白湯と血糖値の関係と適切な摂取の重要性を徹底解説

白湯と血糖値の関係。適切な摂取の重要性を徹底解説

白湯に血糖値を直接下げる効果があるという医学的根拠は、日本糖尿病学会ガイドラインや、厚生労働省の公的資料にも示されていません。

しかし白湯には、脱水症や血管合併症の予防などの効果も見込めるため、糖尿病の人にとっては有効な水分補給の1つです。

この記事では、血糖値管理における白湯の重要性と、適切な摂取方法について解説します。

血糖値管理に関心がある人は、ぜひ参考にしてください。

この記事でわかること
  • 白湯には血糖値を直接下げる効果はない
  • 白湯は血糖値管理の補助的な役割を果たしている
  • 清涼飲料水やカフェインを含む飲料を白湯に置き換えると効果的である
  • 白湯には血管合併症の予防も期待できる
  • 白湯は手軽に作れる飲料である
  • 起床時と就寝時の白湯の摂取は効果的である

血糖値管理の中心は食事療法や運動療法、薬物療法ですが、白湯の摂取は手軽に始められます。

すぐに劇的な効果は得られないため、根気よく続けていきましょう。

目次

白湯に血糖値を下げる効果はないが血糖値管理を補助する効果がある

白湯に血糖値を下げる効果はない。血糖値管理を補助する効果がある

白湯の摂取に血糖値を直接下げる効果はありませんが、以下の効果が見込めるため、糖尿病の人にとっては重要な水分補給方法の1つです。

  • 高血糖状態の回避
  • 脱水症の予防
  • 血管合併症の予防

上記のとおり白湯の摂取のみでは糖尿病は改善しませんが、血糖値に影響を及ぼします。

つまり白湯の摂取は、糖尿病における血糖値管理を補助する効果があるということです。

糖尿病における血糖値管理の中心は、医師や管理栄養士の指導に基づく食事療法や運動療法、薬物療法の継続です。

しかし、食事療法への意識が高まる点において白湯の摂取は、足掛かりの1つとして大きな意味を持ちます。

白湯には血糖値を直接下げる栄養素は含まれていない

白湯とは1度水を沸騰させ、摂取に適温とされる50~60℃まで冷ましたもののことです。

煮沸によって一般的な水道水に含まれている塩素などがなくなるため、摂取の際に身体への負担が小さくなります。

白湯には以下のとおり血糖値に影響を及ぼす糖分などが含まれておらず、エネルギーも0kcalです。

上記のとおり白湯には血糖値を下げる成分はありませんが、加糖飲料の代替飲料として摂取すると高血糖状態を回避できるなどの効果が見込めます。

白湯を加糖飲料の代替飲料として摂取すると高血糖状態を回避できる

喉の渇きを解消するために、日常的に砂糖や果糖ブドウ糖液糖が含まれている清涼飲料水を飲用する人は、少なくありません。

清涼飲料水はさわやかな喉ごしや味わいがありますが、砂糖や果糖ブドウ糖液糖が含まれているものは、血糖値が急上昇する傾向にあります。

そのため、糖尿病や血糖値が高い人にとっては、飲用を避けたほうが良い飲料の1つです。

これに対し白湯は血糖値に直接作用するものではないものの、清涼飲料水を白湯に置き換えると、血糖値の急上昇を避けられます。

代表的な清涼飲料水100gに含まれる糖質とエネルギーの量は、以下のとおりです。

項目オレンジジュースサイダーコーラ
糖質9.0g9.0g12.2g
エネルギー45kcal41kcal46kcal

参照:食品成分データベース

砂糖や果糖ブドウ糖液糖を含む清涼飲料水は、短時間で大量の糖が血液中に流れ込み、血糖値を急上昇させます。

血糖値が高い人や糖尿病の人が喉の渇きを感じた際に加糖飲料を取り続けると、血糖値がさらに上昇し、より強い口渇を招く悪循環が生じます。

代表的な例が、清涼飲料水の摂取による血糖急上昇を原因とするペットボトル症候群です。

