肌の乾燥に血糖値が関係する理由と肌を正常に保つための食事改善を紹介

肌の乾燥に血糖値が関係する理由。肌を正常に保つための食事改善

肌の乾燥はさまざまな原因で現れ、血糖値の変動から発生する高血糖や糖尿病、糖化も原因の1つです。

血糖値は食事で摂取する栄養素の調整から、高血糖や糖化を未然に防げるような食生活に改善できます。

この記事では、肌の乾燥に血糖値が関係する理由や、食事で血糖値をコントロールする方法などをまとめました。

この記事でわかること
  • 生活習慣の悪化で血糖値が変動した場合、肌の乾燥が引き起こされる可能性がある
  • 血糖値が高い状態が続くと、排尿で体内の水分が減って脱水状態になる
  • 糖質の過剰摂取から糖化が発生して、肌の乾燥につながる
  • 血糖値をコントロールするには糖質の摂取量を抑えて、食物繊維の摂取量を増やす
  • 低GIに該当する食材も血糖値の上昇を抑えられる
  • 肌の状態を向上させるにはビタミンやたんぱく質、必須脂肪酸も取り入れる
  • 肌の乾燥が急に現れた場合、血糖値の異常について警戒する

肌の乾燥が気になり始めた人やケアしても肌の乾燥が治らない人は、参考にしてみてください。

目次

肌の乾燥は体質や湿度以外に血糖値が原因で発生する可能性がある

生活習慣の悪化で乾燥肌に

肌が乾燥するのは、以下のような体質や生活環境が影響している可能性があります。

  • 生まれつきの皮膚の薄さやアトピー性皮膚炎など、先天的または遺伝的な原因
  • 加齢による保湿成分の減少や皮膚の水分保持力の低下
  • 強く肌を擦る、化粧水を使い過ぎるなど、誤ったスキンケアの継続
  • 空気の乾燥、湿度の低下
  • 紫外線による肌のバリア機能低下
  • 睡眠不足やストレス、食生活の乱れなど、生活習慣の悪化による不調

上記のうち、生活習慣の悪化における血糖値の変動から、肌の乾燥を引き起こす可能性があります。

しかし、血糖値は食事によってある程度コントロールできるため、食生活の改善から肌の乾燥も改善が見込めます。

先天的な原因やスキンケアに問題がない場合は、血糖値の変動が原因で肌の乾燥が起きている可能性を探ってみましょう。

肌の乾燥は高血糖および糖尿病による脱水や肌細胞の糖化から発生する

血糖値の変動。肌が乾燥する具体的な原因

血糖値の変動で肌が乾燥する具体的な原因は、以下のとおりです。

慢性的な肌の乾燥は医師に相談
  • 高血糖や糖尿病による脱水状態
  • 糖尿病神経障害による自律神経の異常から、汗をかけずに皮膚の水分量が低下する
  • 糖質の過剰摂取から肌細胞が糖化して起こる炎症反応と血行不良

基本的には、血糖値が高い状態である高血糖もしくは糖質の過剰摂取から、肌の乾燥につながる異常が発生します。

高血糖は糖尿病に発展する可能性もあり、糖尿病の合併症からさらに肌の乾燥が悪化する可能性もあります。

自分で肌の乾燥の原因を判断するのは難しいため、肌の乾燥が慢性的に続く場合は、医師の診断を受けて原因を明らかにしましょう。

高血糖や糖尿病による身体の反応から脱水状態になって肌の乾燥につながる

高血糖や糖尿病では、血液中のブドウ糖量が慢性的に多い状態が続いており、血糖値も高い数値が出続けます。

身体としては体内の糖質を減らすように働きかけますが、その過程で肌を乾燥させる原因を作ってしまいます。

  1. 血液中のブドウ糖を体外に排出するために、排尿の頻度が多くなる
  2. 排尿するために体内の水分も使われて、慢性的に続くと身体が脱水状態になる
  3. 脱水から皮膚の潤いが失われて、肌が乾燥する

