値の上昇量は、食材のGI値に強く影響を受けます。

GI値とは、食材に含まれる糖質成分が、どれくらいの速度でブドウ糖に変わるかを表している数値のことです。

GI値が高いと、血糖値が急速に上昇すると考えられています。

基準として、グルコースを100と設定し、他の食材の数値を表します。

GI値に関しては、以下の3区分で示されるケースが多いです。

  • 高GI食品:GI値が70以上
  • 中GI食品:GI値が69~56
  • 低GI食品:GI値が55以下

オートミールはGI値が55であるため、低GI食品に分類されます。

炭水化物の中では低い分類に入るため、血糖値の上昇を抑えたい場合に適した食材といえます。

空腹を抑えられる

腹持ちがよく空腹を抑えられる

オートミールは、腹持ちのよい食材であるため、空腹を抑えられる効果があります。

食物繊維が豊富に含まれており、ダイエットの際にも適した食材です。

空腹を抑えて糖質を制限可能

満腹感が継続するため、食事の量を抑える効果が得られ、間接的に糖質の摂取量を抑えられます。

食物繊維は野菜や果物などに多く含まれる栄養素で、主食となるケースの多い炭水化物にはあまり含まれていません。

しかし、オートミールは炭水化物でありながら豊富な食物繊維を含んでいます。

空腹と糖質の摂取量を抑えられるとともに、便秘解消など他の利点も多く、優れた食材といえるでしょう。

栄養バランスが整っている

オートミールは多種類の栄養素を含む

オートミールは、栄養上のバランスが整っています。

前述の食物繊維に加えて、以下のような多種類の栄養素が含まれています。

  • たんぱく質
  • 炭水化物
  • 脂質
  • ビタミン
  • ミネラル
  • 亜鉛
  • マグネシウム

特に、亜鉛やマグネシウムなどのミネラルが多いのが特徴です。

炭水化物は、全般的にミネラルが少ない傾向がある一方で、オートミールは多種類かつ豊富に含まれています。

糖尿病予防には、血糖値の上昇を抑えるために糖質量の摂取制限が不可欠です。

加えて、バランスのよい栄養素摂取も重要と考えられています。

オートミールのような多種類の栄養素を含有している食材は、糖尿病予防に適しています。

糖尿病は日常生活に支障をきたす恐ろしい病気

糖尿病の特徴や危険性。日常生活に支障をきたす病気

オートミールの摂取により、糖尿病予防の効果が得られるのは前述のとおりです。

病名は有名であるものの、そもそも糖尿病とはどのような病気であるのかを十分理解できていない人も多いのではないでしょうか。

糖尿病は、血糖値を下げる作用のあるインスリンというホルモンが十分働かなくなると発生する病気です。

糖尿病は血糖値を下げるインスリン不足で発症

糖尿病予防を考える際には、病気の特徴や危険性を理解しておくとよいでしょう。

糖尿病の特徴として、以下の3つの点が挙げられます。

  • 1型と2型などの分類がある
  • 糖尿病になると多くの症状がみられる
  • 重度の合併症に発展する恐れも

特に合併症に関しては、日常生活に多大な影響を与える恐れがあるため、十分な予防が大切になります。

1型と2型などの分類がある

糖尿病は、以下のように分類されます。

  • 1型糖尿病
  • 2型糖尿病
  • 妊娠糖尿病

1型糖尿病は、インスリンを生成するすい臓の働き自体が損なわれて発症する糖尿病です。

1型になると、自分の身体でインスリンの生成ができなくなるため、注射など人工的にインスリンを取り入れる治療が必須となります。

2型糖尿病は、生活習慣の乱れや加齢などにより、インスリンの働きが低下して発生する糖尿病です。

