糖尿病と微熱の関係を解説!炎症や感染の重症化を未然に防ごう

糖尿病と微熱の関係を解説!炎症や感染の重症化を未然に防ごう

糖尿病にかかっている人の体温が37度台に上がる原因の一つに、体内の炎症や感染症の進行があります。

こうした体温の変化は、重症化や合併症を防ぐために重要な手がかりです。

この記事では、糖尿病と微熱の関係を医学的な視点から整理し、早期対応につなげるための知識を解説します。

この記事でわかること
  • 微熱は、体内で起きている炎症や感染を知らせる静かな警告である
  • 様々な感覚が低下する糖尿病性神経障害は、感染症の発見を遅らせる
  • 呼吸器感染症の発症リスクが高まり、肺結核や肺炎が微熱を伴って潜伏する
  • シックデイの対応を迅速に開始して、血糖値の異常な変動を抑える

糖尿病の人や体が熱っぽい人、健康に関心のある人は、参考にしてださい。

目次

微熱は体内で起きている炎症や感染を知らせる静かな警告である

糖尿病にかかっている場合、37度台の微熱は体内で炎症や感染が進行している可能性を示す警告サインです。

糖尿病では慢性的な高血糖状態から、免疫機能が低下して細菌やウイルスへの抵抗力が弱まります。

その結果、通常は速やかに排除されるはずの軽度な感染や炎症が体内に残存し、微熱という形で持続的に現れます。

37度台は多くの人が微熱と捉えますが、糖尿病にかかっている場合は継続的な観察が必要です。

免疫細胞の働きが低下すると、炎症反応は起きていても強い発熱反応が出現しないケースがあり、高熱ではなくて微熱のまま経過します。

これは、体の防御反応が十分に機能していない状態を反映しています。

尿路、呼吸器などは糖尿病の人にとって感染がよく起こる部位であり、初期段階では微熱以外の症状が明確に現れない人も少なくありません。

さらに、微熱が数日から1週間以上続く場合は、体内のどこかで炎症が慢性化している可能性があります。

このように、糖尿病の人における微熱は単なる体温変動ではなく、身体が発する静かな異常サインとして捉える必要があります。

早い段階で原因を探り、医療機関に相談して、感染症の重症化を防ぎましょう。

様々な感覚が低下する糖尿病性神経障害は感染症の発見遅らせる

様々な感覚が低下。糖尿病性神経障害

糖尿病性神経障害は感染症の自覚を妨げ、発見を遅らせる要因です。

糖尿病が長期間続くと、神経細胞や血管が傷ついて糖尿病性神経障害を発症する可能性があります。

この状態では痛みや温度、違和感といった感覚が正常に伝わらず、身体の異常を察知する力が弱まります。

本来、痛みや腫れは、体の中の炎症や感染を知らせるサインです。

しかし神経障害が進行すると、こうした刺激が脳に正確に伝わらず、異常を認識しないまま日常生活を続けてしまいます。

その結果、感染症が進行してから初めて微熱や全身倦怠感として現れます。

特に糖尿病にかかっていると、免疫力の低下と神経障害が同時に存在するため、感染症が気づかないまま進行してしまう場合が多いです。

痛みがない、もしくは軽度であるために問題がないという誤った判断につながり、医療機関への受診が遅れます。

このような原因から、糖尿病の人にとって微熱は唯一の異常サインとなる場合があります。

糖尿病にかかっている場合は微細な体調変化を意識すると、深刻な感染症の早期発見が可能です。

参照元:神経障害 – 糖尿病情報センター

尿路感染症や腎盂腎炎は微熱のみが自覚症状として現れて進行する

糖尿病性神経障害のある人は、尿路感染症や腎盂腎炎が微熱のみで進行する場合があります。

尿路感染症は本来、排尿時の痛みや頻尿、残尿感などが現れる病気です。

しかし、糖尿病性神経障害があるとこれらの症状が明確に現れません。

高血糖状態では細菌の増殖が促進され、尿中で細菌が繁殖する傾向があります。

一方で、免疫反応が十分に働かないため、感染が進行しても自覚症状が乏しいまま経過します。

そのため、微熱や軽い倦怠感は唯一のサインです。

腎盂腎炎でも、腰痛や悪寒といった典型的な症状が現れない人もおり、気付いた時には重症化している場合があります。

腎機能低下や敗血症に至る危険もあるため、微熱が続く場合には尿検査や血液検査が重要です。

糖尿病の人においては、症状が少ないから軽症とは限らないという認識を持ち、微熱を軽視しない行動が求められます。

特に高齢の人は、加齢による感覚低下と糖尿病が重なり、体調変化を自覚できない傾向にあります。

定期的な尿検査は、微熱の原因となる感染症を早期に発見する有効な手段です。

足の小さな傷から細菌が侵入して感染症を引き起こして微熱の原因となる

