血糖値と納豆の関係!健康食品としての魅力と糖尿病予防

血糖値と納豆の関係。健康食品としての魅力と糖尿病予防

納豆には健康食品としての魅力が多く、疾患予防にも効果的であるとされています。

大豆を主原料とする納豆は古くから日本にあるものですが、独特な匂いや食感、ネバネバ感が特徴的で好き嫌いが分かれる食品でもあります。

近年、健康志向が高まっている中で納豆は健康食品として人気のある食品です。

納豆は、生活習慣病予防に効果的な食品とされていますが、血糖値との関連が深く、糖尿病予防や糖尿病とうまく付き合っていくためのポイントにもなるでしょう。

この記事で分かること
  • 納豆が健康食品とされる理由
  • 血糖値をコントロールする重要性
  • 納豆と血糖値の関連性
  • 納豆で糖尿病とうまく付き合っていく方法
  • 納豆の効果的な取り入れ方

血糖値と納豆の関係性や、納豆の健康食品としての魅力をお伝えしますので、ぜひ参考にしてみてください。

目次

納豆が健康食品と呼ばれる理由は含まれる栄養素にある

納豆が健康食品と呼ばれる理由。豊富な栄養素にある

納豆は、豊富な栄養素を含む発酵食品です。

体の土台を構成するとも言える、重要な五大栄養素が含まれています。

さらに発酵食品特有のアミノ酸やビタミンB群などの成分を持ち合わせており、健康だけではなく美容にも効果的とされている食品です。

ここでは、なぜ納豆は健康食品であると注目されているのか、納豆の魅力と共にご紹介していきます。

納豆には体を作る五大栄養素が含まれている

納豆には五大栄養素と呼ばれる、下記の栄養素が含まれています。

  • 炭水化物
  • タンパク質
  • 脂質
  • ビタミン
  • 無機質(ミネラル)

