タンパク質には血糖値の急上昇を抑える働きがあり、毎日の血糖対策としてプロテインに注目している人もいるでしょう。
この記事では、食事療法におけるプロテインの役割と効果的な摂取のタイミング、取り入れる際のポイントについて解説します。
- タンパク質は血糖値への影響が少なく栄養バランスを補える
- プロテインは食事療法の補助として取り入れる
- 運動後のタンパク質の補給が筋肉量の維持と代謝を助ける
- 市販のプロテイン製品を選ぶ際は糖質とカロリーに注目する
- 腎機能低下など合併症がある場合は主治医に相談する
糖尿病を患っている人や血糖値が高めの人はぜひ最後まで読んで、プロテインを血糖管理に役立ててください。
タンパク質は炭水化物に比べて血糖値コントロールへの影響が少ない

三大栄養素には炭水化物と脂質、タンパク質が挙げられますが、タンパク質は炭水化物に比べて血糖値コントロールの影響が少ないという特徴があります。
血糖値コントロールとは血糖値を可能な限り正常値に近付けることで、症状の悪化や合併症の予防に役立ちます。
一方でタンパク質と脂質は、炭水化物と比較して食後の血糖上昇への直接的な作用が小さく、エネルギー源として重要な役割を持ちます。
タンパク質は消化吸収に時間がかかるため、血糖値の上昇をおだやかにする働きがあります。
糖尿病の食事療法においてタンパク質は栄養バランスを補う存在である
糖尿病の食事療法ではバランスが良い健康食が推奨されており、タンパク質は栄養バランスを補う存在です。
厚生労働省が公表している糖尿病の食事においても、タンパク質は筋肉や血液の材料となる栄養素であり、過不足のない摂取が必要と紹介されています。
参照元:糖尿病の食事 生活習慣病などの情報(e-ヘルスネット) – 厚生労働省 健康日本21アクション支援システム Webサイト
タンパク質を食前に摂取するとインクレチンというホルモンがすい臓に働きかけて、インスリンの分泌を促す効果が期待できます。
しかしタンパク質が血糖値に及ぼす効果は個人差も大きいため、食事全体のバランスと1日の総エネルギー量を守る姿勢が重要です。
プロテインは食事でタンパク質が不足する場合の補助として位置づける
プロテインは食事でタンパク質が不足する場合や、運動量が多くて必要量を食事だけで補えない場合の補助として位置づけるのが適切です。
プロテインはタンパク質を多く含む栄養補助食品であり、食事で不足している栄養を効率的に摂取できます。
そのため食事からタンパク質を食事で十分に取れている場合、プロテインは必ずしも必要ではありません。
タンパク質は、以下の食品に多く含まれています。
- 肉
- 魚
- 卵
- 大豆製品
糖尿病性腎症や蛋白尿が出ている人はタンパク質を制限する必要があるため、自己判断せずに医師や管理栄養士に相談しましょう。
プロテインを食事療法の補助として取り入れると血糖管理に役立つ

食事療法においてプロテインをタンパク質を補うために取り入れると、血糖管理に役立ちます。
ただしプロテインを活用するためには、食事療法の基本原則を理解する必要があります。
糖尿病診療ガイドライン2024によると、食事療法の基本は標準体重に基づく適正エネルギー量の管理と、炭水化物や糖質のコントロールです。
参照元:糖尿病診療ガイドライン2024 第2章 糖尿病治療の目標と指針 – 日本糖尿病学会
1日の総エネルギー量は患者の年齢や目標体重によっても異なりますが、以下の数式で求められます。
1日の総エネルギー量(kcal)=目標体重(kg)※1×エネルギー係数※2
参照元:糖尿病の食事のはなし(基本編) – 糖尿病情報センター
※1 目標体重
| 条件 | 算定式 |
|---|---|
| 65歳未満 | 身長(m)×身長(m)×22 |
| 65歳以上の高齢者 | 身長(m)×身長(m)×22~25 |
ただし75歳以上の後期高齢者については、筋力の低下や食事の摂取状況に応じて適宜判断が必要。
※2 エネルギー係数
