血糖値とは、血液中のブドウ糖(グルコース)濃度を示す重要な指標のことです。
健康診断で血糖値を測定した際、「血糖値が正常ではない」といわれると不安に感じる人もいるでしょう。
今回は血糖値を正常に保つ方法について、わかりやすくまとめました。
- 低血糖や高血糖のリスク
- 食事やストレス対策が大切
血糖値を正常に保つための方法を知りたい人、健康的な生活を送りたい人は、ぜひ参考にしてみてください。
血糖値とは血液中のブドウ糖(グルコース)濃度
血糖値は、血液中のブドウ糖(グルコース)濃度を示す重要な指標です。
食事で摂取した糖質は体内で分解され、ブドウ糖となって血液中に取り込まれます。
血糖値の濃度は、食事をする前と後では数値が大きく変わります。
一般的に正常とされている血糖値は、次の通りです。
- 空腹時血糖値:70~100mg/dL(正常型の上限)
- 食後2時間血糖値: 140mg/dL未満(正常型の目標値)
ただし正常な血糖値は年齢や妊娠の有無、持病などによって異なります。
血糖値が正常ではない場合、低血糖と高血糖の2つのパターンがあります。
以下で、それぞれを詳しく紹介します。
低血糖の人は意識障害を起こす可能性がある
低血糖とは、血糖値が70mg/dL以下になった状態のことです。
低血糖は脳への影響が大きく、意識障害やけいれんなどの深刻な症状を引き起こすケースがあります。
脳はブドウ糖を主なエネルギー源としており、血糖値が低下するとエネルギー不足に陥るためです。
さらに低血糖は心臓や筋肉にも影響を及ぼし、心拍数の変動や筋肉のけいれんを引き起こす場合があります。
低血糖の主な原因は、次の通りです。
- 糖尿病治療でインスリンや経口血糖降下薬を使用している
- 食事量が少ない
- 運動が多い
低血糖が起きたら、ブドウ糖やブドウ糖が含まれたジュースなどの糖質を速やかに摂取します。
低血糖で意識を失った場合は、すぐに医療機関に搬送し、適切な処置を受ける必要があります。
低血糖は、初期段階では自覚症状がほとんどありません。
糖尿病患者は特に血糖値の管理に注意を払い、対策を取るようにします。
高血糖の人は重篤な合併症を引き起こすリスクが高い
高血糖は、糖尿病をはじめとする生活習慣病のリスクを高めます。
長期的に放置すると、次のような重篤な合併症を引き起こします。
ダメージを受ける部分 | 影響 | 主な起こりうる病気 |
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血管 | 血管の内壁が傷つき、動脈硬化や狭窄が起こりやすくなる。 | 動脈硬化、心筋梗塞、脳卒中 |
神経 | 神経細胞を傷つける。 手足のしびれや痛み、歩行障害などが起こる。 | 糖尿病神経障害 |
腎臓 | 腎臓のろ過機能を低下させる。 人工透析が必要になる。 | 糖尿病腎症 |
眼球 | 網膜の毛細血管がダメージを受けて、失明や視力低下につながる。 | 糖尿病網膜症 |
足 | 足の血流が悪くなる。 重症化すると、足を切断する場合もある。 | 糖尿病足病変 |
高血糖の治療をせずに長期的に放置すると糖尿病や動脈硬化、脳梗塞などの発症リスクがあります。
糖尿病になれば、失明、腎不全、神経障害など糖尿病の合併症を引き起こす恐れも出てくるでしょう。
血糖値を正常に保つ対策①バランスの良い食事
血糖値を正常に保つためには、バランスの取れた食事が不可欠です。
適切な栄養素の摂取は血糖値の上昇を抑制し、糖尿病などの生活習慣病の予防や改善に役立ちます。
特に糖質は、血糖値に最も影響を与える栄養素です。
糖質の過剰摂取は血糖値を急激に上昇させ高血糖のリスクを高めますが、適切な糖質の摂取は、エネルギー源として安定的に血糖値を維持するのに役立ちます。
その他食物繊維やたんぱく質、健康的な脂質をバランスよく摂取できるような食事にします。
主食 | 白米や食パンよりも、玄米や雑穀米、ライ麦パンなどの食物繊維が豊富なものを選ぶ。 |
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副菜 | 野菜や海藻、きのこ類を多めに食べる。 |
主菜 | 肉類よりも魚介類や大豆製品、卵などを食べる。 |
間食 | スナック菓子よりも、果物やナッツ類、ヨーグルトなどを選択する。 |
さらに、適度な食事量を守る姿勢も重要で、食べ過ぎは血糖値を急激に上昇させる原因となります。
血糖値を正常に保つ対策②適度な運動
運動は血糖値のコントロールに大きな役割を果たし、健康的な生活を維持するために欠かせません。
運動すると、体内のインスリン感受性が向上します。
体がインスリンを効率よく利用できるようになり、血糖値が安定します。
運動によってエネルギーを消費すると、血中のブドウ糖が使われて血糖値が下がり、安定するのです。