ペットボトル症候群は正式には清涼飲料水ケトーシスといい、以下の症状のほか重症化すると意識障害を起こし、命を失う危険性もあります。

  • 激しい口渇
  • 疲労感
  • 体重減少

したがって、砂糖や果糖ブドウ糖液糖を含む清涼飲料水の白湯への置き換えは、高血糖状態を回避できるため有効です。

砂糖や果糖ブドウ糖液糖を含む清涼飲料水の摂取は、上限といわれる1日当たり200~250ml以内に抑え、それ以上は白湯で水分補給をしましょう。

なお、白湯の摂取でも喉の渇きが解消できない場合は、重篤な症状を引き起こす高血糖状態である可能性があるため、すぐに専門の医療機関を受診してください。

白湯の摂取によって、高血糖状態が引き起こす脱水症状を予防できる

白湯の摂取。脱水症状を予防できる

高血糖の状態が続くと脱水症状となる場合がありますが、白湯の積極的な摂取によって予防できます。

高血糖の状態が引き起こす脱水症状の要因は、以下のとおりです。

要因要因の概要
高張性脱水高血糖になると血管外の組織と浸透圧の差が生じるため、細胞内の水分が血管内に流れ込む。
そのため、血液量は増えるものの、細胞内は深刻な脱水状態になる。
浸透圧利尿腎臓で糖を再吸収できなくなると、尿とともに糖も排出されるが、その際に糖が体内の水分を奪うため脱水状態となる。
自律神経障害糖尿病による合併症の1つであり、発汗機能の異常により脱水状態となる。
上半身の大量発汗と下半身の無汗が代表的な特徴である。

上記の浸透圧利尿は、糖尿病性ケトアシドーシスや糖尿病治療薬の服用によって引き起こされる場合があります。

糖尿病性ケトアシドーシスとは、身体が酸性に傾く状態のことです。

インスリンが不足すると、糖ではなく脂肪酸をエネルギーとして消費するため、身体が酸性に傾いてしまいます。

そして、高血糖状態による浸透圧利尿が原因で重度な脱水症状となり、さらに重症化すると意識障害や昏睡などが起こる可能性があります。

このように血糖値が高い状態では脱水症状となるリスクが高いため、積極的な水分補給が必要です。

一方で水分補給の際、緑茶やブラックコーヒーなど無糖の飲料を利用する人は多くいます。

緑茶やブラックコーヒーなどは無糖ですが、利尿作用のあるカフェインが入っている場合、脱水症状を招きかねません。

カフェインが含まれる無糖の飲料例は、以下のとおりです。

  • ブラックコーヒー
  • 玉露
  • 紅茶
  • 煎茶
  • ほうじ茶
  • ウーロン茶
  • ココア

市販されているコーラやエナジードリンクの中で糖質やカロリーゼロのものにも、カフェインが含まれています。

つまり、血糖値が高い人の水分補給には、白湯は最適ということです。

カフェインの適量は健康な人の場合で1日当たり400mg以内、かつ1回200mg以内とされており、ブラックコーヒーに換算すると3~5杯です。

血糖値が高い人におけるカフェインの適量は明確にされていませんが、健康な人よりも少ない量に抑え、それ以上は白湯で水分補給をしましょう。

白湯の摂取によって血液中の水分量が増えるため血管合併症を予防できる

白湯の摂取は、脱水症状を予防できるだけでなく、糖尿病性の血管合併症も予防できます。

脱水症状になると血液の成分が濃縮されて粘度が上昇するため、血液中に含まれている糖分が血管を傷つけます。

高血糖状態の継続による血管の損傷で発生する症状を血管合併症といい、損傷する血管の太さによる分類と特徴は以下のとおりです。

分類特徴
細小血管症細い血管が損傷すると酸素や栄養が組織に行き渡らず、さまざまな機能不全を引き起こす。
大血管症大きな血管の損傷によるコレステロールの沈着が原因である動脈硬化が進行し、脳梗塞や虚血性心疾患を引き起こす。

