海藻は血糖値の急上昇を抑えるのに役立つ!最適なタイミングや食べ方を解説

海藻。血糖値急上昇を抑えるのに役立つ!最適なタイミングや食べ方を解説

海の恵みとも呼ばれる海藻は健康の維持に役立つ食品として、日本人になじみ深い食材です。

食物繊維やミネラル、鉄分などの栄養素が含まれており、血糖値の上昇を抑える効果が期待できます。

今回は、海藻が血糖値コントロールに良い影響を及ぼすしくみと効果的な食べ方を解説します。

この記事でわかること
  • 海藻類は血糖値コントロールに良い影響を及ぼす
  • 食べるタイミングは食前または食事の最初が効果的
  • 代表的な海藻で得られる効果と食べ方の具体例
  • 血糖値が気になる人が食べる際は量や添加された調味料に気を配る

海藻が血糖値に与える影響を知りたい人、身近な食材で健康を維持したい人はぜひ参考にしてください。

目次

海藻類には血糖値コントロールに良い影響を及ぼす3つの理由がある

海藻類。血糖値コントロールに良い影響

海藻類は、以下3つの理由から血糖値コントロールに良い影響を及ぼします。

  • 水溶性食物繊維が糖質の吸収をおだやかにする
  • 色素成分に糖尿病や肥満の予防効果がある
  • 糖質やカロリーが少ない

糖尿病の発症や悪化を予防するには、血糖値を可能な限り正常値に近づける血糖値コントロールが重要な役割を果たします。

海藻類には血糖値の急上昇を防いで糖尿病を予防する成分が含まれており、血糖値が気になる人も積極的に摂取したい食品です。

主な栄養素として、以下が挙げられます。

  • カルシウム
  • 亜鉛
  • 食物繊維
  • ビタミンなど

海藻類に含まれる成分の中でも特に血糖値に効果があるのが、食物繊維と色素成分のフコキサンチンです。

海藻類に含まれる水溶性食物繊維が糖質の吸収をおだやかにする

海藻類に含まれる水溶性食物繊維には糖質の吸収をおだやかにする作用があり、食後に血糖値が急上昇するのを抑えられます。

食物繊維には水溶性と不溶性の2種類がありますが、水溶性食物繊維は水に溶けてゲル状になり、消化管の中をゆっくり移動して糖質の吸収速度を遅らせる働きがあるためです。

海藻類には、独自のぬめり成分であるアルギン酸やフコイダンなどの水溶性食物繊維が含まれています。

アルギン酸血糖値や血圧を低下させて、糖尿病をはじめとする生活習慣病の予防に役立ちます。

余分なコレステロールや中性脂肪を体外に排出する作用もあり、ダイエットにも役立つ成分です。

フコイダン腸内環境を整えて免疫力を向上させる作用があり、血栓の予防やがんへの効果が期待できます。

血圧やコレステロール値の低下、腸内環境の改善は血糖値にも関係しており、糖代謝全体に良い影響を及ぼします。

アルギン酸やフコイダンは血糖値が気になる人は積極的に摂取したい成分ですが、海外では海藻はあまり食べられていません。

海に囲まれた島国である日本は、古くから海藻を食材の1つとみなし、長年にわたって食べてきました。

独自の食文化により、多くの日本人は海藻を分解する消化酵素を持っているともいわれています。

色素成分のフコキサンチンは糖尿病や肥満を予防する効果がある

フコキサンチンは、わかめやもずくなどに含まれている天然の色素成分であり、糖尿病や肥満を予防する効果があります。

血糖値の過去1ヶ月〜2ヶ月の平均的な数値を表す指標にHbA1cがありますが、フコキサンチンの継続的な摂取によってHbA1cの改善が見込めます。

