血糖値を下げる飲み物を適量摂取して高血糖や糖尿病を未然に予防する

血糖値を下げる飲み物。高血糖や糖尿病を未然に予防

血糖値は日頃から糖質の摂取量が多いと、数値が高い状態が続いて、高血糖や糖尿病に発展します。

糖質は食べ物からの摂取が多いですが、特定の飲み物を飲み過ぎている人は、飲み物からの摂取が原因の可能性もあります。

一方で血糖値を下げるのに有効な飲み物もあるため、高血糖や糖尿病の予防に飲み物の選択は重要です。

この記事では血糖値を下げる飲み物について、有効な理由や1日あたりの適切な摂取量をまとめました。

この記事でわかること
  • 血糖値を下げる飲み物の種類
  • 1日あたりの適切な摂取量
  • 血糖値を急上昇させる点から飲むのを減らすべき飲み物

血糖値が高めの人で飲み物を意識していなかった人は、参考にしてください。

目次

血糖値を下げる飲み物は砂糖を入れずに適量を飲むと効果を発揮する

血糖値を下げる効果がある。適量を飲むと効果を発揮

血糖値を下げる飲み物として一定の効果があるのは、以下の飲み物です。

  • お茶
  • 牛乳
  • コーヒー
  • レモン果汁入りの水

レモン果汁入りの水以外は、一般的な飲料として販売されています。

商品によっては砂糖入りの飲料もあるため、血糖値を下げる目的で飲む場合は砂糖が入っていない商品を選びましょう。

上記の飲み物は血糖値を下げるのに有効な成分が含まれていますが、大量に飲めばその分効果が高まるわけではありません。

飲みすぎると別の成分が身体に悪影響を及ぼす可能性があるため、1日あたりの適量を次の項目から確認してください。

お茶の苦渋味成分を担うカテキンは腸で糖質の吸収を抑える効果がある

お茶に含まれるカテキンポリフェノールの1種であり、タンニンと呼ばれるお茶の苦味や渋味の元です。

健康面の効果としては腸で糖質の吸収を抑える働きがあるため、食前に飲むのが推奨されます。

お茶にはいくつか種類がありますが、カテキンの含有量は種類によって少しずつ異なります。

  • 玉露(緑茶類):10.0g
  • 抹茶(緑茶類):10.0g
  • せん茶(緑茶類):13.0 g
  • 番茶(緑茶類):11.3g
  • ほうじ茶(緑茶類):9.3g
  • 紅茶(発酵茶類):11.0 g