糖尿病患者の多くが2型で、生活習慣病と表現される場合もあります。

妊娠糖尿病は、妊娠中に発症する糖尿病です。

胎盤が生成するホルモンがインスリンの働きを低下させると考えられており、家族に糖尿病患者がいる人や、過去の妊娠で高血糖となった人などが罹患する場合があります。

他に、遺伝子異常や他の病気および投薬治療の結果で糖尿病を発症するケースもあります。

糖尿病になると多くの症状がみられる

糖尿病に罹患すると、さまざまな症状がみられます。

糖尿病が原因で起こる主な症状は、以下のとおりです。

  • 尿の量が多くなる
  • のどが頻繁に渇き大量の水を飲む
  • 体重が減少する
  • 疲労を常に感じる

血液中の糖は、尿に含まれて体外に排出されますが、同時に水分も一緒に排出するため尿の量が多くなります。

多尿が影響して体内の水分が不足し、のどの渇きを頻繁に覚えて水分摂取量が増える場合が多いです。

さらに糖尿病になると、摂取した糖質をエネルギー源として効率よく使えなくなるため、代わりに体内のたんぱく質や脂肪をエネルギーに変換します。

その結果身体を作るたんぱく質や脂肪が減少し、体重低下につながります。

体重低下とエネルギー不足が影響し、疲労感が取れない場合も多いです。

軽症の段階では、自覚症状がみられず発見が遅れるケースも少なくありません。

少しでも違和感を覚えた場合は、早めに医療機関に相談するのがよいでしょう。

重度の合併症に発展する恐れも

糖尿病の状態が継続すると、重度の合併症状に発展する恐れがあります。

生活に多大な支障をきたすだけでなく、場合によっては命にかかわる危険な状態に見舞われるため、早期の治療が不可欠です。

糖尿病の合併症のうち、特に多い3つの合併症を以下に紹介します。

  • 失明の可能性がある糖尿病網膜症
  • 人工透析治療を要する糖尿病腎症
  • 足の壊疽などにつながる糖尿病神経障害

糖尿病の症状がみられた場合には、合併症状が生じる前に早期に治療を開始して対処するのが大切です。

失明の可能性がある糖尿病網膜症

糖尿病網膜症とは、糖尿病が原因で目の網膜に障害が起こる病気のことです。

病状が進行すると失明の恐れがあるため、症状が軽い段階で適切な治療をする必要があります。

高血糖の状態が続くと、網膜にある毛細血管は損傷を受けて、変形したり詰まったりします。

網膜のすみずみに酸素が行き届かなくなってしまい、目に甚大な損傷を与える恐ろしい病気です。

糖尿病に罹患した場合、特に目のトラブルがなかったとしても、定期的な眼科検診が推奨されています。

糖尿病網膜症は、病状が進行するまで自覚症状が出ない場合が多いため、気が付いたときには手遅れになっている恐れがあります。

糖尿病の疑いがある場合は、目の検査も同時に行うのがよいでしょう。

人工透析治療を要する糖尿病腎症

糖尿病腎症とは、糖尿病が原因で腎臓の働きが悪くなる病気のことです。

腎臓が十分に働かなくなると、体中のむくみや血圧上昇が起こったり、尿中たんぱく質量が増えたりします。

さらに病状が進行すると、血液内に老廃物が蓄積していき、腎不全や尿毒症など重篤な症状につながる可能性があります。

腎不全に至った場合は、人工透析治療が必要です。

人工透析治療の原因の大半が糖尿病腎症であるといわれており、高い確率で人工透析治療が必要になってしまいます。

病状が一定段階まで進んでしまうと、完治が難しくなってしまうため、早い段階で治療を開始して根気よく取り組むのが大切です。

足の壊疽などにつながる糖尿病神経障害

糖尿病神経障害とは、糖尿病が原因で神経周辺の毛細血管に障害が起こり、身体にトラブルが起こる病気のことです。

