糖尿病による強い空腹感が起こる理由を解説!偽りのSOS信号を根絶しよう

糖尿病、強い空腹感が起こる理由を解説!偽りのSOS信号を根絶しよう

 以前と比べて空腹感を覚えたり、食事をしてもすぐにお腹が空いたりする人はいないでしょうか。

強烈な空腹感を日常的に発症している人は、血糖値が異常に高くなっている可能性があります。

この記事でわかること
  • 強烈な空腹感の原因は糖尿病や血糖値の上昇にある
  • 空腹の直接的な原因はインスリンの働きが悪くなるから
  • 血糖値スパイクでも強烈な空腹感に襲われる可能性がある
  • 空腹感を改善するなら日々の生活で食事や運動を見直す
  • 糖尿病の疑いがある場合はすぐに医療機関へ受診する

この記事では糖尿病によって強い空腹感が起こる理由を、初心者にもわかるよう解説しています。

糖尿病の原因や治療方法なども詳しく紹介しているため、普段から空腹感がある人はぜひ目を通しておいてください。

目次

食べても強烈な空腹感がある人は糖尿病を発症している可能性がある

食べても強烈な空腹感がある人。糖尿病を発症している可能性

食べてもすぐにお腹が空いたり、強烈な空腹感に悩まされたりする人は、糖尿病を発症している可能性があります。

糖尿病とはインスリンの働きが低下して、体内の血糖値が上昇したりエネルギー供給をうまく取り込めなくなったりする病気のことです。

インスリンはすい臓から分泌されるホルモンであり、血液中にあるブドウ糖の濃度を一定に保つ働きがあります。

糖尿病が重症化すると、以下のような合併症を発症する可能性があるため、食事をしても強烈な空腹感がある人は確認しておく方がよいでしょう。

合併症主な症状
神経障害筋力低下や発汗異常
網膜症視野の欠損
糖尿病腎症倦怠感や食欲不振
心筋梗塞強い胸の痛みや圧迫感
脳梗塞手足の麻痺やしびれ

なかでも心筋梗塞や脳梗塞といった合併症は命の危険性に関わるため、胸に痛みや圧迫感を感じたり手足が痺れたりする人は、早めに医療機関へ受診するのが賢明です。

他にも以下のような体の変化も糖尿病の症状のため、当てはまる項目が多い人は医療機関を受診する方がよいかもしれません。

  • 常に喉が渇いている
  • トイレの回数が多い
  • 体重の急激な増加や減少がある
  • 疲れや倦怠感がある
  • 皮膚の乾燥や痒みがある
  • 頭痛や眩暈がある
  • 傷口の治りが遅い
  • 強い空腹感がある

糖尿病の症状のひとつに強烈な空腹感がありますが、医学的な観点からは多食症として診断されます。

糖尿病の特徴的な症状のひとつに強い空腹感からくる多食症がある

糖尿病を発症すると先述している合併症だけではなく、多食症の症状が現れる可能性もあります。

多食症とは、たくさん食べたいという強い気持ちが永続的に続く症状のことです。

多食症になると必要以上のカロリーを摂取するため、糖尿病の症状が進んでしまう可能性があります。

つまり多食症によって糖尿病の症状が進むと、強烈な空腹感の影響から食事の量が増えてしまい、より血糖値が上がる悪循環に陥るということです。

以下で多食症の前兆となる行動や心理状態を記載しているため、空腹感を日常的に感じている人は、自分に当てはまっているか確認しておいてください。

行動・食べ始めると自分の意思で止められない
・大量の食べ物を買いだめしている
・短時間で大量の食べ物を一気に食べる
心理状態・以前よりもイライラする
・不安感や抑うつ状態になる
・一人で食事をする機会が多くなった