糖尿病にかかっている人は足の細かな傷が重篤な感染症へと進行し、微熱の原因となる場合があります。

糖尿病性神経障害が進行していると、足裏や足先の感覚が鈍くなり、靴擦れや細かな傷に気がつきません。

そこに、血流障害と免疫機能低下が重なると、傷口の治癒が遅れて細菌が増殖します。

その結果、蜂窩織炎や壊疽といった重篤な感染症に発展するケースがあります。

これらの感染症で、局所の痛みや腫れが目立たない一方、持続的に現れるのが微熱です。

糖尿病の人にとって足病変は重大な合併症の一つであり、進行すると入院や手術が必要になります。

毎日の足の観察や清潔保持、異常の早期発見が、微熱の元である感染症を防ぐ重要な対策です。

特に裸足で過ごす習慣や合わない靴の使用は、皮膚損傷の原因となります。

日常生活の中で足を守る行動を意識できると、感染予防と微熱の早期回避につながります。

参照元:糖尿病足病変 – 糖尿病情報センター

呼吸器感染症の発症リスクが高まり肺結核や肺炎が微熱を伴って潜伏する

呼吸器感染症の発症リスク。肺結核や肺炎が微熱を伴って潜伏

糖尿病にかかっていると呼吸器感染症の発症リスクが高く、肺炎や肺結核が微熱を伴って進行する可能性があります。

高血糖状態は免疫細胞の機能を低下させ、肺に侵入した病原体に対する防御力を弱めます。

そのため、肺炎や結核といった感染症に罹患する可能性が高いです。

肺炎では咳や痰、息切れといった典型的な症状が目立たず、微熱や体のだるさのみが続く場合があります。

特に高齢であると、症状が非典型的になる傾向があるためよく観察が必要です。

さらに肺結核は本来進行が緩やかな感染症であるにも関わらず、糖尿病の人では免疫力の低下によって結核菌が活性化するため、微熱が続く人もいます。

微熱が数週間以上続く場合には、結核を含めた検査を検討しましょう。

呼吸器感染症は早期治療が予後を左右するため、症状が軽度でも医療機関への相談が重要です。

参照元:成人肺炎診療ガイドライン2024 – 日本呼吸器学会

結核 – 厚生労働省

シックデイの対応を迅速に開始して血糖値の異常な変動を抑える

微熱を感じた段階でシックデイ対応を開始すると、糖尿病の重症化防止ができます。

シックデイとは、感染症や体調不良時に血糖コントロールが乱れる状態のことです。

糖尿病にかかっていると、発熱や食欲低下が血糖値の急変動を引き起こす可能性があります。

初めに、血糖測定の頻度を増やして、異常な変動がないかを確認します。

インスリンや内服薬については自己判断で中断せず、主治医と相談しながら調整しましょう。

次に、水分補給と安静を徹底して、脱水や糖尿病性ケトアシドーシスの発症を防ぎます。

さらに、尿の濁りや皮膚の赤みなどを自分で観察して、感染部位の特定も意識してください。

微熱以外の症状をメモし、早めに医療機関を受診する行動が、入院や重篤な合併症を回避する鍵となります。

参照元:シックデイ – 糖尿病情報センター

身体の変化に敏感に向き合う姿勢が糖尿病とともに歩む未来の健康を守る

微熱を軽視しない姿勢が、将来の健康を守ります。

糖尿病は日常的な血糖管理に加え、感染症や合併症の早期発見が重要な疾患です。

免疫機能低下や神経障害により、症状が目立たないまま進行する感染症が存在します。

微熱は、そうした異常を知らせる数少ないサインの一つです。

体温や皮膚、排泄などの変化に日頃から意識して、異変を感じたら早めに医療機関へ相談しましょう。

小さな気付きの積み重ねが、重症化や合併症を防ぎ、糖尿病と共により良い未来を歩むための土台となります。

微熱を記録し経過を把握する習慣は、医師との情報共有にも役立ちます。

異変を積極的に専門家に伝える姿勢が、適切な治療につながるのです。

この記事の監修者

大学病院で糖尿病・内分泌内科の臨床医として経験を積み「リサーチマインドを持った診療」をモットーに日々研鑽を積んでまいりました。当院が少しでもあなた様のお役に立つことが出来れば幸いです。

■経歴
平成21年3月 金沢医科大学医学部医学科卒業
平成21年4月 杏林大学病院 初期臨床研修医
平成26年1月 金沢医科大学病院 糖尿病・内分泌内科学教室
平成30年4月 金沢医科大学病院 助教
平成30年9月 金沢医科大学大学院医学研究科 博士課程修了
令和3年1月 金沢医科大学病院学内講師
令和5年6月 Gran Clinic(石川県金沢市)院長

■所属学会
日本内科学会 認定医
日本糖尿病学会 専門医
日本抗加齢医学会 専門医
日本腎臓学会
日本内分泌学会

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