春雨が血糖値に与える影響とは!上手な取り入れ方をやさしく解説

春雨が血糖値に与える影響とは!上手な取り入れ方をやさしく解説

春雨はヘルシーでカロリーが低いイメージから、ダイエットや健康志向の食事に取り入れられる食材です。

しかし春雨は糖質が多いため、血糖値が上昇するのではないかという疑問を持っている人も少なくありません。

実際に春雨は原料によって血糖値上昇の仕方が変わり、食べ方次第で血糖値への影響も異なります。

そこで本記事では、春雨が血糖値に与える影響と、健康的に取り入れるための工夫を医学的根拠に基づいて解説します。

この記事でわかること
  • 春雨はデンプンが加熱や乾燥されて作られているため、消化スピードが遅く血糖値の急上昇を抑えられる
  • 緑豆春雨は低GI食品に分類され、糖尿病や肥満のリスクを低下させる
  • 春雨は調理法や食べる順番、組み合わせによって血糖値への影響が変わる
  • 無理なく継続するために、季節の食材を取り入れたり、まとめて戻して保存したりすると良い
  • 春雨は糖尿病を治療している人や糖尿病予備軍の人に限らず、ダイエット中の人や健康維持したい人にも有効な食材

糖尿病治療中や予備軍の人に限らず、健康やダイエット目的で主食の代わりに春雨を検討している人は、内容を確認しましょう。

目次

春雨が血糖値の急上昇を抑えられる理由は原料や製造過程にある

春雨が血糖値の急上昇を抑えられる理由

春雨はカロリーが低くてダイエット向きというイメージがあるものの、実際には原料や調理方法によって血糖値への影響が変わります。

春雨の中でも緑豆から作られたものは、消化されるスピードがゆっくりで、食後血糖値の急上昇を避けられます。

これは春雨を作るときにデンプンが加熱、乾燥されて麺になる過程で、一部が消化されない形へ変わるためです。

これにより、身体の中で消化が少しずつ進み、白いご飯やパンよりも血糖値の上昇が緩やかになります。

次の内容では、血糖値を意識した春雨の調理法や献立を紹介します。

参考:Resistant starch: promise for improving human health
豆の主な機能性成分 | 公益財団法人 日本豆類協会

緑豆春雨が低GI食品であると知り糖尿病リスクの軽減につなげる

緑豆春雨は血糖値の上昇が緩やかであるため、低GI食品に分類されます。

GI値は食事全体における炭水化物の食後血糖値の上昇を示す指標です。

下記の表はGI値ごとに分類し、さらに食品例を整理したものです。

GI値分類食品例
70以上高GI食品白米、食パン
56~69中GI食品じゃがいも春雨
55以下低GI食品緑豆春雨

緑豆春雨が低GI食品である理由は、以下の特徴があるためです。

  • 緑豆のデンプンは消化に時間がかかる構造を持っている
  • 春雨を作る過程で一部がレジスタントスターチという、消化に時間のかかるデンプンに変わり、吸収がゆっくりになる

GI値が低い食品は食後の急な血糖値上昇を防ぎ、身体への負担を減らす他、血糖値の変動も軽減して食後の眠気やだるさを解消します。

これらの効果は長い目で見ると、将来的な糖尿病や肥満のリスクを低下させるのです。

参考:国立がん研究センター 食事のGIおよびGLと糖尿病発症のリスクとの関連について北海道科学大学 GI値とは?食品のGI値や体に与える影響をわかりやすく解説
International tables of glycemic index and glycemic load values 2021: a systematic review

血糖値を意識して春雨を取り入れるときは量や調理法の工夫が大切

春雨は白米やパンの代わりに取り入れると、血糖値の上昇を緩やかにする効果が期待できる一方、無制限に食べて良いわけではありません。

食べる量や調理法、他の食材との組み合わせによって血糖値への影響は変わります。

ここでは、血糖値を安定させながら春雨を活用するポイントを紹介します。

ポイント内容
量を調整する食べすぎると血糖値上昇の原因となるため、目安として1食あたり乾燥春雨で30~40g程度を主食の代わりにする
野菜やタンパク質と組み合わせる春雨だけでは血糖値が少し上昇する可能性があるため、サラダやスープにして野菜や鶏肉、豆腐などのタンパク質と一緒に食べる
調理法に気を付ける春雨を揚げ物や油たっぷりの炒め物にすると、血糖値の上昇だけでなく、カロリーも増えるためスープや蒸し料理にする
じゃがいも春雨と緑豆春雨を正しく選択する血糖値をより安定させたい場合は緑豆春雨を優先する
食べる順番を工夫する野菜やタンパク質を先に食べてから春雨を食べると、血糖値の上昇をさらに抑えられる

