くるみが血糖値を整える理由とその優れた健康効果について詳しく解説

くるみが血糖値を整える理由。優れた健康効果について詳しく解説

くるみはナッツ類の中でも栄養素が豊富に含まれており、血糖値に対しても良い効果が期待できる食材です。

一方で、過剰な摂取はカロリーオーバーを起こす可能性があるため、1日に食べる量は意識しなければいけません。

本記事では、以下のポイントに基づき、くるみがどのように血糖値を安定化させるのかを解説します。

  • くるみが血糖値の安定化に役立つ理由とその根拠
  • くるみの有効な摂取方法と気を付けるポイント
  • 日常生活でくるみを上手に取り入れるための工夫

上記の視点をもとに、くるみが血糖値管理にどのように役立つのかをまとめます。

目次

くるみは食物繊維と良質な脂質により血糖値に対しても良い影響がある

血糖値に良い影響があるくるみ。食物繊維と良質な脂質

くるみはクルミ科の落葉高木で採れる木の実であり、ナッツ類に分類される食材です。

100gあたりの栄養素としては、主に以下のものが含まれています。

  • たんぱく質:14.6g
  • 脂質:68.8g
  • 食物繊維:7.5g
  • 炭水化物:11.7g
  • ナトリウム:4mg
  • カリウム:540mg
  • カルシウム:85mg
  • マグネシウム:150mg
  • リン:280mg
  • 鉄:2.6mg
  • 亜鉛:2.6mg
  • 銅:1.21mg

上記の中で血糖値に影響を与えるのは、脂質や食物繊維、マグネシウムです。

くるみに含まれる脂質は良質な不飽和脂肪酸であるため、血糖値に影響しません。

また、食物繊維は糖分の吸収を緩やかにする効果があり、血糖値の急上昇を防ぐ点で重要な役割を果たします。

ミネラル類も多く含まれており、特にマグネシウムはインスリンに対して効果的な成分です。

くるみは低GI食品に該当していて血糖値の上昇速度が緩やかである

GI値は、食品を摂取した後の血糖値の上昇速度を示す指標です。

数値が低いほど、血糖値の急激な上昇である血糖スパイクを起こす可能性が低いとされています。

GI値は数値によって、一般的に以下の3つに分けられます。

  • 70以上:高GI食品
  • 56~69:中GI食品
  • 55以下:低GI食品

くるみのGI値は18と非常に低く、白米や食パンなどの高GI食品と比べて、血糖値を緩やかに保つのに適しています。

そのため、血糖管理を意識した食事法や糖質を抑えたい人にとって、くるみは理想的な食品といえるでしょう。

低GI食への置き換えを検討する際、くるみは非常に有用な選択肢です。

くるみに含まれるオメガ3系脂肪酸はインスリンへの効果が期待される

くるみには、体に良いとされる植物性の不飽和脂肪酸、特にオメガ3系脂肪酸が豊富に含まれています。

植物性の不飽和脂肪酸の主な効果は、以下のとおりです。

  • 動物性の脂質と比較して、体に脂肪として付く可能性が低い
  • 悪玉コレステロールを低下させる
  • 細胞膜の柔軟性を高め、インスリン感受性を高める

インスリン感受性が高まると、血糖のコントロールは容易になるでしょう。

オメガ3系脂肪酸は体内の炎症反応を調整し、過剰な炎症を抑えるという研究報告もあります。

炎症を抑える作用は糖代謝の改善にも寄与すると考えられており、血糖管理やメタボリックシンドローム予防にも役立ちます。

くるみの2種類の食物繊維とマグネシウムにより血糖値の急上昇を防ぐ

くるみには不溶性と水溶性の2種類の食物繊維が含まれており、それぞれ以下のような効果があります。

  • 不溶性食物繊維:腸の働きを活発するなど、整腸作用がある
  • 水溶性食物繊維:水に溶ける性質から便を柔らかくする

上記の効果に加えて、食物繊維は糖分の吸収を緩やかにする効果があるため、腸の調子を整えながら血糖値の上昇を抑えます。

一方、マグネシウムを始めとした、ミネラル類はインスリンの働きをサポートする重要な微量栄養素です。

特にマグネシウムの摂取は、インスリン感受性の向上や血糖コントロールの安定に寄与すると研究結果が出ています。

日々の食生活に取り入れて、糖代謝の改善や生活習慣病予防に役立てましょう。

くるみは1日に10粒前後を朝食や間食に取り入れるのが効果的である

くるみは1日に10粒前後、朝食や間食に取り入れるのが効果的

血糖値管理を目的にくるみを取り入れる場合、1日の摂取量の目安は1日20〜30g程度です。

これはくるみ約8〜10粒とされており、栄養バランスとカロリーの両面から見て適切な範囲とされています。

摂取タイミングとしては、以下のようなシーンが効果的です。

  • 間食として時:血糖スパイクを避ける目的で、お菓子やパンの代わりにくるみを選択する
  • 朝食時:糖質の多い朝食に合わせて摂取し、血糖の急上昇を抑制
  • 外食前に:外食時の過剰な糖質摂取を緩和する