札幌医科大学が行った試験では1日2mgのフコキサンチンを8週間摂取したところ、HbA1cが改善したという結果が得られました。

別の実験ではフコキサンチンの摂取によって内臓脂肪の蓄積が抑えられ、体重やウエストの周囲径が減少したという研究結果もあります。

内臓脂肪の蓄積はインスリンの効きが悪くなるインスリン抵抗性が起こる主な要因となるため、フコキサンチンの摂取が良い影響を及ぼします。

糖尿病と肥満は密接に関係しており、血糖値コントロールには体重管理も重要です。

海藻類にごくわずかのみ含まれる微量な成分ですが、糖尿病や肥満の予防をはじめ抗酸化作用や抗がん作用も期待できます。

海藻類は糖質やカロリーが少なく血糖値に悪影響を与えない

海藻類は全般的に糖質やカロリーが少なく、血糖値に悪影響を与えないという特徴があります。

食品に含まれる糖質は血糖値を上げる直接原因となるため、血糖値を安定させるには食材選びが大切です。

食品は血糖値の上昇速度を表すGI値によって3つに分けられますが、海藻類は低GI食品に分類されます。

食品のGI値による分類と基準となる数値は、以下のとおりです。

分類GI値
低GI食品55以下
中GI食品56以上69以下
高GI食品70以上

低GI食品は食後の血糖値がゆるやかに上昇し、インスリンの過剰な分泌を防いですい臓の負担を軽減できます。

高GI食品を食べる際も低GI食品との組み合わせで血糖値の急激な上昇を防げるため、血糖値コントロールに役立ちます。

GI値とカロリーは必ずしも比例しませんが、海藻類は全般的にカロリーが低く、体重や1日の摂取カロリーを管理する上でも役立つ食品です。

健康効果を最大限に引き出すには食べ方も大切なため、海藻を食べるタイミングについて解説します。

海藻を食べるのに最適なタイミングは食前または食事の最初

海藻を食べる最適なタイミング

海藻は食前または食事の最初に食べると、食後の血糖値の急上昇を防ぐ効果が大きくなります。

血糖値は同じ食事内容でも食べる順番によって数値が異なり、食物繊維を多く含む食品を最初に食べると血糖値の上昇がゆるやかになるためです。

食事の最初に野菜を食べる健康法としてベジファーストが知られていますが、海藻類を最初に食べると野菜以上の効果が期待できます。

血糖値を上げない食べる順番は最初に食物繊維が多い海藻類や野菜、次にタンパク質が多い肉や魚、最後に糖質が多い炭水化物です。

食事の栄養素は最初に食べた物のほうが後から食べる物より吸収率が高くなるため、血糖値を上げる原因となる炭水化物はできる限り後半に食べるようにします。

血糖値の急上昇はインスリンの過剰分泌を招き、余分な糖が体内に脂肪として蓄積されるため、食べる順番はダイエットにおいても重要な要素となります。

食物繊維が多い食品は食べ応えがあり、自然と噛む回数が増えて食べ過ぎの予防にも有効です。

血糖値を安定させたい人や健康的に痩せたい人は、食前や食事の最初に海藻を取り入れましょう。

海藻類の中で代表的な食材の特徴や向いている料理の具体例を紹介

海藻類の中で代表的な食材。特徴や向いている料理を紹介

日本では約50種類の海藻が食用とされており、色や生息する場所の水深によって以下の3つに分けられます。

参照元:海藻製品 – 農林水産省

種類名具体例
褐藻類(かっそうるい)めかぶ、もずく、昆布、わかめ、ひじきなど
緑藻類(りょくそうるい)アオサ、青のり、海ブドウなど
紅藻類(こうそうるい)海苔、テングサなど