単に水分補給量を増やすだけでは改善しないため、血糖値を正常な値に戻せるように、食事の改善や治療を行いましょう。

糖尿病の場合は三大合併症の1つである糖尿病神経障害により、自律神経の乱れで汗が出なくなる場合があります。

汗が出ないと皮膚は水分を保持できなくなるため、排尿による脱水と併せて肌の乾燥が悪化します。

糖質の過剰摂取から肌細胞が糖化して肌の乾燥を含めた肌トラブルにつながる

余分な糖質で終末糖化産物が発生

糖化とは体内で余った糖質がたんぱく質や脂質と結びついて、終末糖化産物と呼ばれるAGEsを発生させる症状です。

AGEsが発生し続けた場合、以下のような肌トラブルにつながります。

  • 肌の乾燥:AGEsから炎症反応や血行不良が生じて、肌細胞が脱水する
  • シワ、たるみ:AGEsがコラーゲン線維とエラスチン線維の結びつきを緩める
  • シミ、くすみ:AGEsの阻害からメラニン色素の排出ができずに、表皮に残る
  • 肌荒れ:AGEsで新陳代謝の阻害や免疫力機能が低下する

糖化が発生する主な原因は、食事における糖質の過剰摂取です。

普段から糖質の多い炭水化物や甘いお菓子などを食べ過ぎている場合、糖化の発生リスクが高まります。

糖質を過剰摂取すると血糖値が急上昇して、高血糖にもつながるため、糖化と同時に高血糖による脱水も発生する可能性があります。

血糖値の変動による肌の乾燥を防ぐためには糖質や食物繊維の摂取量を意識する

肌の乾燥を防ぐには糖質や食物繊維の摂取量を意識

肌を乾燥させる原因となる高血糖や糖尿病、糖化を防ぐには、食事で以下のような工夫を実践しましょう。

完全な糖質制限は別の不調に
  • 糖質の摂取量を抑える
  • 食物繊維の摂取量を増やし、食事の最初に食べて血糖値の上昇を緩やかにする
  • 低GIの食材を食事に取り入れて血糖値の急上昇を防ぐ

糖質は身体に必要な栄養素であるため、摂取を完全に止めてしまうと、別の不調につながる可能性があります。

身体に必要な量を摂取しつつ、糖質を含む食材を減らした分、血糖値に良い影響のある食材を取り入れましょう。

高血糖や糖化につながる血糖値の上昇については、食物繊維や低GI食品が効果を発揮します。

食物繊維は先に食べた場合に後から摂取する糖質の吸収を遅らせる

摂取量を増やせると糖尿病予防に

食物繊維のうち、水溶性食物繊維は以下の流れで糖質の吸収を遅らせる効果があります。

  1. 水溶性食物繊維は体内で消化されず、水分を吸収して粘り気のある状態になる
  2. 粘り気のある状態で、腸や胃に残る、もしくは消化までの経路に張り付く
  3. 後から摂取した糖質に粘り気の食物繊維が張り付いて、消化までの時間を遅らせる
  4. 消化までの時間がかかると血糖値の上昇が緩やかになる
  5. 血糖値は急上昇すると高い数値から下げられない場合があるため、緩やかな上昇は高血糖や糖尿病の予防になる

上記の性質から、食物繊維は高血糖や糖尿病を予防するうえで、摂取量を増やしたい食材です。

食物繊維は以下のような野菜やキノコ類、海藻類や大豆類に多く含まれています。

分類食材の代表例
野菜モロヘイヤ
ブロッコリー
オクラ
キノコ類まいたけ
えのき
ぶなしめじ
干ししいたけ
海藻類わかめ
昆布
大豆類大豆
インゲン豆
納豆

食物繊維は先に食べておくと効果が出るため、食事においては以下の順番を意識して食べましょう。

  1. 食物繊維:最初に食べて効果を発揮する
  2. たんぱく質:消化に時間がかかるため、間に挟む
  3. 糖質:食物繊維の効果とたんぱく質の消化で吸収されるまで時間がかかる

