オリゴ糖は砂糖と同等の甘さを持ちながらも、血糖値の急上昇を防いで糖尿病の予防や治療に活用できる甘味料です。
近年、オリゴ糖はさまざまな疾患を予防する効果があると期待され、現在も世界中の機関で研究が進められています。
特に肥満や糖尿病の原因となる糖や炭水化物をオリゴ糖にすると高血糖が回避され、糖尿病の予防や治療に効果をもたらします。
しかし、オリゴ糖は使い方を間違うと体調不良を起こしたり、かえって血糖値を上げたりする可能性があるのも事実です。
そこで本記事ではオリゴ糖と血糖値の関係性や、オリゴ糖の正しい使用方法を解説します。
- オリゴ糖が高血糖を予防するメカニズム
- 高血糖予防に効果的なオリゴ糖の種類
- オリゴ糖と短鎖脂肪酸が高血糖予防にもたらす効果
- オリゴ糖の正しい使い方
血糖値の上昇を抑えて糖尿病を予防したりダイエットを継続したりしたい人は、オリゴ糖を上手に活用してみるのはいかがでしょうか。
オリゴ糖は血糖値の上昇を抑えるのに関与する

砂糖と同等の甘さをもつ一方、血糖値の急激な上昇を抑えたり腸内環境を整えたりする効果があり、糖質制限中でも摂取できます。
オリゴ糖は一般的に販売されている砂糖と異なる特徴がいくつかありますが、その代表となるのが独特な消化吸収の経路です。
通常の砂糖や人工甘味料は食べ物と一緒に胃や小腸から血液中に吸収され、血糖値となって体のエネルギーに変化します。
しかしオリゴ糖は胃や小腸からは吸収されずに大腸まで届き、そこで分解されて腸内の善玉菌の栄養源となります。
オリゴ糖の力で活性化された善玉菌が身体に与える影響のひとつが、インスリン感受性を高める効果です。
実は腸内細菌のバランスとインスリン感受性の関係性は、人間の糖代謝に大きく関わっている事実が近年の研究で明らかになってきました。
オリゴ糖は善玉菌を増やして血糖値の上昇を抑える働きをもつ

糖尿病の原因となる血糖値の上昇を防ぐには、腸内の善玉菌を増やして血糖値を急上昇させない身体づくりも欠かせません。
3種類ある菌のなかでも善玉菌は増加するとインスリン感受性を高め、血糖値の上昇を抑える働きを発揮します。
インスリン感受性は、身体の細胞がインスリンに対して反応する程度を指します。
人間の身体はインスリン感受性が高いほど、血糖値の急上昇が抑えられる仕組みです。
複数のグループに分けられる善玉菌のなかのうち、コプロッカス属に分類される菌は身体の消化吸収の手助けや免疫機能と関係します。
コプロッカス属に分類される善玉菌が体内に多い人は、インスリン感受性が高いと米国のシダーズ・サイナイ病院が行った研究で明らかになりました。
逆にフラボニフラクター属という悪玉菌の保有率が高い場合は、インスリン感受性が低く、糖尿病リスクが高いとされています。
つまり糖尿病を予防したり治療したりするために効果的な血糖コントロールをするには、多くの善玉菌が必要ということです。
これはオリゴ糖を取り込んだ善玉菌が酢酸や乳酸を発生させ、胃や腸の運動を促して善玉菌を増やすというメカニズムです。
さらにオリゴ糖は通常の食べ物と吸収される経路が異なり、大腸から善玉菌に取り込まれるため、血糖値の上昇にはほぼ関与しません。
このような作用から日常的に用いる調味料として、砂糖をオリゴ糖に置き換える利点は大きいでしょう。
身体に良いオリゴ糖を選んで摂取するのが血糖値の上昇に効果的