これらの五大栄養素は、体を作る上で欠かせないものであり、バランスの良い摂取により健康維持につながります。

炭水化物はご飯や小麦粉、芋類などタンパク質は肉や魚、卵などでそれぞれで摂取できます。

納豆は、炭水化物やタンパク質を含む五大栄養素を摂取できるため、栄養の塊と言ってもいい食品です。

その他にも納豆には下記のような特有の成分があります。

  • ナットウキナーゼ
  • 大豆イソフラボン
  • 納豆菌
  • サポニン
  • レシチン
  • ポリアミン

ナットウキナーゼには、血栓を分解する働きがあると考えられています。

納豆に含まれるビタミンKは、薬の効果を阻害する可能性があるため、薬の飲み合わせなどにも注意が必要な場合があります。

大豆イソフラボンは、豆乳などの商品にも含まれており、女性ホルモンのバランスや美肌効果が高いと美容面でも人気がある成分です。

納豆菌は、善玉菌として腸内環境の改善に作用します。

腸内環境は便通の良し悪しだけでなく、体調全体にも大きく関係します。

納豆菌によって整えられた腸内環境は、消化吸収を促進するだけでなく、腸内フローラのバランスを整える効果も期待できるでしょう。

その結果、免疫力向上にも寄与して健康にも良い作用を与えます。

サポニンは納豆のネバネバ成分とも関係があるとされ、さらに生活習慣病予防に役立つとして注目されている成分です。

また、レシチンは記憶力や集中力の向上、脂質の代謝に関係すると考えられています。

ポリアミンは他の食品に比べると納豆での含有量が比較的高く、老化や認知症の加齢性疾患に関係があるとされ、注目されている成分です。

このように、納豆に含まれる特有の成分は健康維持に重要な役割を果たします。

納豆菌は腸内環境の調和とナットウキナーゼを生み出す

欠かせない成分、納豆菌。腸内環境とナットウキナーゼ

納豆の発酵に欠かせない成分が納豆菌であり、発酵によって生まれる成分がナットウキナーゼです。

納豆の素になる大豆に納豆菌を添加し、時間をかけて発酵させると納豆ができあがります。

発酵させるメリットには、以下のものがあります。

  • 消化・吸収を促す
  • 栄養価の向上
  • 腸内環境を整える

大豆は本来タンパク質を多く含む食品です。

納豆菌によってタンパク質がアミノ酸へと分解された納豆は、大豆よりも消化・吸収が容易になる特徴があります。

消化・吸収が円滑になるため、消化管への負担も軽減されます。

納豆菌によって発酵が促され、生み出されているのがナットウキナーゼです。

タンパク質がアミノ酸へと分解されるなど、発酵によって大豆のままよりも栄養価が向上します。

納豆菌は、胃酸にも負けないほど非常に強く、生きたまま腸内へ届く菌です。

腸内に届いた納豆菌は、善玉菌として腸内環境の調和を助けます。

納豆に含まれる成分が生活習慣病予防に効果的

生活習慣病とは運動や食事、ストレスなどの主に生活の乱れから生じる疾患の総称のことです。

その代表的なものには、以下のようなものがあります。

  • 高血圧
  • 糖尿病
  • 脂質異常症
  • 心筋梗塞や狭心症などの心疾患
  • 脳梗塞や脳出血などの脳卒中

これらの病気は、さらなる病気へとつながる可能性が高く、生活習慣の見直しにより改善する見込みもあります。

その生活習慣病予防には、納豆に含まれるナットウキナーゼやサポニン、レシチンなどが効果的と考えられています。

ナットウキナーゼは血栓を分解する働きがあり、心筋梗塞や脳梗塞の予防に役立つとされている成分です。

また、高血圧で血液がドロドロの状態になっている人にも効果が期待できるでしょう。

さらに、サポニンやレシチンには、コレステロールや中性脂肪の改善が期待できます。

特にサポニンに含まれる抗酸化作用は、動脈硬化の進行を遅らせる効果があると言われ、動脈硬化から生じる疾患の予防にも効果的です。

また、納豆に含まれる大豆タンパク質には、血糖値の上昇を防ぐ効果があるとされています。

血液中に働き、急激な血糖値の上昇だけでなく低下も起こらないように、ホルモンバランスを整える作用もあるとされています。

血糖値の上昇や低下は体に影響を及ぼすため適切なコントロールが重要

血糖値の上昇や低下。適切なコントロールが重要

血糖値の急激な上昇や低下は、その代謝に体が追いつけずに体調不良を引き起こす原因となる可能性があります。

また過度な上昇や低下も体に大きな負担や影響を与えるため、適切な血糖コントロールが重要です。

血糖値は、一般的に食事の摂取時に上昇します。

ではなぜ血糖値が健康にとって重要な指標となるのか、詳しく解説していきます。

血糖値は食前や食後で変動する血液中のグルコース濃度を示す

血糖値とは、血液中のグルコース濃度のことです。

空腹時や食後で血糖値の数値は大きく変化し、その変動や数値は糖尿病の指標としても重要な観察項目とされています。

高血糖や低血糖では、命に関わる危険性もあります。

高血糖や低血糖は健康に大きな影響を与える

空腹時血糖の基準値は109mg/dlまでが標準値内であり、126mg/dlでは糖尿病の診断基準に値すると糖尿病学会でも定められています。

糖尿病の診断では、同時にHbA1cの値でも評価をします。

高血糖時の症状は、以下の通りです。

  • 口渇
  • 多飲
  • 多尿
  • 体重減少
  • 疲労感

さらに高血糖になると、昏睡状態や心停止などの命に関わる重篤症状を引き起こす可能性があります。

次に低血糖時の症状は、以下の通りです。

  • 冷や汗
  • ふるえ
  • 脱力感
  • 生あくび

低血糖も同様に痙攣や昏睡状態など、重篤症状を引き起こす可能性があります。

低血糖は、70mg/dl以下と定義されていますが、人によっては過度な数値でないと症状を伴わない場合もあります。

血糖値の管理は大病を未然に防ぐために重要

血糖値の管理により、生活習慣病などの予防が可能になるとともに、それらに付随する心疾患や脳卒中などの大病の予防にもつながっていきます。

血糖値は、膵臓から分泌されるインスリンによって調整されています。

血糖値の調整は、健康状態に大きく関係しており、膵臓はその重要な役割を担っていると言えるでしょう。

特に低血糖は、糖尿病の治療として経口糖尿病薬を服用している人の合併症で引き起こされる事象が多く見られます。