くるみに含まれる食物繊維が血糖値を緩やかにする性質は、食べてすぐに発揮されるわけではありません。

そのため、摂取した食物繊維がある程度消化されてから、糖質を摂取したほうがより効果的です。

間食や朝食にくるみを取り入れておくと、昼食や夕食前に食物繊維をあらかじめ摂取している状態となり、血糖値上昇の抑制に役立つ可能性があります。

ほかの食材との組み合わせて毎日の食事に取り入れると飽きずに食べられる

くるみは加工せずそのまま食べられますが、日々の食事に工夫して取り入れると飽きずに食べ続けられます。

食事に取り入れるときの具体例は、以下のとおりです。

  • ヨーグルトやサラダのトッピング:乳製品や野菜と組み合わせて、味の変化と栄養バランスが整う
  • 蒸し野菜やきんぴらなど和惣菜へ入れる:甘辛い味付けにも合い、家庭料理との親和性が高い
  • 砕いて粉末状にし、ドレッシングやスープに加える:嚙む力が弱い高齢者や咀嚼が困難な人にも適応できる

さまざまな調理法を活用して、日常生活に無理なく取り入れましょう。

血糖値に対する薬を服薬中の場合はくるみの摂取を医師や管理栄養士に相談する

糖尿病や血糖値異常の管理を行っている人は、くるみの摂取量や食べるタイミングについて、自己判断するのは避けましょう。

くるみは血糖値の安定に寄与する栄養素を含んでいるため、個々の体調や病状、薬物治療との調整を行い適切な摂取量やタイミングを図る必要があります。

特にインスリンや血糖降下薬を使用している場合、くるみの摂取が低血糖リスクを高める可能性もあります。

そのため、食生活に加える前には必ず医師や栄養士などの専門家に相談し、個別の状況に合った指導を受けるのが安全です。

ナッツ類のアレルギーや過剰摂取で体に影響が表れる可能性がある

くるみは栄養価の高い食品として知られていますが、ナッツ類のアレルギー反応が起こる可能性があります。

かゆみや腹痛、吐き気などの異常が発生した場合は、くるみを食べるのは一旦止めましょう。

アレルギーがない人でも、食物繊維や脂質の過剰摂取は以下のような症状を引き起こす可能性があります。

  • 食物繊維:整腸作用が過剰に出て、軟便やお腹が緩くなる
  • 脂質:脂質の過剰摂取でカロリー過多になり、体重に影響が出る

良質な不飽和脂肪酸でも脂質には変わりがないため、くるみの1日あたりの摂取量は厳守してください。

オメガ3系脂肪酸の酸化リスクを避けるために保存の仕方を意識する

くるみに含まれるオメガ3系脂肪酸は、空気や直射日光、湿気に長時間さらされると酸化して品質が劣化します。

酸化したナッツは苦味やペンキのような異臭を伴い、摂取すると体内でも酸化を引き起こして、健康に悪影響を与える可能性があります。

くるみは以下の方法で、酸化を防ぎながら一定期間の保存が可能です。

  • 密閉容器やジップロックなど、くるみが空気に触れないような状態にする
  • 冷蔵庫や冷凍庫は温度変化が少なく、くるみに当たる光も抑えられる
  • 冷蔵は1ヶ月以内、冷凍は3ヶ月以内を目安に食べきる

冷凍した場合は1年程度保管できますが、長期保存するとくるみの風味が徐々に損なわれます。

美味しく食べるためには、購入後になるべく早く食べきるようにしましょう。

くるみを取り入れて日常的に血糖値と向き合いながら生活する

くるみは豊富な栄養素を含む食材であり、オメガ3系脂肪酸や食物繊維、マグネシウムが血糖値に対して効果的に働きます。

低GIに該当する食材でもあり、血糖値の上昇を緩やかにする効果だけでなく、整腸作用や炎症抑制の健康効果が得られます。

1日の摂取量は20〜30gに相当する10粒前後を、朝食や間食に取り入れるのが効果的です。

くるみは過剰摂取すると、お腹の不調やカロリー過多になる可能性があるため、適切な量を摂取するのが推奨されます。

毎日継続的に摂取できるように、ほかの食材との組み合わせで味や食感を変えながら、くるみを美味しく食べましょう。

この記事の監修者

大学病院で糖尿病・内分泌内科の臨床医として経験を積み「リサーチマインドを持った診療」をモットーに日々研鑽を積んでまいりました。当院が少しでもあなた様のお役に立つことが出来れば幸いです。

■経歴
平成21年3月 金沢医科大学医学部医学科卒業
平成21年4月 杏林大学病院 初期臨床研修医
平成26年1月 金沢医科大学病院 糖尿病・内分泌内科学教室
平成30年4月 金沢医科大学病院 助教
平成30年9月 金沢医科大学大学院医学研究科 博士課程修了
令和3年1月 金沢医科大学病院学内講師
令和5年6月 Gran Clinic(石川県金沢市)院長

■所属学会
日本内科学会 認定医
日本糖尿病学会 専門医
日本抗加齢医学会 専門医
日本腎臓学会
日本内分泌学会

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