オリゴ糖の種類はいくつもあり、それぞれの働きや価格などが異なります。
血糖値の上昇を抑える目的でオリゴ糖を摂取する場合は、それぞれのオリゴ糖がどのように働くかを理解して摂取するのが大切です。
オリゴ糖は身体への吸収や消化の仕組みで、下記の通りに分類されます。
- 消化性オリゴ糖
- 難消化性オリゴ糖
- 環状オリゴ糖
上記3つのうち、消化性オリゴ糖と難消化性オリゴ糖が主な食品材料として用いられるものです。
ショ糖や乳糖などの消化性オリゴ糖は、難消化性オリゴ糖と比べると消化や吸収の過程が異なります。
小腸から吸収されて身体のエネルギー源として働く消化性オリゴ糖は、砂糖やブドウ糖と同じく血糖値を上昇させます。
そのため食後の血糖値を抑える目的で砂糖をオリゴ糖に置き換えたい人にとって、消化性オリゴ糖は不向きです。
食後の血糖値を抑える目的で砂糖をオリゴ糖に置き換えたい場合は、難消化性オリゴ糖を選択するのがよいでしょう。
難消化性オリゴ糖には、以下のようなものがあります。
- フラクトオリゴ糖
- ガラクトオリゴ糖
- ラクトスクロース
- イソマルトオリゴ糖
前述したように難消化性オリゴ糖は胃・小腸から吸収されるのではなく、大腸に吸収されると善玉菌に取り込まれるのが特徴です。
オリゴ糖は善玉菌に取り込まれたあと発酵し、腸内で酪酸や酢酸、短鎖脂肪酸を発生させます。
さらに3〜5グラム程度のオリゴ糖摂取で期待されるのが、便通の改善です。
腸内で増加した善玉菌や短鎖脂肪酸が、消化管のぜん動運動を改善させミネラル分の吸収を促した結果、便の形成と排泄が促進されます。
なかでもガラクトオリゴ糖は整腸作用を発揮するだけでなく、腸内の免疫機能にもよい効果をもたらす点において研究が進められています。
このように難消化性は細かく分類されていますが、共通点は善玉菌を増やして腸内環境を改善する働きです。
厚生労働省の特定保健用食品として認定されている難消化性オリゴ糖は、食品表示で難消化性かどうか確認できます。
ほかにも、成分表示などにフラクトオリゴ糖やガラクトオリゴ糖といった細かい分類が記載されているため、購入前に確認してみてください。
間接的に膵臓を保護するオリゴ糖は糖尿病治療にも効果的

オリゴ糖の働きは腸内環境の改善だけでなく、間接的にインスリンを守る効果も認められています。
疲弊した膵臓を守り糖尿病を防ぐためには、糖質を制限して血糖値の上昇を抑える必要があります。
甘いものが好きな人やパンなどの炭水化物を好む人にとって、糖質制限は苦痛と感じるときもあるでしょう。
そのような場合は日常的に用いる砂糖をオリゴ糖に変更してみるのも、ひとつの手段です。
オリゴ糖が持つ作用を上手に使いこなして、無理のない糖質制限を始めてみてはいかがでしょうか。
オリゴ糖の摂取による短鎖脂肪酸の増加は膵臓の保護につながる

難消化性オリゴ糖をはじめとする難消化性物質は、腸の善玉菌に取り込まれると短鎖脂肪酸を産生します。
オリゴ糖の摂取がなぜ膵臓の保護につながるのかを理解するには、この短鎖脂肪酸が鍵となります。
短鎖脂肪酸といっても種類は複数あり、腸内では以下の種類が発生します。
- 酢酸
- プロピオン酸
- 酪酸
前述したように短鎖脂肪酸を増やすには、食物繊維やオリゴ糖といった難消化性物質の摂取が必要です。
難消化性物質が大腸でビフィズス菌などの善玉菌に取り込まれると、さまざまな酵素によって分解されます。
分解されたものは最終的に単糖という物質に変わります。
その際、身体のエネルギー源として利用されるのが短鎖脂肪酸です。

この短鎖脂肪酸が血液中に多く含まれている場合、糖や脂肪の吸収を阻害する効果があるとマウスを用いた研究結果で明らかになりました。
膵臓のランゲルハンス島β細胞から分泌されるインスリンは、分泌量が多ければ多いほど膵臓に負担が生じます。
膵臓に負担が生じてインスリンを分泌する力が弱まると分泌量は減少し、やがて糖尿病を発症します。
そのため、できるだけ血糖値を安定させてインスリンの分泌量を一定に保つのが大切です。
すでに糖尿病の場合、血糖値を安定させて膵臓の負担を軽減し、機能を温存する必要があります。
ここで重要なのが、主に腸内で発生する短鎖脂肪酸とインクレチンの働きです。
短鎖脂肪酸は体内で大腸のエネルギー源となるのに加え、インクレチンというホルモンの分泌を促します。
インクレチンは食事によって小腸から分泌され、膵臓に作用してインスリンの分泌を促すホルモンです。
インクレチンはインスリン分泌を促すほかに、血糖を上げるグルカゴンの分泌を抑制します。
さらに膵臓のランゲルハンス島β細胞に作用して、膵臓の細胞を増やしたり細胞の破壊を防いだりします。
短鎖脂肪酸を増やすには善玉菌を増やす生活習慣が大切