| 活動量 | 係数(kcal/kg目標体重) |
|---|---|
| 軽い(大部分が座位の静的活動) | 25~30 |
| 普通(通勤や家事、軽い運動を含む) | 30~35 |
| 重い(力仕事や活発な運動習慣) | 35~ |
患者の病状や血糖値コントロールの状況によって数値が異なるため、詳しい目標値は医師に相談しましょう。
プロテインを取り入れる際も、1日の総エネルギー量を超えないように心がけるのが大切です。
運動後のタンパク質の補給が筋肉量の維持と代謝を助ける
運動後にタンパク質を補給すると骨格筋の修復と合成が促され、筋肉量の維持と代謝を助けます。
筋肉は糖を取り込む主要な器官の1つであり、筋肉量の維持によってインスリン抵抗性の改善が期待できます。
ただし、タンパク質の摂取だけで運動なしに血糖値が改善するわけではありません。
タンパク質の摂取は運動と組み合わせて初めて意味を持つ手段であり、プロテイン摂取だけでは総エネルギー量が増えて逆効果となる恐れがあります。
プロテインを効果的に取り入れる上で適さないタイミングもある
プロテインには栄養やカロリーが含まれており、効果的に取り入れる上で適さないタイミングもあります。
プロテインの摂取に効果的なタイミングと目的、留意点は以下のとおりです。
| 効果的なタイミング | 目的 | 留意点 |
|---|---|---|
| 食前 | 食後に血糖値が急上昇するのを防ぐ | 1日の総エネルギー量に含めて計算する |
| 朝食時 | 代謝の向上とセカンドミール効果 | 食事の補助としてプロテインを活用する |
| 運動後 | 筋肉の修復や合成をサポートする | 糖質の少ない製品を選ぶ |
プロテインに含まれるタンパク質には糖質の吸収をおだやかにする作用があるため、食前に摂取すると食後の血糖値の急上昇を防げます。
朝食には1日を通して血糖値を安定させる効果があり、朝食時にタンパク質を摂取すると代謝の向上やセカンドミール効果が期待できます。
プロテインはあくまで栄養補助食品であるため、大量摂取や薬の代替として使用するのは控えましょう。
市販のプロテイン製品を購入する際は糖質とカロリーに注目して選ぶ

市販のプロテイン製品には人工甘味料が多く含まれている商品もあるため、購入する際は糖質やカロリーに注目して選ぶのが大切です。
プロテイン製品は、含まれているタンパク質の種類によって以下の3種類に分けられます。
- ホエイ
- カゼイン
- ソイ
ホエイプロテインは吸収が速く、運動後のタンパク質の補給に適しています。
カゼインプロテインはホエイプロテインに比べて消化吸収がおだやかで、腹持ちが良いのが特徴です。
ソイプロテインは植物性のプロテインで脂質やコレステロールが少なく、ダイエット中の人にも向いています。
種類によって特徴や風味が異なるため、自分に合った商品を選びましょう。
ここでは、プロテインを選ぶ際に確認すべき項目と形状による違いを解説します。
市販品を購入する際は栄養成分表示で3つの項目を確認する
市販のプロテイン製品を購入する際は、栄養成分表示で以下3つの項目を確認するようにしましょう。
| 確認項目 | 望ましい目安 | 注意が必要なケース |
|---|---|---|
| エネルギー(kcal) | 1日の総量内に収まるか | 高カロリーな製品を複数回取ると過剰になる |
| 炭水化物や糖質(g) | なるべく少ない製品を選ぶ | 糖質が多いと血糖値に影響する |
| たんぱく質(g) | 製品あたりの含有量を確認 | 少ない製品は補助効果が限定的 |
糖尿病患者が加工食品を選ぶ際は食品表示でカロリーと炭水化物、糖質を確認するのが重要です。
プロテインという名称がついていても、商品によってはカロリーや糖質が高く、血糖管理に逆効果になる場合があります。
同じプロテインでもシェイクとプロテインバーは特性が異なる
市販のプロテイン製品はさまざまな形状の商品が販売されていますが、シェイク(粉末タイプ)とプロテインバーは特性が異なります。
