チョコレートは、血糖値に悪影響を与えるというイメージを持っている人も多いでしょう。
たしかにチョコレートに含まれる糖質は、血糖値を上げる原因となります。
しかし、チョコレートにもいくつか種類があり、高カカオチョコレートはさまざまな健康効果を持っています。
今回はチョコレートが血糖値に与える影響と高カカオチョコレートが持つ健康効果、効果的な食べ方についてまとめました。
- チョコレートの主な原料はカカオ豆
- チョコレートが血糖値に与える影響
- 高カカオチョコレートが持つ健康効果
- 効果的なチョコレートの食べ方
チョコレートが血糖値に与える影響が気になる人、血糖値の上昇を抑えられる間食を探している人はぜひ参考にしてください。
チョコレートはカカオ豆を主な原料として作られるお菓子である

チョコレートはカカオ豆を主な原料として、砂糖や粉乳、乳化剤などを加えて作られるお菓子です。
最初にカカオ豆を加工し、カカオマスやココアパウダーなどのカカオ原料を取り出します。
チョコレートは、原材料の割合によって以下の3種類に分類されます。
- ダークチョコレート
- ミルクチョコレート
- ホワイトチョコレート
ダークチョコレートはカカオマスやココアパウダー、砂糖などを配合して作られます。
一般的にカカオマスが40〜60%含まれる物を指し、カカオ独特の苦味が特徴です。
ダークチョコレートという呼び名の他に、ビターチョコレートやスイートチョコレートと呼ばれる場合もあります。
ミルクチョコレートは、ダークチョコレートの原材料に乳製品を加えて作られます。
全国チョコレート業公正取引協議会の規約によると、ミルクチョコレートと表示する基準はカカオ分21%以上、乳固形分14%以上です。
参照元:全国チョコレート業公正取引協議会
ホワイトチョコレートはカカオマスを使わず、ココアパウダーを主な原料として作られます。
色は乳白色で、甘味が強いのが特徴です。
同じ食品でも原材料の違いにより、血糖値に与える影響が異なります。
チョコレートに含まれる糖質や脂質は血糖値に悪影響を与える

上記のとおり、チョコレートはカカオ原料に砂糖や乳製品を配合するため、糖質や脂質が血糖値に悪影響を与える恐れがあります。
特にミルクチョコレートやホワイトチョコレートなどの糖質が多いチョコレートを食べると、血糖値の急上昇につながります。
さらに、チョコレートは全般的にカロリーが高い食品です。
血糖値を気にする人の中には、1日の摂取カロリーを制限している人もいるでしょう。
チョコレートの食べ過ぎは体重の増加につながり、糖尿病を悪化させます。
血糖値の急上昇を防ぐには、糖質が少ないチョコレートを選ぶのが大切です。
高カカオチョコレートは糖質が少なく、健康効果が期待できます。
血糖値が気になる人は健康効果がある高カカオチョコレートを選ぼう

血糖値が気になる人は糖質が少なく、健康効果があるカカオ分が豊富な高カカオチョコレートを選びましょう。
高カカオチョコレートはダークチョコレートの一種で、一般的にカカオ分が70%以上含まれている物を指します。
他の種類に比べて砂糖や乳製品の割合が低いため、糖質を抑えられます。
高カカオチョコレートの健康効果は、以下のとおりです。
- 血糖値の急上昇を抑える
- 動脈硬化を予防する
- 血圧を下げる
- 老化を予防して体の機能を維持する
- ストレスを軽減させる
- 便秘を解消する
これらの健康効果は主にカカオに含まれるポリフェノールによるものであり、高カカオチョコレートは他の種類よりも高い効果が期待できます。
ここからは、高カカオチョコレートの健康効果について1つずつ解説します。
GI値が低い高カカオチョコレートは血糖値の急上昇を抑えられる
GI値が低い高カカオチョコレートは糖質の吸収がおだやかなため、血糖値の急上昇を抑えられます。
ブドウ糖を摂取した場合の数値を100とし、GI値が高いほど血糖値が急激に上昇します。
同じ食品でも、ミルクチョコレートやホワイトチョコレートは高GI食品です。
他にもチョコレートに含まれるカカオポリフェノールはインスリンの効きを良くし、分泌量を増やす作用があります。
カカオポリフェノールがGLP-1というホルモンに働きかけ、インスリンの分泌を促すためです。
参照元:J-Stage
さらにカカオポリフェノールには、糖質の吸収速度を遅らせる食物繊維が豊富に含まれています。
糖尿病は、インスリンの作用または分泌量の不足によって高血糖の状態が続く病気です。
高血糖は、血糖値が正常値よりも高い状態を表します。
そのため、血糖値の急上昇を抑える効果は糖尿病の予防や改善に役立ちます。
LDLコレステロールの酸化を防いで動脈硬化を予防する
カカオポリフェノールには、LDLコレステロールの酸化を防いで動脈硬化を予防する効果があります。
肝臓で作られたコレステロールを全身に運ぶ作用があり、増えすぎると動脈硬化の原因となります。
動脈硬化とは動脈の壁が厚くなり、硬くなって弾力が失われた状態のことです。
LDLコレステロールは活性酸素によって酸化され、動脈硬化を引き起こします。
そのため、LDLコレステロールは悪玉コレステロールとも呼ばれています。
カカオポリフェノールは活性酸素を減らして働きを抑制し、LDLコレステロールの酸化予防に効果的です。
さらにカカオポリフェノールには血管壁の炎症を軽減させ、血管をしなやかにする作用もあります。
糖尿病は動脈硬化を進行させる原因となり、脳梗塞や心筋梗塞などの病気を引き起こします。
カカオポリフェノールは血流を改善させて血圧を下げる効果がある
カカオポリフェノールには血管を広げて血流を改善させる作用があり、血圧を下げる効果が期待できます。
血管壁に炎症が生じていると、血管が狭くなってしまい、赤血球が通り抜けるのをさまたげます。
血圧が下がるのはカカオポリフェノールによって炎症が軽減され、血管が広がって赤血球の通りが良くなるためです。
高血圧と動脈硬化とは密接な関係があり、互いに症状を進行させる要因となります。
カカオポリフェノールの血管をしなやかにする作用は、高血圧と動脈硬化の両方に良い影響を与えます。
愛知県蒲郡市で行われた調査でカカオ分72%のチョコレートを1日25g、4週間継続して食べたところ、最高血圧と最低血圧共に低下するという結果が出ました。
さらに被験者を血圧の数値によって2つのグループに分けたところ、血圧が高いグループのほうが正常値のグループよりも血圧の低下が大きかったという結果もあります。
参照元:株式会社 明治
糖尿病患者の中には高血圧を併発している人も多く、血圧の低下は合併症の予防になります。
老化を予防して運動機能の維持や運動後の疲労回復に役立つ