参考:食品成分データベース

紅茶の主成分である紅茶ポリフェノールにも、カテキンが含まれています。

ただし紅茶は砂糖が含まれている商品が多いため、無糖のストレートティーを選びましょう。

お茶にはカフェインが含まれているため、過剰摂取するとカフェイン中毒に陥る可能性があります。

しかしコーヒーよりは含有量が少ないため、毎食ごとに飲んでも身体への悪影響は少ない飲み物です。

茶葉以外の材料から抽出されるお茶の中にも血糖値を下げる成分がある

カテキンは茶葉から抽出されるため、茶葉以外を原材料とするお茶には含まれていない場合があります。

しかし以下のお茶については、血糖値を下げる効果が期待できます。

  • 黒豆茶:黒豆ポリフェノールによる内臓脂肪の減少
  • 桑の葉茶:クワ葉の高血糖抑制作用
  • ヤーコン茶:ヤーコンによるインスリン抵抗性の改善

黒豆茶は内臓脂肪を減少させる効果から、メタボリックシンドローム対策になるお茶です。

メタボリックシンドロームは高血糖につながるため、黒豆茶の効果は間接的に血糖値を上げない対策にもなります。

桑の葉茶の原料であるクワ葉は、お茶以外にも青汁に使われている植物です。

ミネラルや食物繊維を含んでおり、血糖値に対しては、高血糖を抑制する作用が期待されます。

ヤーコン茶で抵抗性が改善されるインスリンは、血糖を下げるために重要なホルモンの1種です。

インスリン抵抗性の改善から血糖値を下げる効果が正常に発揮できると、糖尿病リスクを減らせます。

家庭で常飲するお茶としては珍しい部類になりますが、上記の効果を取り入れたい人は試してみてください。

牛乳は低GIの飲み物で毎日適量を摂取すると糖尿病の発症リスクが減る

牛乳は低GIの飲み物。糖尿病の発症リスクが減る

牛乳はタンパク質やカルシウムなど豊富な栄養素を含んでおり、健康面では1日にコップ1〜2杯飲むのが良いとされています。

しかし血糖値を下げる効果で重視されるのは、牛乳がGI値27の低GIに該当する点です。

GIは食後血糖値の上昇を示す指標であり、GI値が55以下になると低GI食品に該当します。

糖尿病診療ガイドライン2019において、低GI食品の摂取量が多いほど、糖尿病の発症リスクが減少したと報告されています。

ただし、牛乳は飽和脂肪酸やコレステロールが含まれる動物性食品です。

飲み過ぎると、脂肪分の過剰摂取になり、循環器疾患のリスクが高まる可能性があります。

そのため、血糖値を下げる目的でも1日にコップ1〜2杯を心がけましょう。

コーヒーに含まれるクロロゲン酸は血糖値の抑制に関わる効果がある

コーヒーに含まれるポリフェノールの1種であるクロロゲン酸は、血糖値の抑制に関わる効果があると報告されています。

海外の研究では、1日に飲む杯数が多いほど糖尿病の発症リスクは下がるというデータが出ています。

しかしコーヒーは以下の点から、飲み過ぎに気を付けなければいけません。

  • 市販の商品は砂糖入りもあるため、糖質の過剰摂取になる
  • カフェインの過剰摂取はカフェイン中毒や高血圧リスクが高まる

そのため血糖値を下げる目的で飲む場合は、砂糖が入っていないコーヒーを選ぶのが推奨されます。

1日に飲む杯数は、コーヒーカップ基準で1〜2杯に留めておくと良いでしょう。

レモン果汁はクエン酸やポリフェノールの効果から高血糖を抑制できる

食前にレモン果汁を混ぜた水を飲んだ場合、食後の高血糖を抑制する結果が出ています。

抑制作用は、クエン酸を主体とする有機酸やポリフェノールが関与したと想定されています。

研究においては150mlの水に対してレモン果汁15%と30%を混ぜており、30%摂取した場合に効果が出ました。

レモン果汁30%入りの水を作る場合は、レモン果汁100%の商品で代替できるため、レモンから搾る必要はありません。

食事前に飲めるだけの水を用意して、レモン果汁が30%以上になるように計算して混ぜましょう。

砂糖入りのジュースや酒類は飲み過ぎると血糖値を急激に上げてしまう

飲みすぎ注意。血糖値を急激に上げる飲み物

飲み物の中でも以下に該当する場合、飲み方によっては血糖値を急激に上げる可能性があります。

  • 砂糖入りの清涼飲料水
  • 野菜・果物100%のジュース
  • アルコール

血糖値を下げようとしている人でも、上記の飲み物を一切飲んではいけないわけではありません。

高頻度の摂取でなければ、血糖値への影響は少なくなります。

一方で既に高血糖や糖尿病に該当する人は、飲むのを控えた方が良い場合があります。

飲む回数を自分で判断するのが難しい場合は、病院で医師や栄養士に相談してみましょう。

砂糖入りの清涼飲料水は大量に飲むとペットボトル症候群を引き起こす

砂糖入りの清涼飲料水は、常飲している場合に清涼飲料水ケトーシスを引き起こすリスクが高くなります。

清涼飲料水ケトーシスは、近年ではペットボトル飲料が原因になる点からペットボトル症候群と呼ばれる症状です。

  1. 糖質が含まれる飲み物や食べ物の摂取が習慣化して、通常時の血糖値が高めになる
  2. 身体が体内の糖質を排出するために尿量を増やすため、喉が渇く
  3. 喉を潤すためにまた糖質が含まれる飲み物を摂取して、高血糖を助長させる
  4. 再び尿量の増加から喉が渇く悪循環が続き、慢性的な高血糖や糖尿病になる