適度な運動の例としては、次のような運動が挙げられます。
有酸素運動 | 1日30分のウォーキングやジョギング、サイクリングやスイミングを続けると、血糖値を効果的に管理できる。 |
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筋力トレーニング | 筋肉量を増やし、基礎代謝を上げるのに有効。 1日に40分以上の運動を行う。 その中には1回10分以上の有酸素運動を含める。 |
日常生活での活動量を増やす | エレベーターを使わずに階段を利用する。 バスや電車の一駅手前で降りて歩くなどの工夫をする。 |
日常生活に取り入れられる運動を継続すると、健康的な血糖値を維持できます。
血糖値を正常に保つ対策③ストレス管理
ストレスは、血糖値に直接的な影響を与えます。
ストレスがかかると、血糖値を上げるホルモンが分泌される一方で、インスリン抵抗性が強くなります。
ストレスが長期間続くと、インスリンに対する感受性が鈍くなり、血糖値が下がりにくくなるのです。
ストレス管理のための具体的な方法として、以下のようなものが挙げられます。
日光浴 | 日光を浴びる。 脳内でストレス発散や気分の向上などの効果が期待できる。 セロトニンという神経伝達物質が分泌される。 |
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規則正しい生活 | 朝食を毎日摂取する。 甘い飲み物や間食を控える。 寝る前2時間以内の食事を避ける。 |
リラクゼーション | 深呼吸法や瞑想を取り入れる。 趣味や友人との時間を持つ。 |
血糖値が正常でないと言われると、多くの人は強いストレスを感じます。
しかし、ストレスが血糖値に悪影響を及ぼすため、日々の生活でストレス管理を意識する姿勢が重要です。
血糖値を正常に保つ対策④適切な睡眠管理
睡眠不足や睡眠の質の低下は、インスリン感受性を低下させ、血糖値の上昇を招きます。
さらに睡眠不足は、食欲増進ホルモンであるグレリンの分泌を増やし、食欲抑制ホルモンであるレプチンの分泌を減らす可能性があります。
それが食べ過ぎを招き、血糖値が上昇する結果となるのです。
血糖値が気になる人は、毎日8時間の睡眠時間を確保するようにします。
寝る前のカフェインやアルコールを控え、寝室はなるべく静かで適切な温度に整えます。
加えて、毎日同じ時間に寝起きする習慣が大切です。
睡眠に問題がある場合は、医療機関を受診して相談するとよいでしょう。
血糖値を正常に保つ対策⑤サプリメントの活用
サプリメントは、バランスの取れた食事や適度な運動などの基本的な生活習慣を補完する手段です。
サプリメントの効果には個人差があり、医師や栄養士と相談しながら適切に利用します。
血糖値によい影響を与える成分として、次のような例があります。
成分名 | 期待できる効果 |
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バナバ葉由来コロソリン酸 | 血糖値の急激な上昇を抑える。 |
サラシアエキス | 食後の血糖値上昇を緩やかにする。 |
シナモン | 血糖値を下げ、糖尿病のコントロールを改善する。 |
サプリメントの利用にあたっては、信頼できるメーカーの製品を選び、適切な用量を守ります。
糖尿病治療薬や他の薬剤との相互作用があるサプリメントもあるため、服用前に必ず医師に相談しましょう。
血糖値を正常に保つ対策⑥定期健診を受ける
定期的な健診により、血糖値の変動を早期に把握し、適切な対策を講じられます。
血糖値が高い状態を放置すると、糖尿病を発症するリスクが高まりますが、早期に対処すれば予防が可能です。
定期健診では、医師の指導を受ける機会ができます。
血糖値の変動や生活習慣の見直しについて専門的なアドバイスをもらうと、日々の生活習慣を見直すきっかけになります。
定期健診を習慣化し、健康管理を徹底する意識が、血糖値を正常に保つための最良の方法といえます。
血糖値の正常化を目指そう
この記事では、血糖値について紹介しました。
血糖値は、食事や運動の影響を受けて変動します。
高血糖が続くと糖尿病や動脈硬化、脳梗塞などの発症リスクが高まるため、血糖値のコントロールが不可欠です。
食事療法では糖質を控えた食事、運動療法ではウォーキングをはじめとする有酸素運動が効果あります。
ストレス管理や十分な睡眠も血糖値の安定に寄与するため、生活習慣を見直す時間を意識する姿勢が求められます。
血糖値を正常化するためには、生活習慣の見直しと継続的な取り組みが欠かせません。
正常な血糖値を維持できると、健康的な生活が送れるでしょう。
この記事を参考にして、血糖値の正常化を目指してみてください。