食事を食べ始めると自分の意思で止められなかったり、大量の食べ物を買いだめしていたりする人は多食症の疑いがあり、すでに糖尿病を発症している可能性があります。

糖尿病は普段の生活習慣によって発症するケースが多く、根本的な要因や原因を把握しておくのが大切です。

糖尿病を発症する原因は日常的な暴飲暴食や運動不足による肥満がある

糖尿病の原因は人によって異なるものの、主に暴飲暴食や運動不足による肥満が挙げられます。

肥満になると先述しているインスリンの働きが悪くなり、体内の血糖値が異常に高くなるからです。

他にもストレスや不規則な生活でも糖尿病を発症するため、普段から空腹感がある人は自分の行動を振り返った方がよいでしょう。

以下で糖尿病の原因を記載しているため、自分の行動に当てはまっているか確認してみてください。

  • 暴飲暴食
  • 運動不足
  • ストレス
  • 不規則な生活
  • 喫煙
  • 遺伝
  • 加齢

そもそも糖尿病が原因で強烈な空腹感があったり多食症になったりする理由は、血液中の糖分が細胞にうまく取り込まれないからです。

糖尿病による強い空腹感の原因は細胞にエネルギーを取り込めないから

強い空腹感の原因。細胞にエネルギーを取り込めない

糖尿病によって強い空腹感が起こる理由は、インスリンの働きが低下して体の細胞にエネルギーを取り込めないからです。

インスリンは血液中にあるブドウ糖の濃度を一定に保つだけではなく、以下のようにエネルギーとして使うように促進させたり貯蔵させたりする働きもあります。

インスリンの役割詳細
血糖値のコントロール血液中のブドウ糖を細胞に取り込ませて血糖値を正常化させる
エネルギーの促進細胞がブドウ糖をエネルギーとして使うようにして身体活動を維持させる
エネルギーの貯蔵余分なブドウ糖を脂肪やグリコーゲンに変えてエネルギーを蓄える