症状としては、手足のしびれやほてり、痛みなどが現れます。

病状が進行すると、動脈硬化が全身に広がって足先の血液循環が悪化するケースが多いです。

さらに体内の免疫機能も低下してしまうため、身体の各所に細菌が感染して炎症が起こるリスクが増えます。

神経が損なわれている状況では末端の傷や炎症に気付かない場合が多く、足の潰瘍や壊疽(えそ)につながってしまうリスクも高くなります。

場合によっては足の切断を余儀なくされるケースもあるため、早期に対応して病状が進行しないように注意しましょう。

オートミールとはオーツ麦を使ったシリアル

オートミールとは?オーツ麦を使ったシリアル

生命にかかわる重大な病気を引き起こす恐れのある糖尿病を予防するためには、オートミールなどの血糖値上昇を抑えられる食材の活用が有効です。

オートミールを普段食べない人の中には、グラノーラなど似たような形状の食材と混同してしまっている人もいるかもしれません。

オートミールとは、オーツ麦を加工して作られたシリアルのことです。

オートミールとはどのような食材か

一方、グラノーラやコーンフレークは形状は似ているものの素材や調理方法が異なります。

糖尿病予防を重視したい場合は、オートミールを間違いなく選択しましょう。

オートミールと似た形状の食材の違いについて、以下でまとめているので参考にしてください。

グラノーラは様々な具材に味付けを加えた加工食品

グラノーラとは、さまざまな具材を入れてオイルやシロップと合わせて、オーブンで加熱調理をして作られる食材のことです。

具材には、玄米などの穀物やナッツ、およびドライフルーツを利用します。

オートミールとの違いは、調理中に味付けをしている点です。

オートミールは、基本的に調理中に味付けを行いません。

一方、グラノーラは味わいのよさに主眼を置き、甘味を加えるケースが多いです。

グラノーラは、牛乳をかけてそのまま食べるとしっかりした甘味を感じられるため、原則的に調理をせずに食べます。

オートミールは味付けをしていないため、お好みでさまざまな調理ができるのが特徴です。

シュガーレスのグラノーラもあるものの、一般的なグラノーラには糖質が多く含まれているので、糖尿病予防には逆効果と考えましょう。

コーンフレークはとうもろこしが原料のシリアル

コーンフレークとは、名前のとおりとうもろこしが原料のシリアルのことです。

とうもろこしを細かく砕いてから加熱し、平らな形状にしてから焼くと、コーンフレークが完成します。

近年は、さまざまな形状のコーンフレークが販売され、チョコレートでのコーティングなど調理方法のバリエーションも豊富です。

一方、糖尿病予防の観点ではオートミールのほうが優れています。

コーンフレークはオートミールよりも糖質量が多く、糖尿病予防には適していません。

グラノーラもコーンフレークも、ともに形状や食べ方がオートミールと似ているため、間違って使用している人もいるのではないでしょうか。

糖尿病予防対策を行う場合は、間違えずにオートミールを選びましょう。

オートミールは健康上の利点が多い

健康上の利点が多い

オートミールは、健康上の利点が多い優れた食材です。

糖尿病予防に効果がある点に加え、健康維持に役立つ成分が多く含まれています。

オートミールを利用して糖尿病予防を目指しながら、他の健康上の利点も最大限に活かしましょう。

オートミールの健康上の利点について、主な要素を以下に4点紹介します。

糖尿病予防以外の健康上の利点
  • 低カロリーかつ低糖質
  • GI値も低めの食材
  • 食物繊維が多くダイエットにも効果が高い
  • 糖質の吸収を抑える作用