短鎖脂肪酸を増やす方法は、腸内の善玉菌が増えるよう生活習慣を整える生活習慣です。
オリゴ糖の摂取も短鎖脂肪酸を増やすひとつの方法ですが、オリゴ糖の摂取だけで短鎖脂肪酸を増やすのは限界があります。
一般に甘味料として販売されているオリゴ糖の推奨摂取量は、1日に約2〜10gまでです。
そして2〜10g程度のオリゴ糖を摂取しただけでは腸内環境は整わず、十分な善玉菌は増えません。
腸内の環境を整えて短鎖脂肪酸を増やすには食事だけでなく、腸に優しい生活習慣の心がけが大切です。
腸内環境が整うと短鎖脂肪酸が増えるほか、免疫の活性や便通が良くなるなど豊富な利点があります。
さらに腸内環境を良くする生活習慣によって腸の病気をはじめ、がんや高血圧などの生活習慣病の予防にも役立つでしょう。
オリゴ糖や食物繊維を豊富に含む食べ物を摂取する

腸内環境を良くするには、善玉菌を増やす作用をもつ食べ物の摂取が欠かせません。
オリゴ糖は甘味料のほかに野菜を中心とした食材の中にも含まれているため、善玉菌が好む食物繊維を含む食べ物と一緒に摂るとよいでしょう。
オリゴ糖を豊富に含む食べ物を、以下にまとめました。
- バナナ
- 玉ねぎ
- 長ねぎ
- ごぼう
- 納豆などの大豆製品
上記に示した食べ物で糖分が低いのが、納豆や豆腐といった大豆製品です。
次に食物繊維を豊富に含む食べ物は、以下の通りです。
- 大麦
- 海藻類(わかめ、めかぶなど)
- 根菜類(大根、にんじんなど)
- 果物類(キウイフルーツ、パパイヤなど)
食物繊維には水溶性のものと不溶性のものに分かれますが、上記に示した食材が含む栄養素は水溶性食物繊維です。
水溶性食物繊維は身体に取り込まれると大腸に届いてビフィズス菌などの善玉菌に取り込まれ、やがて腸内で善玉菌が増殖します。
そして、腸内で発酵したり分解されたりする段階で発生するのが短鎖脂肪酸です。
さらに善玉菌を豊富に含む食べ物の摂取も、短鎖脂肪酸を増やすのに効果的です。
善玉菌を含む食べ物は主に発酵食品で、乳酸菌飲料や納豆、キムチなどが該当します。
乳酸菌飲料や納豆菌など善玉菌を多く含む食べ物は腸で善玉菌を増やすだけでなく、疲労回復効果もあります。
オリゴ糖や食物繊維を含む食べ物以外に発酵食品を取り入れるのも、短鎖脂肪酸を増やすよい方法です。
善玉菌が増えると腸内環境が整ってスムーズに老廃物を排泄できるようになるため、身体にとってもよい影響となります。
腸内がきれいになると便秘の改善だけでなく、睡眠の質が改善されたり免疫力が活性化されたりして次第に体調も整います。
飲酒や喫煙は控えめにする

ビールや焼酎などのアルコール飲料は、腸内で悪玉菌を作ってしまう原因です。
悪玉菌の増加は腸内の免疫機能を弱くするだけでなく、肝臓や膵臓の炎症を起こす可能性もあります。
さらに長期間のアルコール摂取で腸内環境が悪化した結果、老化やがんの原因となる活性酸素が増加します。
活性酸素は身体にストレスを与えて脳血管障害やがん、皮膚の老化などさまざまな影響を及ぼします。
善玉菌に含まれているビフィズス菌などの一部の腸内細菌は酸化ストレスに弱く、飲酒や喫煙習慣があると充分に増殖できません。
そのため単に善玉菌を増やすような食生活をしても、日常的な飲酒や喫煙習慣が食事の効果を打ち消してしまうケースもあります。
禁煙やアルコール摂取量を減らすよう心がけ、食生活全体を見直してください。
腸内環境や血糖値を改善するには体内時計を整える必要がある