動脈硬化は、高血糖状態によって傷つけられた血管が炎症を起こし、その患部にコレステロールが沈着すると起こります。

細小血管症では代表的な合併症は、以下のとおりです。

  • 神経障害
  • 網膜症
  • 腎症

上記は糖尿病の3大合併症とも言われており、失明や透析、手足などの壊死(えし)に至る可能性まであります。

このように、高血糖状態が長時間継続すると大きな合併症を発症する可能性があるため、血液中の粘度を下げる必要があります。

この血液の粘度を下げる方法として水分補給は重要であり、その中でも無糖でカフェインなどが含まれていない白湯は最適な飲料です。

糖尿病性腎症や心不全など合併症があると水分補給が制限される

糖尿病性腎症や心不全など糖尿病に伴う合併症がある人は、水分補給が制限されます。

糖尿病性腎症とは、長い高血糖状態によって腎臓の機能が低下し、浮腫や尿量の減少が代表的な症状です。

重症化すると人工透析が必要になる場合もあり、心不全のリスクも高まります。

発症初期や症状が軽度である場合は、薬物療法と糖分や塩分などを抑えた食事療法が行われ、水分補給が制限されない可能性が高いです。

しかし重症化すると、浮腫や心不全の有無によっては1日当たりの水分補給が制限されます。

制限される水分補給量は症状や進行具合によって異なるため、専門の医療機関指示の範囲内で白湯を摂取しましょう。

白湯の摂取によって血糖値管理意識の定着化が見込める

白湯を習慣的に摂取。血糖値管理意識の定着化

糖尿病の初期段階では自覚症状がないため、食事療法など主体性が求められる治療は、ついおろそかになってしまう傾向があります。

白湯を習慣的に摂取する際も、血糖値管理の目標と食事療法の原則を正しく把握しておくと、より効果的です。

日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2024」第2章では、合併症予防を目的とした血糖コントロールの指標としてHbA1cが用いられ、目標は7.0%未満としています。

高齢者や低血糖リスクの高い人では8.0%未満を目安とし、年齢や罹病期間、臓器障害の有無などを踏まえた個別設定が求められます。

 HbA1cとは、血液中の総ヘモグロビン数に対するブドウ糖と結合したヘモグロビン数の割合のことです。

血糖値がその時点での血液中のブドウ糖の濃度であるのに対し、HbA1cは1~2ヵ月の血糖状態を示しています。

一方で糖尿病における血糖値管理の中心は、食事療法や薬物療法、運動療法です。

特に食事療法は血糖値改善には欠かせない治療法であり、標準体重をもとに適正エネルギー量を算出します。

そして算出した適正エネルギー量の範囲内で主食や主菜、副菜を組み合わせたバランスの良い食事の規則正しい摂取が、食事療法の基本です。

食物繊維を多く含む野菜や豆類、海藻を食事の最初に摂ると、糖の吸収速度が緩やかになり食後血糖の急上昇を抑えられます。

白湯はこの食事構成と組み合わせると、血糖値管理の補助的な飲料習慣として、より大きな効果が期待できます。

白湯は少量を複数回に分けた摂取が効果的である

白湯の効果的な摂取。少量を複数回に分ける

国土交通省の「健康のために水を飲もう」推進運動によると、水分補給の目安は1日当たり1.2リットルとされています。

白湯の適切な摂取量は明確にされていませんが、1回当たりコップ1杯程度に相当する約200mlを3~4回に分けると効果が得られると言われています。

白湯の代表的な摂取例は、以下のとおりです。

タイミング取り入れ方の例期待される効果
起床直後コップ1杯程度睡眠中の水分補給・加糖飲料の代替
食事の30分前コップ1杯程度水分補給・加糖飲料の代替
食間(午前・午後)コップ1杯程度をこまめに脱水予防・加糖飲料の代替
就寝1〜2時間前コップ1杯程度就寝中の軽度脱水の予防