春雨を主食の代わりに活用すると、血糖値の急上昇を抑えつつ、カロリーや炭水化物の量を調整できるメリットがあります。

ただし満腹感がやや低く、栄養素が偏ったり、じゃがいも春雨は血糖値が急上昇したりする可能性があるため、気を付ける必要があります。

緑豆春雨を選び、野菜やたんぱく質と組み合わせると、春雨のメリットを最大限に活かせるでしょう。

参考:糖尿病診療ガイドライン2024 | 糖尿病情報センター – NCGM

今日からできる糖質を抑えるための春雨を使った献立のヒント

糖質制限を意識した春雨のレシピは、ネット上に複数載せられています。

ここでは料理初心者が簡単に実践できる工夫を厳選して、紹介します。

メニュー料理の工夫理由
野菜たっぷり春雨サラダ・春雨にレタスやきゅうり、トマトやパプリカなどの好きな野菜をたっぷり加える
・ノンオイルや酢ベースのドレッシングをかける
・春雨の量を控えめにできるため、糖質を抑えつつ満腹感も得られる
春雨スープ・春雨ときのこやキャベツ、ほうれん草などをスープに入れる
・鶏胸肉や豆腐を加える
・水分と食物繊維で満腹感が得られる
・タンパク質を加えると、血糖値の上昇がより緩やかになる
春雨の炒め物・春雨は少量にして、鶏肉や豚肉、海老などのタンパク質とブロッコリーやパプリカなどの野菜を中心に炒める
・少量のオイスターソースや醤油、香辛料で味付けする
・カロリーや糖質を抑えられる

食べすぎを防ぐためには、春雨が持つ満腹感を活かすのも大切です。

春雨は水分を吸うと膨らむため、乾燥春雨を少なめにしたり、野菜やスープを先に食べたりすると自然と食べ過ぎを予防できます。

春雨と血糖値に関する疑問について医学的根拠をもとに解消する

春雨と血糖値に関する疑問。医学的根拠をもとに解消

ここまで春雨の基本情報や取り入れ方を説明してきたものの、実際に食生活に取り入れてみると、改めて疑問が出てくる可能性もあるでしょう。

次の内容では今後疑問が出てきたときに困らないよう、医学的な根拠をもとに回答をまとめました。

春雨とマロニーは同じですか?

春雨は緑豆やじゃがいもなどのデンプンから作られるのに対し、マロニーはじゃがいもデンプンとコーンスターチを主原料としています。どちらも低脂質、低カロリーである一方、GI値や糖質量は原料によって多少異なります。血糖値対策としては、原料の確認が大切です。

春雨サラダは血糖値に良いのですか?

春雨サラダ自体は脂質が少ないものの、春雨単体は糖質が高めです。そのため野菜や卵、鶏肉などと組み合わせると食後血糖値の上昇を抑えられます。

春雨を戻すときのお湯の温度は血糖値に関係しますか?

春雨は、戻すときの温度や時間によってデンプンの状態が変わります。高温だったり時間をかけたりして戻すと、デンプンが水と熱によって性質を変え、消化吸収を速めて血糖値を上昇させます。40~60℃程度の低温だったり、時間をかけたりせずに戻すと、消化の速度が緩やかになる可能性があります。

調理法によって血糖値の影響は変わりますか?

変わります。炒め物やサラダよりも、スープや鍋に入れると水分や具材と一緒に食べられるため、血糖値の急上昇を抑えられます。

参考:Factors influencing the starch digestibility of starchy foods: A review

春雨を取り入れた食事を無理なく継続して血糖管理に役立てる

春雨を取り入れた食事を継続して血糖管理に役立てる

春雨はカロリーや糖質が比較的低いため、継続して取り入れられると血糖値のコントロールを意識する人に対し、有効な食材となります。

ただしデンプンが主体であり、単体で大量に摂取すると血糖値が上昇する可能性があるため、先述した内容を参考に上手に取り入れるのが大切です。

すぐ飽きてしまう人や、調理の手間などから継続の難しさを感じる人は、以下のポイントを押さえると良いでしょう。

  • 主食をすべて春雨に置き換えるのではなく、ご飯や麺の一部を春雨に代える部分置き換えを行う
  • 野菜やきのこ、鶏肉や魚など、組み合わせる食材を季節や気分に合わせて変える
  • まとめて戻して冷蔵保存し、必要な分だけ料理に加え、手間を省く

自分好みにアレンジしたり、自分に合った方法を探したりするのが、無理なく継続するためのコツです。

春雨の力を借りて健康的で美味しい食生活を送りましょう!

春雨は低脂質で比較的GI値が低い食品であるため、血糖値の急上昇を抑えたい人にとって頼もしい存在です。

主食をすべて置き換える必要はなく、ご飯や麺の一部を春雨に代えるだけでも、食後の血糖値変動を緩やかにできます。

春雨の淡白な味わいは野菜やタンパク質食材との相性も良く幅広い料理に活用可能で、日常の工夫次第で健康管理と美味しさを両立できる強みもあります。

糖尿病治療中や予備軍の人に限らず、ダイエット中の人や健康を維持したい人にとっても有望な味方となります。

本記事を通じ、春雨を上手に取り入れる方法を身につけましょう。

春雨の力を借りて、前向きに病気予防や健康維持と向き合いながら、豊かで美味しい食生活を楽しんでください。

この記事の監修者

大学病院で糖尿病・内分泌内科の臨床医として経験を積み「リサーチマインドを持った診療」をモットーに日々研鑽を積んでまいりました。当院が少しでもあなた様のお役に立つことが出来れば幸いです。

■経歴
平成21年3月 金沢医科大学医学部医学科卒業
平成21年4月 杏林大学病院 初期臨床研修医
平成26年1月 金沢医科大学病院 糖尿病・内分泌内科学教室
平成30年4月 金沢医科大学病院 助教
平成30年9月 金沢医科大学大学院医学研究科 博士課程修了
令和3年1月 金沢医科大学病院学内講師
令和5年6月 Gran Clinic(石川県金沢市)院長

■所属学会
日本内科学会 認定医
日本糖尿病学会 専門医
日本抗加齢医学会 専門医
日本腎臓学会
日本内分泌学会

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