オートミールの魅力を理解して、普段の食生活に取り入れてみてください。

低カロリーかつ低糖質

オートミールは、低糖質の食材でカロリー量も少ないため、糖尿病予防に効果があります。

オートミールの特徴として、水につけると吸収してふやけます。

少量のオートミールでも、水や牛乳など水分に浸すとふやけてボリュームが増すため、食べる量を抑えられる点も魅力です。

カロリー量や糖質量が少ないうえ、少量でも空腹を満たせるので、血糖値上昇の抑制が期待できます。

普段白米を主食としている人は、オートミールに切り替えると糖尿病のリスクを軽減できるでしょう。

GI値も低めの食材

オートミールは、前述のとおりGI値も低めの食材です。

血糖値の上昇速度を示すGI値が低いほど、高血糖になるリスクを軽減できます。

オートミールは、他の主食に比べて低いGI値であるため、白米の代わりにオートミールを利用すると血糖値上昇を抑えられます。

オートミールのGI値に関して理解しておきたいのは、加工方法によってGI値が変動する点です。

硬い状態のオートミールは、柔らかいものと比較してGI値が高い傾向にあります。

糖尿病対策にオートミールを利用する場合は、加工方法や種類についても配慮するのがよいでしょう。

食物繊維が多くダイエットにも効果が高い

オートミールは、食物繊維が豊富に含まれている食材です。

ダイエットを目的として、オートミールを食事に取り入れている人も多いのではないでしょうか。

食物繊維は、消化されずに腸に到達し、善玉菌を増幅させて腸内環境を整える作用があります。

便秘解消により腸内がきれいになると、血糖値の適正化にもプラスの効果が期待できるため、食物繊維と糖尿病対策は相性がよいです。

さらに、食物繊維は胃の中で消化されず形状が維持されるため、満腹感の持続にもつながります。

空腹感を解消するため、糖質の多い食材を食べてしまう人も多いでしょう。

オートミールのような食物繊維が豊富に含まれている食材は、ダイエット効果が高く血糖値のコントロールにも役立ちます。

糖質の吸収を抑える作用

オートミールには、糖質の吸収を抑える作用もあります。

オートミールに豊富に含まれるβグルカンが、糖質の上昇を抑える働きを持ちます。

βグルカンとは食物繊維の一種のことで、水に溶けやすい成分です。

体内に取り入れられて溶けながら腸に張り付き、糖質が急激に吸収されるのを防止します。

血糖値の急激な上昇は、インスリンの過剰分泌を招き、血糖値を急速に下降させるように作用します。

血糖値が急激に変動するのは、糖尿病リスクを考えるうえで避けたほうがよいです。

オートミールの糖質の吸収を抑える作用は、糖尿病に罹患するリスクを軽減するうえで有効であると考えられています。

血糖値の上昇を抑えられるオートミールの食べ方を取り入れよう

オートミールの食べ方。効果を最大限に得られる食べ方

オートミールを摂取する際、食べ方次第で血糖値の上昇抑制効果をさらに高められます。

糖尿病予防にオートミールを取り入れる場合には、食べ方にも配慮して効果的に活用するとよいでしょう。

血糖値の上昇を抑える効果を最大限に得られるオートミールの食べ方として、以下に代表例を3点紹介します。

食べ方を工夫して効果を最大限に発揮