カカオポリフェノールの抗酸化作用は老化を予防する効果もあり、運動機能の維持や運動後の疲労回復に役立ちます。
体が酸化すると老化が促進され、筋力や体の運動機能が低下します。
カカオポリフェノールの一種であるカカオフラバノールは体の柔軟性や筋力、バランス感覚を維持する働きがあります。
血糖値を下げるには、適度な運動や筋肉量の増加が効果的です。
運動によって血液中のブドウ糖がエネルギーとして消費され、血糖値が下がります。
筋肉は体内でエネルギーの貯蔵庫となり、血糖値を調整する役割を果たします。
運動機能の維持により、継続的な運動が可能となるでしょう。
カカオポリフェノールには傷ついた筋肉を修復し、エネルギーの消費量を増加させる働きもあります。
エネルギー消費が増えると体重の減量にもつながるため、糖尿病患者の体重管理に有効です。
抗酸化作用は酸化ストレスや炎症反応を抑え、運動後の疲労感を軽減します。
チョコレートにはストレスの軽減に役立つ複数の成分が含まれている
チョコレートにはストレスの軽減に役立つ、以下のような成分が含まれています。
- カカオポリフェノール
- カフェイン
- テオブロミン
カカオポリフェノールは不安や抑うつを和らげ、精神を安定させる効果があります。
カフェインにはリラックス効果があり、慢性的なストレスを軽減します。
テオブロミンは苦味成分で、カフェインに似た働きを持つ化学物質です。
精神に影響を与えるセロトニンという神経伝達物質に作用し、働きを助けます。
チョコレートは、BDNFを増やす効果も期待できます。
BDNFは脳由来神経栄養因子と呼ばれるタンパク質の一種で、神経細胞の成長や再生を促進する成分です。
加齢と共に量が減少し、うつ病や認知症の発症にも関わっています。
体内のBDNFが増加すると、ストレスが原因のうつ病を予防できる可能性があります。
食物繊維やカカオプロテインが便通を促進して便秘を解消する
チョコレートに含まれる食物繊維やカカオプロテインには便通を促進し、便秘を解消する効果が期待できます。
チョコレートに含まれる主な食物繊維は、リグニンという不溶性食物繊維です。
食物繊維には不溶性と水溶性の2種類があり、不溶性食物繊維には便通を促進させる働きがあります。
不溶性食物繊維は水分を吸収して膨らむ性質があり、便のかさを増やします。
カカオプロテインはカカオに含まれており、難消化性の性質を持つ成分です。
小腸で消化されずに大腸まで届き、便のかさを増やしたり、腸内細菌のエサとなったりして腸を整えます。
食物繊維の摂取には心筋梗塞や脳卒中、糖尿病などの発症リスクを下げる効果もあります。
欧米で発表された研究によると、1日24gの摂取で病気の発症リスクを抑えるという結果が得られました。
厚生労働省が発表している食物繊維の1日の目標量は18〜64歳の男性で21g以上、女性は18g以上です。
参照元:e-ヘルスネット
普通のチョコレートに比べて、高カカオチョコレートは食物繊維が豊富に含まれています。
高カカオチョコレートには今回紹介したような健康効果がありますが、食べ方も血糖値に影響を与えます。
血糖値の上昇を抑えてチョコレートを食べるには食べ方の工夫が必要