サラダなどの一品料理を食事の最初のほうに食べるように意識すると、自然に食物繊維を優先して摂取できます。

同じ分類の食材でもなるべく低GIを選んで血糖値の上昇を緩やかにする

カロリーや栄養バランスにも注意

GI値は食品を食べた際の血糖値の上昇度を示す数値であり、以下の3つに分類されています。

  • 55以下:低GI
  • 56~69:中GI
  • 70以上:高GI

血糖値の上昇度が低い食品を優先的に選んだ場合、血糖値を急上昇させる可能性を下げられるため、高血糖や糖尿病の予防につながります。

低GIに該当する食材の例は、以下のとおりです。

分類低GIに該当する食材の例
穀物・パン・麺類玄米:55
ライ麦パン:55
オートミール:55
そば:54
全粒粉パン:50
野菜類トマト:30
オクラ:28
キャベツ:26
ブロッコリー:25
ほうれん草:15
果物バナナ:55
りんご:36
キウイ:35
レモン:34
イチゴ:29
肉類ベーコン:49
ハム:46
豚肉:46
ソーセージ:46
鶏肉:45
まぐろ:40
アジ:40
エビ:40
イカ:40
乳製品・卵バター:30
卵:30
牛乳:25
プレーンヨーグルト:25

ご飯やパンなどの炭水化物は糖質の量が多いですが、玄米やライ麦パンといった食材に置き換えると、血糖値の上昇を少し抑えられます。

一方で、GI値は血糖値の上昇度のみを参照しているため、低GIでもカロリーや栄養素が必ずしも良い食材とは限りません。

低GIの食材を最優先するのではなく、栄養バランスを考えて個々の食材の栄養素を確認しながら選んでください。

血糖値の改善と併せて肌の状態を向上させる栄養素を摂取する

血糖値の改善と肌の状態を向上。有効な栄養素

糖質の摂取量を調整して高血糖や糖化を防いだ場合でも、体質や生活環境から肌が乾燥する可能性があります。

血糖値以外が原因で肌が乾燥している場合、以下の栄養素が有効に働きます。

  • ビタミンA:皮膚や粘膜を保護、肌の細胞を一新させるターンオーバーの促進
  • ビタミンB2:皮膚や粘液などの細胞の保護、再生に影響する
  • ビタミンB6:皮膚の抵抗力や免疫機能の維持に影響する
  • ビタミンC:皮膚を構成するコラーゲンの合成や抗酸化作用による紫外線からの保護
  • ビタミンE:抗酸化作用による紫外線からの保護や血行促進で新陳代謝を促す
  • たんぱく質:皮膚や血液などの材料になる
  • 必須脂肪酸:皮脂の材料になり、肌のバリア機能を高める
  • 亜鉛:肌のターンオーバーの周期を整える

血糖値を上昇させないように糖質の摂取量調整や食物繊維の増量は継続しつつ、上記の栄養素も摂取できるように食材を選びましょう。

ビタミンは体内で生成できないため食材から摂取する必要がある

皮膚の保護やターンオーバーに寄与

ビタミンは体内でほとんど生成できない栄養素であるため、肌の乾燥対策としては食材から摂取する必要があります。

肌の乾燥対策になるビタミンを含んだ食材の例は、以下のとおりです。

栄養素食材の代表例
ビタミンAレバー
緑黄色野菜:モロヘイヤ、ほうれん草など
うなぎ
ビタミンB2レバー
うなぎ
青魚:さば、いわしなど
納豆
ビタミンB6赤身肉
鶏肉
レバー
マグロ
バナナ
ビタミンCアセロラ
パプリカ
ブロッコリー
キウイフルーツ
レモン
ビタミンEナッツ類:アーモンドなど
植物油:ひまわり油など
うなぎ
アボカド
大豆
青魚:さば、いわしなど