一方で白湯を過剰に摂取した場合は、むくみや下痢の原因になるため、適量に抑えましょう。

白湯はどの時間帯に飲んでも水分補給の手段として有効ですが、生活リズムに合わせて取り入れると継続できる可能性が高いです。

白湯は10~15分程度沸騰させてから冷やす

白湯を水道水から作る場合は、塩素など不純物をなくすために10~15分程度沸騰させてから、50~60℃になるまで自然に冷やします。

一方でミネラルウォーターには塩素などの不純物は含まれていないため、ミネラルウォーターから白湯を作る場合は、沸騰させずにレンジなどで50~60℃にあたためます。

白湯を50~60℃にする最大の理由は、内臓温度上昇による基礎代謝の向上です。

なお白湯は塩素を沸騰により取り除いているため、長時間放置しておくと腐敗します。

手間はかかりますが、必要な時に作るようにしましょう。

白湯は起床時と就寝時に摂取すると効果的である

白湯は1回当たり約200mlを3~4回に分けると効果が得られるといわれていますが、特に起床時と就寝時の摂取は効果的です。

起床時

起床時における白湯の摂取は、睡眠中に水分を失ったために陥る軽度の脱水状態解消の効果が見込める。

さらに、前日の夕食から相当時間空いているため活動を休止していた内臓にも少ない負担で、朝食前に消化機能の活性化も見込める。

時間をかけて摂取すると、体温の上昇による血行も促進される。

就寝時

 就寝前の白湯の摂取は副交感神経を優位にするため、心身をリラックスさせ、安眠効果が期待できる。

夕食後から寝るまでの間に摂取する糖分を含む清涼飲料水や、カフェインを含むお茶などを白湯に置き換えると、高血糖状態の回避効果が見込める。

なお就寝直前の白湯は、夜中にトイレに起きる可能性があるため、就寝30分以上前までに摂取が必要である。

上記以外にも、食事前後に糖分を含む清涼飲料水などを摂取する人にとっては、高血糖状態を回避できるため白湯摂取の最適なタイミングです。

さらに食前の白湯摂取は消化機能の活性化が見込めるため、糖分の吸収速度を緩やかにする野菜や海藻など食物繊維の多い食品の摂取との組み合わせにより、より大きな効果が見込めます。

 白湯で喉の渇きが解消されない場合は速やかに医療機関を受診する

白湯で喉の渇きが解消されない。速やかに医療機関を受診

白湯を摂取しても以下の症状が続く場合は、血糖値が著しく高い状態である可能性があります。

  • 白湯を飲み続けても喉の渇きが解消しない
  • 1日の排尿回数が著しく増えている
  • 体重が急激に減少している
  • 強い倦怠感や意識のぼんやりが続く
  • 視界がぼやける・かすんで見える

特にこれらの症状が複数重なる場合は、糖尿病性合併症や重症化の可能性が高いため、当日中に医療機関を受診してください。

一方で、最近では自宅で血糖値を測定できるようになっているため、高血糖の状態が確認できた場合も専門の医療機関を受診しましょう。

なお、日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2024」第1章における糖尿病の診断基準は以下のとおりです。

指標基準値
空腹時血糖値126 mg/dL 以上
75g 経口ブドウ糖負荷試験 2時間値200 mg/dL 以上
随時血糖値200 mg/dL 以上
HbA1c6.5% 以上

参照元:「糖尿病診療ガイドライン2024」第1章 糖尿病診断の指針 | 日本糖尿病学会

上記のHbA1cは自宅で測定できる機器は市販されていませんが、検査キットはインターネットでも購入できます。

検査キットを使い自身で採血し、検査機関に郵送すると後日結果を教えてもらえます。

高血糖の状態を示す数値が確認された場合は、自己判断を避けて速やかに医療機関を受診してください。

白湯は血糖値管理の補助的な役割だが大きな効果が期待できる

白湯には血糖値を下げる効果はありませんが、糖尿病における血糖値管理の補助的な役割を果たします。

さらに、加糖飲料やカフェインを含む飲料の代替飲料として摂取すると、高血糖状態を回避できる可能性は高いです。

このように着実に血糖値管理に寄与する白湯は、手軽に作れるためすぐにでも始められます。

ただし、白湯の摂取は短期間では大きな効果が見られないため、根気強く続けていく必要があります。

この記事の監修者

大学病院で糖尿病・内分泌内科の臨床医として経験を積み「リサーチマインドを持った診療」をモットーに日々研鑽を積んでまいりました。当院が少しでもあなた様のお役に立つことが出来れば幸いです。

■経歴
平成21年3月 金沢医科大学医学部医学科卒業
平成21年4月 杏林大学病院 初期臨床研修医
平成26年1月 金沢医科大学病院 糖尿病・内分泌内科学教室
平成30年4月 金沢医科大学病院 助教
平成30年9月 金沢医科大学大学院医学研究科 博士課程修了
令和3年1月 金沢医科大学病院学内講師
令和5年6月 Gran Clinic(石川県金沢市)院長

■所属学会
日本内科学会 認定医
日本糖尿病学会 専門医
日本抗加齢医学会 専門医
日本腎臓学会
日本内分泌学会

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