そのため、糖尿病患者は高血糖や低血糖にならないよう日常的に気をつける必要があります。

糖尿病は、生活習慣病に含まれない1型糖尿病と生活習慣病とされる2型糖尿病の2種類です。

高血糖は前述したような症状を引き起こすだけでなく、血管壁へダメージも与えてしまいます。

その結果、動脈硬化や高血圧などから引き起こされる血管内部の狭窄や閉塞などによって心臓や腎臓、目などの毛細血管にまで影響を及ぼします。

毛細血管は臓器だけでなく指先や足先にも張り巡らされているものです。

それらに血行不良が引き起こされると、血流が減少した部分では壊死や壊疽につながり、最悪の場合には切断にまで及ぶ可能性もあります。

血糖値をコントロールするには日常的な意識が重要

血糖値をコントロールするには、日常生活での継続的な意識が重要です。

血糖値が大きく変動する主なタイミングは食事を摂取した時であり、血糖値の急上昇を招く食べ物や食べ方の知識を身につけると、意識的なコントロールが可能になります。

また、運動の習慣は血糖値のコントロールに有効的な方法です。

運動によって体はエネルギーを消費し、その結果血糖値が低下するという仕組みになっています。

納豆は血糖値の調整だけでなく糖尿病予防にも効果的

糖尿病予防にも効果的

血糖値のコントロールは、生活習慣病予防や糖尿病を患っている人にとっても生活の質を維持・向上させていくために重要なものです。

そこで血糖値のコントロールに適しているとされるのが納豆であり、簡単に日常的に取り入れられ、且つ糖尿病予防にも効果的であるとされています。

血糖値のコントロール方法では、意識的な食事の重要性についてご紹介しました。

摂取する食品によってもその数値は大きく左右され、血糖値のコントロールや生活習慣病予防に適しているとされるのが納豆です。

ではなぜ納豆が血糖値のコントロールや糖尿病予防に適しているのか詳しく解説していきます。

納豆に含まれる水溶性ペプチドが血糖値に良い影響を与える

納豆の原材料となっている大豆には、大豆タンパク質があります。

この中には、水溶性ペプチドという成分が含まれており、血糖値をコントロールするための2つの作用があります。

  • 血液中の糖を吸収するインスリンの活性化
  • グルカゴンに働きかける

水溶性ペプチドは、インスリンの働きを活性化させて、血液中の糖の吸収を促す作用があります。

また、グルカゴンに働きかけ、血糖値が下がりすぎないように調整する働きもあります。

糖尿病予防のための納豆の食べ方にはポイントがある

納豆の効果を最大限に活かした食べ方には、下記のような方法があります。

  • 加熱調理をしない
  • 継続して食べる
  • 他の食品と組み合わせて食べる

納豆に含まれているナットウキナーゼは、熱に弱いという特徴があります。

そのため加熱調理をしてしまうと、せっかくのナットウキナーゼの働きが弱まってしまいます。

また熱々の白米の上に乗せた場合、ナットウキナーゼの働きを弱めてしまいかねません。

継続して食べる必要はありますが、健康に良いと言われる食品でも過剰な摂取は栄養に偏りが生じてしまいます。

また納豆自体にも脂質が含まれており、タレなどには塩分も含まれます。

他の食品と組み合わせる際は、脂質や塩分の量にも配慮しながら組み合わせていくのがポイントです。

過度な摂取は、かえって高脂血症や高血圧などの生活習慣病を悪化させかねませんので、1日に1~2パックを目安に摂取するようにしましょう。

納豆と他の食品を組み合わせると相乗効果が生まれより効果的な食事法となる

単体でも栄養価が高い納豆ですが、他の食材と組み合わせる取り入れ方で相乗効果が期待できます。

おすすめな組み合わせ方法をご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

酢と組み合わせると食欲抑制にもなる

酢にも血糖値の急上昇を抑える働きがあります。

納豆と組み合わせると血糖値の上昇を抑える作用が相乗効果でより効果的になり、さらに食欲を抑える効果も期待できます。

そのため酢と納豆を同時に摂取するのは、暴飲暴食を防ぐという点でも糖尿病の改善や予防に適していると言えるでしょう。

乳酸菌が豊富なキムチと組み合わせると腸内環境の改善に効果的

キムチには諸説ありますが、豊富な乳酸菌が含まれており、腸内環境を整える働きがあります。

そのため、納豆と組み合わせるとさらなる相乗効果が生まれます。

それによって、より高い腸内環境の改善が期待できるでしょう。

また乳酸菌にはコレステロールを下げるという効果もあり、糖尿病の予防だけでなく、その他の高血圧や動脈硬化などの生活習慣病予防にも効果的です。

血糖値のコントロール目的だけでなく、健康維持のために納豆とキムチの組み合わせを積極的に食事に取り入れるのも有効的でしょう。

血糖値のコントロールには納豆が最適の食品

納豆には血糖値の過度な上昇や低下を防ぐ効果があり、血糖値のコントロールをする上で適した食品であるとされています。

また、納豆は大豆イソフラボンの成分も含まれているため美容効果も高く、幅広い年齢層から人気のある食品です。

それと同時に善玉菌を増加させ、腸内フローラを改善する効果によって腸内環境を整える効果もあるため、健康維持にも適しています。

腸内環境の改善はあらゆる疾患のみならず、生活の質や美容にも深く関連があるものです。

血糖値のコントロールを含め健康の増進のため、日常的に継続して納豆を取り入れていくと良いでしょう。

この記事の監修者

大学病院で糖尿病・内分泌内科の臨床医として経験を積み「リサーチマインドを持った診療」をモットーに日々研鑽を積んでまいりました。当院が少しでもあなた様のお役に立つことが出来れば幸いです。

■経歴
平成21年3月 金沢医科大学医学部医学科卒業
平成21年4月 杏林大学病院 初期臨床研修医
平成26年1月 金沢医科大学病院 糖尿病・内分泌内科学教室
平成30年4月 金沢医科大学病院 助教
平成30年9月 金沢医科大学大学院医学研究科 博士課程修了
令和3年1月 金沢医科大学病院学内講師
令和5年6月 Gran Clinic(石川県金沢市)院長

■所属学会
日本内科学会 認定医
日本糖尿病学会 専門医
日本抗加齢医学会 専門医
日本腎臓学会
日本内分泌学会

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