  • オートミールの摂取量を守る
  • セカンドミール効果を活かす
  • GI値の低い食材と合わせて摂取する

食べ方次第で、オートミールの効果は変化します。

可能な限り効率のよい利用方法を採用して、効果的な糖尿病予防を目指しましょう。

オートミールの摂取量を守る

オートミールを食事に取り入れる際は、摂取量を守るのが大切です。

1回の食事では、30~50gのオートミールの分量を目安にしましょう。

物足りないと感じる場合は、ナッツ類などのたんぱく質や脂質を健康的に摂取できる食材を組み合わせるとよいです。

オートミールは水を含むとふやけて膨張するため、少量でも十分な満腹感を得られます。

満腹感を得られるようにするため、しっかり噛みながらゆっくりと食べるように心がけます。

空腹感が満たされないからといって、最初に決めたオートミールの分量を増やすのは、かえって糖質摂取量を増やしてしまう恐れがあるため避けたほうが無難です。

セカンドミール効果を活かす

オートミールがもつセカンドミール効果を活かすのも、血糖値上昇を抑えるのに有効です。

セカンドミール効果とは、オートミールを食べた食事のみでなく、その次の食事においても糖質吸収を穏やかにする作用のことを指します。

たとえば、朝食にオートミールを食べると、昼食でも糖質吸収を抑え血糖値上昇を穏やかにする効果が期待できます。

セカンドミール効果は、体質などにより個人差があるため過信するのは避けましょう。

暴飲暴食や糖質が多い食事を繰り返したり、間食の回数を増やしたりしていると、セカンドミール効果が半減してしまう恐れもあります。

オートミールのセカンドミール効果を活かすため、普段の食生活を規則正しくするのも大切です。

GI値の低い食材と合わせて摂取する

オートミールを食事に取り入れる際は、GI値の低い食材と組み合わせて献立を用意すると効果的です。

オートミールは主食となる炭水化物の中では糖質が少ないですが、食材全般で比較すると多くの糖質量を含有しています。

オートミールに偏らないようにするため、他の食材を取り入れるのが大切です。

組み合わせる食材を選ぶ際には、GI値の低いものを優先的に選ぶとよいでしょう。

たとえば、牛乳やヨーグルトはGI値が低く、かつ食感や味の面でもオートミールと相性がよいです。

葉物野菜やきのこなどを使って、健康的なサラダ風のメニューを作るのも糖尿病予防に高い効果があります。

GI値の低い食材を組み合わせて、血糖値上昇を抑える効果を最大限に高めてみてはいかがでしょうか。

オートミールが逆効果になる場合も

オートミールの誤った利用方法

オートミールは、血糖値の上昇を抑えたり含有量の多い食物繊維の働きで満腹感が継続したりと、優れた食材です。

糖尿病予防に効果がある食材といえますが、利用方法によってはかえって逆効果になってしまう場合もあります。

オートミールの利点や性質を過信して、偏った食べ方をしていると摂取する糖質量が増えてしまうかもしれません。

オートミールの誤った利用方法として、以下に代表例を3点紹介します。

食べすぎると逆効果になるため注意
  • オートミールのみではバランスが取れない
  • 食べ過ぎるとカロリー過多の可能性も
  • オートミールのトッピング内容に配慮する