人によっては甘い飲み物しか飲めない状態になるため、高血糖や糖尿病の危険性が非常に高まります。

時々楽しむ程度なら身体への負担は少ないですが、常に砂糖入りの清涼飲料水を選ぶのはやめましょう。

水やお茶を飲むのが苦手な人も、少しずつ飲んで口を慣らしていければ改善できます。

野菜や果物は液体になると飲んだときに果糖をすぐ取り込んでしまう

砂糖が入っていない野菜や果物が100%使われたジュースは、健康的な飲み物だと思っている人もいるかもしれません。

ビタミンなどの栄養素を補給できる点では効果が期待できますが、血糖値に関しては急上昇を引き起こす飲み物です。

野菜や果物にも糖質に分類される果糖が含まれており、一気に摂取すると短時間で血糖値を上昇させます。

固形物として食べるときには、消化するまでに時間がかかるため、果糖による血糖値の上昇はあまり起きません。

しかし、ジュースとして加工するために液体化すると、体内に入ってからの消化が早まります。

血液中に果糖がすぐに取り込まれると、血糖値の急上昇につながってしまいます。

そのため、野菜や果物を摂取するときは、液体化しないで摂取しましょう。

アルコールは過剰に摂取すると臓器に影響が出て高血糖につながる

お酒に含まれるアルコールは、過剰摂取すると身体にさまざまな悪影響を及ぼす成分です。

血糖値の上昇については、以下の臓器への影響から高血糖につながる可能性があります。

  • 肝臓に蓄積された脂肪酸から中性脂肪が大量に合成される
  • すい臓から分泌されるインスリンを抑制する

中性脂肪が増加して肥満やメタボリックシンドロームになった場合、高血糖のリスクも高まります。

それに加えて、アルコールの過剰摂取から発展する以下の症状も、血糖値を不安定にします。

  • アルコール性肝硬変:肝臓の機能低下から、高血糖もしくは低血糖になる
  • アルコール性すい炎:血糖値を上下させる細胞を破壊し、高血糖もしくは低血糖になる

一方でアルコールは適量を摂取した場合、糖尿病リスクを軽減する可能性がある飲み物です。

1日あたりのアルコール摂取量は、20〜25g程度が適量と言われています。

しかし酔いの影響から摂取量を制御するのが難しい人もいるため、常飲する飲み物としては推奨できません。

趣味でお酒を楽しんでいる人は、適量の範囲内で収められるように飲みましょう。

血糖値を下げる飲み物でも過剰摂取は避けて毎日適量を飲んでいこう

血糖値を下げるのに有効なのは、お茶や牛乳、コーヒーと元から常飲している人も多い飲み物です。

お茶は緑茶類や紅茶に含まれるカテキンが、糖質の吸収を抑える効果が期待できます。

ただし紅茶には砂糖入りの商品もあるため、選ぶ際は意識しなければいけません。

コーヒーや牛乳も1日あたり1〜2杯が適量であり、過剰摂取すると身体に悪影響を及ぼす可能性があります。

一般販売されていない有効な飲み物はレモン果汁入りの水があり、食後高血糖を抑える効果があります。

一方でレモンを含めた果物や野菜100%のジュースは、かえって糖質の吸収を早くする飲み物です。

その他にも砂糖入りの清涼飲料水やアルコールは、過剰摂取で血糖値を急上昇させる原因になります。

過剰摂取を避ければ飲み物の成分による悪影響は少なくなるため、いずれも適量を飲むようにしましょう。

この記事の監修者

大学病院で糖尿病・内分泌内科の臨床医として経験を積み「リサーチマインドを持った診療」をモットーに日々研鑽を積んでまいりました。当院が少しでもあなた様のお役に立つことが出来れば幸いです。

■経歴
平成21年3月 金沢医科大学医学部医学科卒業
平成21年4月 杏林大学病院 初期臨床研修医
平成26年1月 金沢医科大学病院 糖尿病・内分泌内科学教室
平成30年4月 金沢医科大学病院 助教
平成30年9月 金沢医科大学大学院医学研究科 博士課程修了
令和3年1月 金沢医科大学病院学内講師
令和5年6月 Gran Clinic(石川県金沢市)院長

■所属学会
日本内科学会 認定医
日本糖尿病学会 専門医
日本抗加齢医学会 専門医
日本腎臓学会
日本内分泌学会

目次