褐藻類(かっそうるい)はぬめり成分が多く、アルギン酸やフコイダンなどの水溶性食物繊維を豊富に摂取できます。

茶褐色や黒っぽい色をしていますが、色素成分のフコキサンチンは熱に弱いため、加熱すると緑色に変化します。

緑藻類(りょくそうるい)は海藻類の中で一番浅瀬に生息しており、緑色をしているのが特徴です。

マグネシウムや鉄などのミネラル、ビタミンAやビタミンB群などのビタミン類を多く含んでいます。

紅藻類(こうそうるい)は水深の深い所に生息し、赤色や青色の色素によって多様な赤色をしているのが特徴です。

タンパク質や水溶性食物繊維、ミネラル、ビタミン類などを摂取できます。

ここでは、海藻類の中でも代表的な食材の特徴と向いている料理について解説します。

めかぶを食事の最初に食べると血糖値の急上昇を予防できる

わかめの根元部分であるめかぶは水溶性食物繊維が豊富で、食事の最初に食べると血糖値の急上昇を予防できます。

和洋女子大学が行った試験において、めかぶを最初に食べたところ、食後の高血糖が抑制されたという結果が出ました。

他にもGLP-1というホルモンの分泌が高まり、効果が長時間持続したという報告もあります。

参照元:「めかぶファースト®」のすゝめ – カネリョウ海藻株式会社

GLP-1は、食事で体内の血糖値が上がると小腸から分泌される消化管ホルモンの1つです。

インスリンの分泌を促進して血糖値を下げ、胃や満腹中枢に働きかけて食欲を抑える働きをします。

めかぶに含まれるビタミンKやβ-カロテンは脂溶性であり、油と一緒に摂取すると吸収率が高まります。

そのため、効率的に栄養を摂取するにはオリーブオイルやごま油などをドレッシングとしてかけ、サラダにするのがおすすめです。

他にも納豆やオクラなどのネバネバ食材を組み合わせると、相乗効果が期待できます。

納豆にはグルタミン酸やフルクタン、オクラにはペクチンというネバネバの元となる成分が含まれており、これらには血糖値の上昇抑制や腸内環境改善の効果があります。

めかぶとネバネバ食材は味の相性も良いため、健康効果を重視する人は混ぜ合わせて同時に取り入れましょう。

昆布やわかめは汁物やサラダなど幅広い料理に活用できる

昆布やわかめは日本人にとってなじみ深い食品であり、汁物やサラダなど幅広い料理に活用できます。

めかぶと同様に褐藻類(かっそうるい)に分類され、アルギン酸やフコイダンなどの水溶性食物繊維が豊富です。

昆布は和食のだしを取るのに定番の食材であり、佃煮や昆布を使った和え物はごはんのお供として人気があります。

ただし市販の佃煮には糖質や塩分が多く含まれているため、購入する際は栄養成分表示を確認しましょう。

わかめも味噌汁やわかめスープなどの汁物や、海藻サラダの具材としてよく使われており、日本人にとって身近な海藻です。

乾燥わかめや塩昆布は長期保存ができるため、常備しておくと手軽に摂取できます。

ただし乾燥わかめは水分が抜けて成分が凝縮しており、生の状態よりも食物繊維の含有量が多くなります。

消化不良や胃もたれを防ぐには十分に水で戻し、一度に多くの量を食べ過ぎないのが大切です。

もずくとお酢を組み合わせたもずく酢は相乗効果が期待できる

もずく酢。血糖値への相乗効果が期待できる

もずくとお酢はどちらも糖質の吸収を遅らせる効果があり、両者を組み合わせたもずく酢は血糖値への相乗効果が期待できる食品です。

お酢の主成分である酢酸は、食べ物が胃から小腸に排出されるのを遅らせて、血糖値の急上昇を防ぎます。

さらに酢酸はAMPKと呼ばれる酵素を活性化させ、体内における糖質や脂質の利用を促して代謝に良い影響を与えます。

AMPKはAMP活性化プロテインキナーゼの略称であり、細胞のエネルギーセンサーとして重要な役割を果たす酵素です。

市販のもずく酢は1食分ずつ個包装され、そのまま食べられる商品も販売されており、普段の食事に簡単に追加できます。

もずく酢以外にもさまざまな食べ方があり、もずくの生産量が日本一の沖縄県ではもずくの天ぷらが定番料理として食べられています。

効率的に血糖値への効果を得たい人は、市販のもずく酢を食前に追加しましょう。

白米は焼き海苔と一緒に食べると血糖値の上昇速度が遅くなる

白米は糖質が多い高GI食品ですが、焼き海苔と一緒に食べると血糖値の上昇速度が遅くなります。

焼き海苔にはポルフィランなどの水溶性食物繊維やタンパク質が含まれており、糖質の吸収がおだやかになるためです。

海苔の甘味成分であるイソフロリドシドは食べると甘味を感じるものの、血糖値を上昇させないという利点があります。

白米以外にもうどんや餅などの炭水化物はGI値が高く、食後の血糖値が急上昇する原因となるため、海苔と一緒に食べると効果的です。

焼き海苔に似ている食品に味付け海苔がありますが、味付け海苔には砂糖やみりんが加えられています。

血糖値が気になる人、健康維持を目的としている人は糖質が少ない焼き海苔を選びましょう。