オートミールの優れた作用を最大限に活かすため、今回紹介する誤った食べ方をしないよう心がけましょう。

オートミールのみではバランスが取れない

オートミールのみを食べていては、十分な栄養のバランスが取れなくなってしまいます。

オートミールは炭水化物の中でも豊富な種類の栄養素を含有している食材です。

特に、ビタミンやミネラル成分の多さは、主食にできる食材の中では優れています。

一方、オートミールにはたんぱく質や脂質があまり含まれていません。

オートミールのみの食事を繰り返していると、たんぱく質や脂質が不足して筋力低下や集中力低下などが起こる可能性があります。

オートミールにプロテインパウダーやナッツ類を組み合わせるなどして、たんぱく質や脂質の摂取に配慮するとよいでしょう。

食べ過ぎるとカロリー過多の可能性も

オートミールを食べ過ぎると、カロリー過多になる可能性があります。

オートミールは、炭水化物の中では糖質量が少ない食材です。

しかし、食材全般の中で考えると、一定のカロリー量が含まれています。

食べ過ぎると、糖質摂取量が増えてしまいカロリー過多を招いてしまいます。

さらに、オートミールに豊富に含まれる食物繊維も、摂取しすぎると胃腸に負荷をかけてしまいかねません。

オートミールは水分につけてふやかすと量が増えるため、少量でも十分空腹感を解消できます。

オートミールを使った食事をする際は、30~50g程度を目安にして食べ過ぎに注意しましょう。

オートミールのトッピング内容に配慮する

オートミールを食べるときの、組み合わせるトッピングの内容にも配慮する必要があります。

オートミールを効率よく食事に取り入れるため、別の食材をトッピングとして取り入れるのはよい方法です。

ナッツ類を加えると、たんぱく質や脂質を効率よく補えます。

しかし、味わいを優先するあまり、チョコレートやシロップなど高カロリーの食材をトッピングに使いすぎると糖質過多になってしまう恐れがあります。

オートミール自体には味付けがされていないため、おいしく食べるために甘みのある食材をトッピングに使いたいと考える人もいるでしょう。

血糖値上昇を抑える目的でオートミールを利用する場合は、糖質の多いトッピングは避けて、ドライフルーツナッツを選択するのが一般的です。

オートミールを食事に取り入れる際に注意したい点も

オートミールの注意したい点。効率的なオートミールの活用

オートミールを食事に取り入れる際には、その効果をより高めるため、注意しておきたいポイントがあります。

血糖値の上昇を抑えるとともに、健康な身体を作るため、効率的なオートミールの活用を心がけましょう。

オートミールを食事に取り入れる際に注意したいポイントを、以下に2点紹介します。

  • オーガニックタイプのオートミールを選ぶ
  • 低血糖の状態にならないよう配慮する

オートミールを普段の食事に活かして健康を目指すために、ぜひ参考にしてください。

オーガニックタイプのオートミールを選ぶ

食事に取り入れるオートミールを選ぶ際は、オーガニックタイプのものを選ぶほうがよいです。

一般的に、穀物を栽培する際には大量の農薬を利用します。

オートミールのように商品として販売されている食材にも、農薬が残留している可能性があります。

より安全にオートミールを食べたい場合には、農薬を使用せずに栽培されたオーガニック素材を利用したものを選ぶとよいでしょう。

近年は、商品に生産者の情報を掲載するケースが多くなっています。

オーガニックの商品を探す際の参考になるため、商品の表示を詳しく確認して比較してみてください。

低血糖の状態にならないよう配慮する

オートミールは、血糖値の上昇を抑える効果のある優れた食材です。

しかし、食べ過ぎると高血糖の状態になり、体内で大量のインスリンが分泌されます。

急激に血糖値を下げるよう作用するため、結果的に低血糖になってしまう可能性があります。

低血糖になると、集中力の低下や頭痛などの症状がみられ、かえって健康が害されてしまうでしょう。

血糖値の急激な上昇を抑えるため、オートミールを含めた糖質を含む食材の摂取量に配慮するのが大切です。

どれほど優れた食材でも、食べ過ぎるとさまざまな弊害が起こるリスクがあります。

バランスよく食材を取り入れて、健康を意識しながら食事を用意するのが重要です。

オートミールを正しく食事に取り入れて効果的な糖尿病対策を

オートミールは、糖尿病予防に効果のある食材です。

糖質の急激な吸収を抑える作用をもつため、血糖値の上昇を穏やかにしてくれます。

含有している食物繊維の働きにより、満腹感が持続して食事量を抑えられるのも利点です。

オートミールと似ている食材として、グラノーラやコーンフレークなどが販売されています。

オートミールとは原料も栄養素も異なるため、糖尿病対策として利用する際には誤って選択しないようにしましょう。

オートミールは栄養バランスに優れた食材ですが、オートミールのみでは十分な栄養素が得られません。

食べ過ぎやトッピングの種類によっては、糖質過多になってしまう恐れもあるため、正しい食べ方を心がける必要があります。

糖尿病は、重篤な合併症状を引き起こす恐ろしい病気です。

今回の記事を参考にして、ぜひオートミールを食卓に取り入れて効果的な糖尿病予防に取り組んでみてください。

この記事の監修者

大学病院で糖尿病・内分泌内科の臨床医として経験を積み「リサーチマインドを持った診療」をモットーに日々研鑽を積んでまいりました。当院が少しでもあなた様のお役に立つことが出来れば幸いです。

■経歴
平成21年3月 金沢医科大学医学部医学科卒業
平成21年4月 杏林大学病院 初期臨床研修医
平成26年1月 金沢医科大学病院 糖尿病・内分泌内科学教室
平成30年4月 金沢医科大学病院 助教
平成30年9月 金沢医科大学大学院医学研究科 博士課程修了
令和3年1月 金沢医科大学病院学内講師
令和5年6月 Gran Clinic(石川県金沢市)院長

■所属学会
日本内科学会 認定医
日本糖尿病学会 専門医
日本抗加齢医学会 専門医
日本腎臓学会
日本内分泌学会

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