シェイク(粉末タイプ)は自分で混ぜる手間はありますが、自分で量や味の調整が可能です。
糖質が少ない商品も販売されており、糖質が気になる人には無糖タイプも販売されています。
プロテインバーは持ち運びに優れる反面、砂糖や果糖ブドウ糖液糖が添加された製品が多く、糖質が高い傾向があります。
いずれの製品も間食として毎日複数回取り続けると、食事全体の糖質量が増えすぎてしまうかもしれません。
購入前に栄養成分表示を確認し、1日あたりの総エネルギーへの影響を考慮して選ぶようにしましょう。
腎機能低下がある場合はタンパク質の摂取量を主治医に相談する

腎機能低下がある場合はタンパク質の過剰摂取が腎臓の負担となるため、摂取量を主治医に相談する必要があります。
タンパク質は健康維持に欠かせない栄養素ですが、病態によっては臓器に負担がかかってしまいます。
日本腎臓学会のガイドラインによると、糖尿病性腎症の患者はステージに合わせてタンパク質の摂取制限が必要です。
参照元:慢性腎臓病に対する食事療法基準2014年版 日本腎臓学会編 – 東京医学社
そのため、腎機能低下がある人がプロテインを使用する場合は、必ず主治医または管理栄養士に確認してください。
合併症がある人がプロテインを取り入れる場合は慎重な判断が必要
慢性腎臓病や糖尿病性腎症以外にも合併症がある人がプロテインを取り入れる場合は、慎重な判断が必要となります。
以下は、状態ごとのプロテイン摂取時の留意点です。
| 状態 | プロテイン摂取の留意点 | 対応 |
|---|---|---|
| 糖尿病性腎症 | タンパク質制限が必要なケースがある | 必ず主治医に確認してから導入する |
| 心血管疾患 | 高カロリー食による体重増加に注意 | 1日の総エネルギー量を厳守する |
| 合併症なし・境界型 | 食事療法の補助として活用可能 | 管理栄養士の指導のもとで適量を設定する |
合併症がある人は健常者よりもリスクが高いため、自己判断せずに主治医や管理栄養士の指示を仰ぐのが大切です。
エネルギーと脂質、タンパク質のバランスを考慮し、プロテインは補助的に使用するように心がけましょう。
プロテインの活用は自身の評価指標を定期的に確認しながら行う
プロテインを活用する際は体重や血糖値、HbA1cの推移を定期的に確認しながら、量や頻度を調整するのが重要です。
確認すべき評価指標には、以下が挙げられます。
- 体重の変化(総エネルギー量が適正に管理されているか)
- 空腹時血糖値の推移(数値が目標範囲内に収まっているか)
- HbA1cの推移(3〜6ヶ月単位で改善傾向があるか)
- 腎機能検査値(クレアチニン・eGFRなど、腎症がある場合)
プロテインを取り入れても血糖値やHbA1cが改善しない場合は、食事療法や運動療法、薬物療法のいずれかに問題点があると疑われます。
その場合はプロテインを増やすのではなく、主治医や管理栄養士と現在の食事記録を共有して改善点を探るのが有効です。
食事療法の補助にプロテインを取り入れて血糖値の改善を目指そう
タンパク質は炭水化物に比べて血糖値コントロールへの影響が少なく、プロテインを食事療法の補助として取り入れると血糖値の改善を目指せます。
プロテインはタンパク質を効率良く摂取できる栄養補助食品であり、食事だけではタンパク質が不足している場合に役立ちます。
ただし市販のプロテイン製品を購入する際は、糖質やカロリーに注目して選ぶ必要があります。
腎機能低下などの合併症がある人は、主治医や管理栄養士に相談しながら取り入れるのも大切です。
体重やHbA1cなどの評価指標を定期的に確認し、自分に合った量や頻度でプロテインを活用するようにしましょう。
医師や管理栄養士の指導に基づき、プロテインを食事療法の補助として正しく活用する姿勢が長期的な血糖管理につながります。
※ 本記事は公的情報源をもとに構成しています。症状の診断・治療は必ず医師の指導に従ってください。