ジョギングやウォーキングなどの運動と睡眠のバランスを整えるのも、善玉菌を増やすのに必要な生活習慣のひとつです。
腸内細菌は自律神経に影響を受けながら必要に応じて免疫を強くしたり、腸内の消化吸収を手助けしたりします。
睡眠不足や過剰な睡眠によって体内時計が乱れて自律神経のバランスが崩れると、そこから腸内環境が悪化します。
自律神経は血糖値を上下させるホルモンにも関与しているため、自律神経の乱れが糖尿病の悪化を招きます。
このように体内時計の乱れは腸内環境のバランスを崩し、さらには糖尿病の発症や悪化を招く重大な問題です。
腸内環境を整えるために起きる時間や寝る時間を定めたり、身体を動かしたりして体内時計を徐々に修正していきます。
ただし時間割のように細かくルーティーン化するのは予定外の出来事で混乱を招くため、心身にとって良くありません。
高血糖予防にはオリゴ糖と低GI食品を組み合わせるとよい

糖尿病予防や治療を目的にオリゴ糖を摂取したい場合は、低GI食品との組み合わせが良いです。
大腸で吸収されたオリゴ糖は最終的に短鎖脂肪酸やインクレチンに姿を変え、高血糖の防止に働きかけます。
しかし、オリゴ糖は万能な甘味料というわけではなく、そのような食材と組み合わせても高血糖を防ぐわけではありません。
市販されているオリゴ糖のGI値は0〜30と低く、血糖値に及ぼす影響が低いため使い方には工夫が必要です。
オリゴ糖はGI値が低い食べ物との相性が良いといわれており、低GI食品の例として以下の食材が該当します。
- そば
- 全粒粉
- 肉類
- 魚類
上記のなかでオリゴ糖と相性が良いとされている食品が、無糖ヨーグルトやチーズなどの発酵食品です。
無糖ヨーグルトやチーズは栄養素の大部分をたんぱく質が占めており、オリゴ糖と組み合わせると糖の吸収速度がさらに弱まります。
食後のデザートとして無糖ヨーグルトにオリゴ糖をかけて食べたり、クリームチーズにオリゴ糖を混ぜたチーズケーキを作ったりするのも良いでしょう。
オリゴ糖は野菜や果物といった食べ物に含まれており、食事を通じて摂取できるのも利点です。
おかずとして調理する食材でもオリゴ糖を含む野菜やGI値が低いたんぱく質をメインにすると、栄養バランスの改善にも役立つでしょう。
野菜は水溶性食物繊維を含むものや難消化性オリゴ糖を含むものが多く、食後の高血糖を予防するのにも適しています。
食物繊維やオリゴ糖を含む野菜から食べると食事から摂取した糖を身体がゆっくり吸収していき、満腹感が得られるのも利点です。
高血糖予防や腸内環境を整えるために、食べる順番や使用する食材にちょっとした工夫を加えてみてはいかがでしょうか。
オリゴ糖摂取は肥満予防や糖尿病予防にも役立っている