つまり糖尿病によってインスリンの働きが悪くなると、細胞にエネルギーをうまく取り込めなくなり、結果的に強い空腹感を覚えるということです。

細胞にエネルギーをうまく取り込めなくなると、脳が食べ物をもっと摂取するよう信号を出します。

糖尿病によるインスリンの低下
細胞にエネルギーを取り込めない
脳が食べ物を摂取する信号を出す
強い空腹感を覚える

日頃から強い空腹感がある人は、医療機関で体内にあるインスリンの状態を検査してもらう方がよいでしょう。

すでに糖尿病を発症している人は、インスリン分泌低下やインスリン抵抗性低下に陥っています。

インスリンの働きが悪くなる原因は分泌低下と抵抗性低下の2つが影響

糖尿病になるとインスリンの働きが悪くなると紹介していますが、具体的にはインスリン分泌低下とインスリン抵抗性低下の2つが影響しています。

インスリン分泌低下は、すい臓から分泌されるインスリンの量が減少する状態を指します。

一方でインスリン抵抗性低下とは、細胞に対するインスリンの反応が悪くなる状態のことです。

インスリン分泌低下インスリンの分泌量が減少すること
インスリン抵抗性低下インスリンの効果が減少すること

暴飲暴食などで血糖値が高くなると、インスリンを分泌するすい臓に負担がかかり、徐々にインスリン分泌低下やインスリン抵抗性低下の状態に陥ります。

もともと血糖値が高い人は、普段の食事を見直してすい臓の負担を軽減するよう心がけましょう。

日常的に空腹感がある人は、インスリンの低下だけではなくホルモンバランスも乱れている可能性があります。

ホルモンバランスが乱れている人も強い空腹感を覚えるケースがある

ホルモンバランスの乱れ。強い空腹感を覚えるケースがある

糖尿病になるとインスリンだけではなく、グレリンやレプチンといった他のホルモンバランスも乱れるケースがあります。

グレリンやレプチンとは、空腹感に影響を与えるホルモンのことです。

グレリンは胃から分泌されており、食欲を増進させる作用があります。

一方のレプチンは脂肪細胞から分泌されるホルモンであり、食欲を抑制する働きがあります。

ホルモンの名称食欲への影響
グレリン増進させる
レプチン抑制させる

つまり糖尿病を発症すると、グレリンが増えたりレプチンが正常に機能しなくなったりして、強い空腹感を覚えるということです。

糖尿病が原因でホルモンバランスが乱れると、以下のような女性特有の体の不調や体重減少といった症状につながります。

  • 月経不順
  • 無月経
  • 体重減少

強い空腹感とともに上記のような症状がある場合は、糖尿病を疑った方がよいでしょう。

空腹感の原因はホルモンバランスの乱れだけではなく、治療薬のインスリンも挙げられます。

糖尿病の治療薬であるインスリン注射が効き過ぎているケースもある

糖尿病の治療法にはインスリン注射がありますが、薬の効果が効き過ぎる場合でも強い空腹感を覚えるケースがあります。

治療薬のインスリンが過剰に効きすぎると、血糖値が急激に下がってしまい、脳が食べ物をもっと摂取するよう信号を出すからです。

インスリンの効き過ぎ
血糖値の急激な下降
脳が食べ物を摂取する信号を出す
強い空腹感を覚える

血糖値が極端に下がると死に至る場合もあるため、治療薬としてインスリン注射を打っている人は適切に扱う必要があります。

一般的に血糖値が70mg/dL以下になると低血糖症状が現れ、30mg/dL以下になり治療が遅れると死に至ることがある

引用元:湘南中央病院

一方で糖尿病の初期段階にある人も、継続的に血糖値が低いために強い空腹感を生じている可能性があります。

糖尿病の初期段階にある機能性低血糖症でも強い空腹感が生じる

糖尿病の初期段階、機能性低血糖でも強い空腹感

食事をして3時間〜5時間後に強烈な空腹感が生じるケースでは、糖尿病の初期段階にある機能性低血糖症を発症している場合があります。

機能性低血糖症とは、食後にインスリンが過剰に分泌されてしまい、低血糖の状態が続いてしまう症状のことです。

低血糖の状態が長時間にわたって続くと、脳がエネルギー不足と認識してしまい、食事をしたにも関わらず空腹感を引き起こします。

食後の3〜5時間後にインスリンの過剰分泌
低血糖の状態が続く
脳が食べ物を摂取する信号を出す
強い空腹感を覚える

機能性低血糖症は糖尿病を発症していない人にも起こり、糖質の過剰摂取や腸内環境の悪化などが原因です。

例えばお菓子や清涼飲料水が好きな人が、日常的に空腹感を覚える場合は、機能性低血糖症を発症している可能性があります。

糖尿病を発症していないにも関わらず強い空腹感を覚える人は、糖質を制限したり腸内環境を整えたりして、インスリンを上手にコントロールしてみてください。

一方で血糖値が急激に上昇したり下降したりする人は、血糖値スパイクの症状によって強い空腹感を引き起こしている場合があります。

食後すぐに空腹感がある人は血糖値スパイクに陥っている可能性がある