焼き海苔は長期保存が可能でそのままでも食べられるため、手軽に海藻類を摂取したい人にも向いています。

デザートにも適した寒天で食べ方のバリエーションを増やせる

海藻に飽きてしまった人には、デザートにも適した寒天を活用すると食べ方のバリエーションを増やせます。

寒天はテングサなどの海藻を煮出して作ったところてんを凍らせて乾燥させた食品で、つるんとした食感や透明感のある見た目が特徴です。

クセが少なく磯の香りがほとんどしないため、料理だけでなくデザートとしても楽しめます。

昔からあんみつや水ようかんなどの和菓子に使われており、果物や乳製品との相性も良いため、ゼリーやムースなど洋菓子の材料にも適しています。

カロリーや糖質、脂質がかなり少なく、血糖値に影響を与えずにデザートを食べたい人におすすめの食材です。

寒天には以下の3種類があり、用途に合わせて使い分けができます。

  • 糸寒天
  • 棒寒天
  • 粉寒天

上記の中でも粉寒天は水で戻す必要がなく、直接料理に入れて使えるため、扱いが簡単です。

料理では寒天寄せやテリーヌ、ハンバーグのかさ増しなどに使えます。

栄養素は全体の約8割程度を食物繊維が占めており、水溶性と不溶性の両方の食物繊維を摂取できます。

海藻には数多くの種類があるため、どれを選ぶか迷っている人は今回紹介した特徴や食べ方を参考にしてみてください。

血糖値が気になる人が海藻類を食べる際には注意点もある

血糖値が気になる人。海藻類を食べる際の注意点

血糖値が気になる人が海藻類を食べる際は、以下の注意点もあります。

  • 食べ過ぎないようにする
  • 加工品や乾物は糖質や塩分の量に注目する

海藻類はさまざまな健康効果が期待できますが、量を多く食べたからといって効果が高まるわけではありません。

食物繊維が豊富な海藻類は、食べ過ぎると胃もたれや消化不良などを引き起こす恐れがあります。

胃や腸にかかる消化の負担を減らすには、よく噛んで食べるのが重要です。

噛む行為によって海藻の硬い細胞壁が破壊され、消化酵素の分泌が促進されて体に栄養素が効率良く吸収されます。

よく噛んで食べるとインスリンやインスリンの分泌を促すGLP-1というホルモンが分泌され、血糖値の安定にも効果的です。

海藻類にはヨウ素も多く含まれており、ヨウ素の過剰摂取は甲状腺機能低下症や甲状腺機能亢進症などを発症する原因となります。

特に昆布はヨウ素の含有量が多いため、連続して昆布ばかりを食べ続けるのは控えましょう。

佃煮などの加工品や乾燥わかめなどの乾物は調味料が使われており、購入する際は糖質や塩分の量に注目するのもポイントです。

海藻類自体は糖質が少ない食品ですが、砂糖が多く使われている加工品は血糖値を上昇させる要因となります。

乾燥わかめなどの乾物は塩分を多く含んでおり、塩分の摂取を控えたい人はしっかりと水戻しをして塩抜きする必要があります。

血糖値が気になる人は、今回紹介した注意点を意識しながら海藻を食生活に取り入れてみましょう。

海の恵みと呼ばれる海藻を血糖値コントロールに役立てよう!

海の恵みと呼ばれる海藻には水溶性食物繊維やミネラルなどの栄養が豊富に含まれており、食事に取り入れると血糖値コントロールに役立ちます。

ぬめり成分であるアルギン酸やフコイダンなどの水溶性食物繊維は、食後の血糖値が急上昇するのを防ぎます。

昆布やわかめの色素成分であるフコキサンチンは、糖尿病や肥満の予防に効果的です。

海藻類は全般的に糖質やカロリーが少なく、低GI食品に分類されるため、血糖値が気になる人や健康的に痩せたい人に向いています。

健康効果を最大限に引き出すには、食前や食事の最初に食べるのが最適です。

海藻にはさまざまな種類があり、汁物や酢の物、デザートなどの幅広いメニューに活用できます。

海藻を食べる際は食べ過ぎを避け、加工品や乾物に含まれている糖質や塩分にも気を配るのが大切です。

日本人にとってなじみが深い海藻をうまく活用し、血糖値を安定させながら食事を楽しみましょう。

この記事の監修者

大学病院で糖尿病・内分泌内科の臨床医として経験を積み「リサーチマインドを持った診療」をモットーに日々研鑽を積んでまいりました。当院が少しでもあなた様のお役に立つことが出来れば幸いです。

■経歴
平成21年3月 金沢医科大学医学部医学科卒業
平成21年4月 杏林大学病院 初期臨床研修医
平成26年1月 金沢医科大学病院 糖尿病・内分泌内科学教室
平成30年4月 金沢医科大学病院 助教
平成30年9月 金沢医科大学大学院医学研究科 博士課程修了
令和3年1月 金沢医科大学病院学内講師
令和5年6月 Gran Clinic(石川県金沢市)院長

■所属学会
日本内科学会 認定医
日本糖尿病学会 専門医
日本抗加齢医学会 専門医
日本腎臓学会
日本内分泌学会

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