血糖値の上昇を抑えてチョコレートを食べるには、以下のような食べ方の工夫が必要です。
- 食べる量は15〜30g以下/日にする
- 複数回に分けて食べる
- 食べるタイミングに気を配る
食べる際は、ダークチョコレートの中でもカカオ分が70%以上の物を選ぶのが大切です。
砂糖や乳製品が多く含まれるチョコレートは、食べ方を工夫しても血糖値が急激に上がる恐れがあります。
中にはポリフェノールの量が表示されている商品もあるため、健康効果を期待する人はポリフェノールが多い物を選びましょう。
クッキーやケーキの生地には、多くの糖質が含まれています。
高カカオチョコレートにはさまざまな健康効果があり、血糖値が高い人にも向いている食品です。
ここでは、高カカオチョコレートを食べる際のポイントを解説します。
高カカオチョコレートの量は15〜30g以下/日にする
チョコレートにはエネルギーや脂質が多く含まれているため、1日に食べる量は15〜30g以下/日が目安です。
量を多く食べると、血糖値の急上昇につながります。
株式会社明治が行った実験では、25gを4週間継続して食べても被験者の体重に変化がなかったという結果があります。
高カカオチョコレートの場合は、およそ30gで200kcalに該当します。
15〜30g以下/日程度であれば継続して食べ続けられ、健康効果も得られます。
ただし、必要なカロリーは体型や活動量などによっても異なり、間食は1日の摂取カロリーの1割程度が目安です。
糖尿病の治療をしている人は、医師の指示に従って間食で摂取するカロリーを決めましょう。
間食はあくまで食事のおまけであり、食事を減らして間食を取るのはおすすめできません。
効率的に健康効果を得るには複数回に分けて少量ずつ食べる

効率的に高カカオチョコレートの健康効果を得るには、複数回に分けて少量ずつ食べるのが重要です。
健康効果の大半はカカオポリフェノールによるものであり、摂取してから2時間をピークに減少します。
24時間後にはほとんど体内から排出されて、効果がなくなります。
効果的な食べ方は、15〜30g以下/日を3〜6回程度に分けて食べる方法です。
糖質や乳製品が少ないとはいえ、一度に多く食べると血糖値に悪影響を与えます。
健康効果以外にも脳の活性化やリラックス効果があるため、うまく取り入れると気分転換にも役立ちます。
食べるタイミングは1日3回の食前と食間が効果的である
高カカオチョコレートは食べるタイミングによって効果が異なり、1日3回の食前と食間に食べると効果的です。
カカオポリフェノールにはインスリンの効きを良くする働きもあり、食事による血糖値の上昇を抑えられます。
高カカオチョコレートに含まれている食物繊維も、血糖値の上昇を抑えるのに有効です。
食物繊維は食べ応えがあるため、その後に食べる食事の量を自然に減らせます。
適切な間食は食事の間隔が長く空きすぎるのを防ぎ、血糖値の急上昇を抑える効果があります。
食事の間隔が長く空きすぎると、食後の血糖値が急激に上がる恐れがあるためです。
過度な空腹は早食いや食べ過ぎを招き、体重増加や肥満を引き起こす原因にもなります。
ただし、チョコレートは食べ過ぎないように量を調整する必要があります。
糖尿病患者は、夜遅い時間帯や就寝前に食べるのは避けるべきです。
夜間はエネルギーの消費量が減り、上昇した血糖値がなかなか下がらない恐れがあります。
就寝前の飲食は、寝ている間の高血糖につながります。
通常、食事で上がった血糖値が下がるまでにかかる時間は2時間程度です。
しかし糖尿病患者はインスリンの効きが悪く、健常者よりも血糖値が下がるのに時間がかかる場合があります。
血糖値の上昇を抑えるには、今回紹介した食べ方のポイントを意識するのが大切です。
高カカオチョコレートは血糖値や糖尿病に良い成分が含まれている
高カカオチョコレートには血糖値や糖尿病に良い影響を与える、カカオポリフェノールや食物繊維、カカオプロテインなどの成分が含まれています。
血糖値が気になる人は、ダークチョコレートの中でもカカオ分が70%以上の高カカオチョコレートを選ぶのが大切です。
カカオポリフェノールには、血糖値の急上昇を抑える効果があります。
他にも動脈硬化の予防や血圧を低下させる効果があり、生活習慣病や糖尿病の合併症を予防するのに有効です。
食物繊維やカカオプロテインは、便通の促進や便秘の解消に役立ちます。
効率的に健康効果を得るには、複数回に分けて少量ずつ食べるように心がけます。
血糖値を上げずにチョコレートを食べたい人は高カカオチョコレートを選び、今回の記事を参考に食べ方を工夫しましょう。