オリゴ糖が腸内細菌を整える働きは、肥満予防という視点からも糖尿病予防に役立っています。
オリゴ糖や水溶性食物繊維の摂取によって腸内の善玉菌が増加すると、そこから短鎖脂肪酸が多量に作られます。
短鎖脂肪酸は、腸管にある内分泌細胞から発せられるホルモンの分泌量を調整します。
腸から分泌されるホルモンでも短鎖脂肪酸の影響を受けるものが、食欲抑制ホルモンのレプチンです。
レプチンの働きは食事によって得た満腹感を脳に伝達して食欲を抑えるのに加え、交感神経の働きを高めて食事で得たエネルギーを消費させます。
レプチンの分泌量は摂取エネルギーと関連性があり、エネルギー摂取量が多い人ほどレプチンの分泌量が多い傾向にあります。
しかし、多くのレプチンを分泌するために、高エネルギーの食事を摂るのは意味がありません。
レプチンはエネルギー摂取量が多いほど分泌量は増える一方で、肥満になるとレプチンに抵抗性が生じます。
肥満の原因は糖や脂質が多い食事内容や、必要摂取カロリーを大幅に上回るほどのエネルギー摂取です。
1日に必要な摂取カロリーを上回るほど過剰にエネルギーを摂取すると、過剰なエネルギーが脂肪細胞に取り込まれます。
エネルギーを取り込む量が増えるごとに肥満細胞が大きくなったり増えたりした結果、体重が増加する仕組みです。
しかしオリゴ糖を積極的に摂取すると腸内の善玉菌が増加し、結果的に短鎖脂肪酸が増えてレプチンの分泌を促します。
さらに砂糖やブドウ糖と吸収経路が異なるオリゴ糖は血糖値に影響を与えないため、高血糖を心配する必要もありません。
短鎖脂肪酸が多い場合はレプチンの分泌量が増加するだけでなく、基礎代謝にも良い影響をもたらします。
交感神経を活発にする短鎖脂肪酸の働きは、体温や心拍数を上昇させて体内でエネルギー消費を促します。
基礎代謝量が向上するのに比例して消費エネルギーの量も増えるため、体内で糖の消費量が増えて高血糖も予防されます。
糖尿病を引き起こす最大の原因でもある高血糖の予防は、糖尿病の治療や予防のほかに生活習慣病予防にも有益です。
そして食事で基礎代謝量やエネルギー消費量を上げるだけでなく、運動習慣を取り入れると筋力や睡眠の質などを向上させます。
こうした生活習慣は糖尿病やがんなどの生活習慣病予防はもちろん、妊娠を希望する女性の身体づくりの手助けとなるでしょう。
オリゴ糖の効果を引き出すために知っておきたい要点

高血糖や肥満の予防、さらには糖代謝を助けるオリゴ糖の効果を最大限引き出すには、いくつかのポイントを抑えておくのが大切です。
そのためにはオリゴ糖が持っている特性を知ったうえで、効果的な摂取方法を理解しておく必要があります。
特にオリゴ糖が持つ整腸作用は腸内の環境を整えますが、過剰に摂取すると下痢や腹痛の原因となります。
温度変化にも弱いオリゴ糖は、ある程度加熱すると物質そのものが変化するのも特徴です。
オリゴ糖を摂取する際には、食べ物との相性や調理方法、保存方法を理解したうえで使用しましょう。
オリゴ糖は熱や酸との組み合わせに弱いものもある

いくつかの種類に分けられるオリゴ糖はほとんどの製品で、長時間の加熱を避けるよう記載されています。
そのようなオリゴ糖は熱に弱く、加熱によってオリゴ糖成分が変化して単なる砂糖と同じような成分に変化してしまいます。
加熱する際にお酢やレモン汁などの調味料と組み合わせると、オリゴ糖成分が分解されてオリゴ糖本来の力を発揮できません。
すべてのオリゴ糖が熱や酸に弱いわけではないものの、確実にオリゴ糖の成分を活かしたい場合は、お酢などと一緒に長時間加熱するのは避けてください。
特に、砂糖を多く使用する筑前煮やジャムなどの煮込み料理は、食べる直前にオリゴ糖を加えるのが望ましいです。
ほとんどのオリゴ糖は常温で酸性のものと混ぜ合わせても、基本的に性質や効果は変化しません。
しかし一部のオリゴ糖には温度や酸と相性がよくないものもあるため、どの料理でもオリゴ糖は調理工程の最後に加え、混ぜ合わせるのが無難です。
このようにオリゴ糖は調理方法の工夫次第で、煮物や焼き物にも有効活用できる調味料です。
近年では、オリゴ糖を用いた料理のレシピ本なども販売されているため、それらを活用してみるのもよいでしょう。
オリゴ糖は一度にたくさん使用せず少量ずつ摂取する