レバービタミンAとビタミンB群を同時に摂取できるため、肌の乾燥対策として重宝します。

モロヘイヤや納豆、大豆は食物繊維も多い食材であり、ビタミンと食物繊維を同時摂取できます。

たんぱく質や必須脂肪酸は摂取量を調整しつつ良質な食材を選ぶ

脂質の量を調整して摂取する

肌の乾燥対策になるビタミン以外の栄養素を含んだ食材の例は、以下のとおりです。

栄養素食材の代表例
たんぱく質鶏ささみ
マグロ
大豆製品

牛乳
必須脂肪酸青魚:サバ、イワシ、サンマなど
亜麻仁油・えごま油
大豆油・ごま油
亜鉛牡蠣
カニ
うなぎ
レバー
牛肉
大豆製品

たんぱく質や必須脂肪酸は肌の生成に必要である一方で、摂取し過ぎると肥満や脂質過多につながる可能性があります。

特にたんぱく質の多い肉類や卵は脂質を過剰摂取する可能性があるため、なるべく脂質が少ない部位を選ぶなど、脂質量を調整しましょう。

亜鉛は体内で生成できないミネラル成分であり、摂取できる食材がほかの栄養素よりも限られています。

レバーや牛肉は亜鉛の量が多いですが、こちらも脂質の過剰摂取にならないように食べる量を調整してください。

肌の乾燥が急に現れた場合は血糖値に異常が発生している可能性を警戒する

肌の乾燥が急に現れた場合血糖値の異常を警戒

これまで肌の乾燥が見られなかった人が、急に肌の乾燥やかゆみを感じた場合、血糖値に異常が発生している可能性があります。

糖尿病の発症後の症状としては、以下のような肌のトラブルが発生します。

  • 全身のかゆみ
  • 乾燥から肌が白い粉をふく
  • 食後の血糖値変動でかゆみが生じる
  • 傷の治りが遅い

そのため、急な肌の不調が発生して長期的に治らない場合は、原因を明らかにするために医療機関を受診してください。

食事による肌の乾燥の改善は、原因が明確化してからのほうがより効果的に行えます。

血糖値以外が原因だった場合でも、早めに受診したほうが症状の悪化を防げます。

食事で摂取する栄養素から血糖値を整えて肌の乾燥を防ぐ

食事で糖質を過剰摂取した場合、高血糖や糖尿病による体内の脱水、糖化による肌細胞の脱水から肌の乾燥を引き起こします。

これまで肌の不調が現れなかった人で、急に肌の乾燥やかゆみを感じた場合は、血糖値の変動が原因である可能性も考えておきましょう。

血糖値の変動は糖質の摂取量を制限しつつ、食物繊維や低GI食材を活用した場合、高血糖や糖化につながる血糖値の急上昇を防げます。

ただし、自己判断で血糖値が原因と決めつけると誤った予防になる可能性があるため、医療機関を受診して原因を明確化するのが推奨されます。

肌が乾燥する原因が明確化した後は、血糖値の上昇対策や肌の状態を向上させる栄養素を取り入れてみてください。

この記事の監修者

大学病院で糖尿病・内分泌内科の臨床医として経験を積み「リサーチマインドを持った診療」をモットーに日々研鑽を積んでまいりました。当院が少しでもあなた様のお役に立つことが出来れば幸いです。

■経歴
平成21年3月 金沢医科大学医学部医学科卒業
平成21年4月 杏林大学病院 初期臨床研修医
平成26年1月 金沢医科大学病院 糖尿病・内分泌内科学教室
平成30年4月 金沢医科大学病院 助教
平成30年9月 金沢医科大学大学院医学研究科 博士課程修了
令和3年1月 金沢医科大学病院学内講師
令和5年6月 Gran Clinic(石川県金沢市)院長

■所属学会
日本内科学会 認定医
日本糖尿病学会 専門医
日本抗加齢医学会 専門医
日本腎臓学会
日本内分泌学会

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