砂糖の代わりにオリゴ糖を使用する場合、気をつけるべきなのが1回あたりの摂取量です。
オリゴ糖は大腸に直接届いて便の排泄を促すほか、一回の摂取量が多いと以下のような症状を起こします。
- 腸が水分を多く吸収してしまい、下痢になる
- カロリーの過剰摂取によって、肥満につながる
- 腸で急激に善玉菌が増えて、腹痛が起こる
これは、物質の周りにある水分を引きつける力が強いオリゴ糖の特性によるものです。
多量のオリゴ糖を摂取した善玉菌が活発化して腸のぜん動運動を促した結果、腸が刺激を受けて腹痛や下痢が起こります。
下痢が長引くと弱くなった腸の粘膜が剥がれ、腸内で炎症を起こすケースも少なくありません。
特に腸管の機能が加齢によって弱くなった高齢者や大腸に疾患を患っている人は、長引く下痢が脱水や持病の悪化につながる恐れもあります。
このような理由から一般的に調味料として販売されているオリゴ糖は、1日あたり2〜10g程度に摂取を留めるのがよいとされています。
リスクを回避するためにも、オリゴ糖を用いる人は1日の摂取量を把握して使用してください。
オリゴ糖を摂取するタイミングは食後の方が望ましい

オリゴ糖をヨーグルトにかけたりコーヒーに混ぜたりして砂糖代わりに使用する場合は、食事中あるいは食後の摂取が理想です。
大腸に直接作用するオリゴ糖は食後の血糖にさほど影響しないのが利点ですが、一緒に食べる食材次第では血糖値への影響が出てきます。
特にジャムの代わりとして食パンに乗せる、ドライフルーツやヨーグルトに混ぜるといった場合はオリゴ糖以外の食べ物が血糖値を上昇させます。
そのため炭水化物とオリゴ糖の組み合わせを摂取する場合は、先に野菜やたんぱく質をメインとしたおかずを食べましょう。
野菜やたんぱく質を先に食べるとある程度空腹感が満たされるだけでなく、身体が糖を吸収する速度を遅らせる利点があります。
詳しく説明すると、野菜に含まれる水溶性食物繊維は腸の水分を吸収して粘稠度が高まった状態で移動します。
そして腸の中で糖を包み込みながら移動するため、小腸で糖の吸収が遅くなるという仕組みです。
さらにたんぱく質を先に食べると、小腸でレプチンの分泌が促進されます。
レプチンは満腹中枢を刺激するのに加え、体内の筋肉に多くの糖を吸収させるのが主な働きです。
炭水化物を食べる前に満腹中枢がある程度刺激されると、糖がゆっくりと吸収されて高血糖が抑えられます。
こうした仕組みを利用してオリゴ糖と炭水化物を一緒に食べるときは、野菜やたんぱく質の後に食べるのが効果的です。
加えてたんぱく質や野菜は、食べてから小腸に辿り着くまでに約10〜15分かかります。
食事方法の工夫とオリゴ糖の働きの組み合わせを工夫すると、より効果的に血糖をコントロールできるでしょう。
オリゴ糖の働きは糖尿病治療にも生かされつつある

オリゴ糖は血糖値を下げたり血糖の上昇を抑えたりするのに有効性があるとされ、糖尿病治療への応用が期待されています。
オリゴ糖の摂取によって腸内で作られる短鎖脂肪酸は、小腸からGLP-1というホルモンを活性化させてインスリン分泌を促します。
この特徴はすでに糖尿病治療に応用されており、この作用を利用して作られたのがGLP-1受動態作動薬です。
GLP-1受動態作用薬は主にリベルサスやトルリシティという薬剤名で、すでに多くの人の糖尿病治療に用いられています。
ここで注目されているのはオリゴ糖が持つ整腸作用で、善玉菌はさまざまな疾患を予防する効果が期待されています。
世界中の研究機関からも腸内フローラが整うと生活習慣病の罹患リスクが下がるという研究結果が発表されており、期待が集まっています。
将来的には医学の進歩によってオリゴ糖の持つ整腸作用が、多くの疾患の治療や予防に役立つ日が来るでしょう。
健康維持にはオリゴ糖と血糖値の関係を理解した食生活が大切
オリゴ糖と血糖値は相互に影響し合う関係性で、この特性を活かすと糖尿病以外にさまざまな健康維持に役立ちます。
血糖値が気になり出してきた中高年の方はもちろん、ダイエット中の人や妊活中の女性など、幅広い世代の人が活用できる食事法です。
しかしオリゴ糖を摂取すればするほど身体への恩恵があるのではなく、食べ物との相性や持病の有無などを考慮する必要があります。
オリゴ糖を食事に活用したい場合は、オリゴ糖についての基礎知識や必要となる情報を調べ、正しい使い方で食事を楽しんでください。