食事を済ませてもその直後に空腹感を覚える人は、血糖値スパイクに陥っている可能性があります。

血糖値スパイクとは、食後すぐに血糖値が急上昇してその後に急激に血糖値が低下する現象のことです。

血糖値の上昇と下降をグラフにするとトゲのように見えるため、血糖値スパイクといわれています。

血糖値が急激に低下すると、脳が食べ物を摂取するよう信号を出すため、食後すぐに空腹感に襲われます。

食後すぐに血糖値が急上昇
反動で血糖値が急下降
脳が食べ物を摂取する信号を出す
強い空腹感を覚える

血糖値スパイクに陥る原因は、主に白米や麺類といった炭水化物の食べ物が多かったり、食事のスピードが早かったりするなどが挙げられます。

食後すぐに空腹感がある人は、ゆっくり食事をしながら血糖値の急な上昇を抑えましょう。

自分が血糖値スパイクを発症しているかわからない場合は、医療機関で血糖値の状態を検査してもらうのが賢明です。

血糖値の乱高下が気になる人は医療機関で検査するのもひとつの手段

自分の血糖値の状態は、医療機関の試験によって確認できます。

機能性低血糖症と血糖値スパイクのどちらも医療機関によって把握できるため、気になる人は病院やクリニックを受診した方がよいでしょう。

機能性低血糖症の検査方法は5時間糖負荷試験があり、空腹状態から75gのブドウ糖を摂取して、その後は5時間が経過するまで定期的に採血します。

血糖値スパイクの検査方法は以下のようにいくつかあり、医療機関によって受けられる検査が異なります。

症状検査名
機能性低血糖症5時間糖負荷試験
血糖値スパイク・経口糖負荷試験
・血糖自己測定
・持続グルコース測定

経口糖負荷試験は医療機関でなければ受けられないものの、血糖値の変化を正確に検査できるのが利点です。

血糖自己測定は日常生活で血糖値を測定できるうえ、持続グルコース測定は夜間の血糖値も把握できます。

上記の検査によって自分の血糖値が急激に上昇下降している場合は、医師に相談して治療を開始してください。

一方で血糖値が正常なのにも関わらず強い空腹感がある人は、他の病気が原因となっている可能性があります。

甲状腺亢進症やバセドウ病といった他の病気でも空腹感が生じる

甲状腺亢進症やバセドウ病、他の病気でも空腹感が生じる

糖尿病を発症していない場合でも、甲状腺亢進症やバセドウ病といった他の病気によって空腹感が生じるケースがあります。

甲状腺亢進症とは、首の甲状腺から分泌される甲状腺ホルモンが過剰に分泌してしまい、代謝が活発になる病気のことです。

主にバセドウ病といった自己免疫の異常によって、甲状腺亢進症が発症するケースが散見されます。

甲状腺亢進症によって代謝が活発になると、エネルギーの消費も激しくなるため、食事をしてもすぐに空腹感を覚えます。

甲状腺亢進症の症状は、強い空腹感の他にも以下のようなものが挙げられるため、自分に当てはまっている場合は医療機関に相談してみましょう。

  • 強い空腹感
  • 全身の倦怠感
  • 体のほてり
  • 手足の震え
  • 脈拍が速くなる
  • イライラする
  • 体重が減少する

甲状腺亢進症の治療方法はいくつかあり、主に薬物治療によって甲状腺ホルモンの分泌を抑えられます。

一方で糖尿病においても薬物治療によって改善するケースが多く、適切に治療すると空腹感を軽減できます。

日常的に強い空腹感が続く人は早めに医療機関へ受診しましょう

日常的に強い空腹感が続く人、早めに医療機関へ受診しましょう

食欲が止まらなかったり空腹を感じる時間が異常に多かったりする人は、糖尿病の可能性があるため早めに医療機関へ受診しましょう。

医療機関で糖尿病の検査をしたい旨を伝えると、内科や糖尿病内科を受診するよう促され、その後は医師や看護師の指示に従うだけです。

糖尿病の検査方法は血液検査と尿検査になり、大きな病院や糖尿病内科は当日中に検査結果がわかります。

血液検査では血糖値とHbA1cが基準になり、以下の数値によって糖尿病または糖尿病予備群かどうか判断します。

正常値正常高値境界型糖尿病型
空腹時血糖値〜99〜109〜125126〜
HbA1c〜5.5〜5.9〜6.46.5〜

空腹時血糖値が126以上またはHbA1cが6.5以上の場合は、糖尿病と診断されるのが一般的です。

正常高値や境界型は糖尿病予備群といわれており、糖尿病と診断されなくても治療が必要になります。

糖尿病や糖尿病予備群と医師から診断された場合でも、適切に治療を進めていくと血糖値やHbA1cを正常値に戻せます。

糖尿病の治療方法はインスリン注射の他にも食事や運動も効果がある

糖尿病の治療方法は、主に以下のような食事療法や運動療法および薬物療法の3つです。

糖尿病の治療方法内容
食事療法・適切なカロリーの食事
・バランスの取れた食事
・1日3食の食事
運動療法・有酸素運動
・無酸素運動
薬物療法・インスリン注射薬
・経口剤

糖尿病の初期段階は、食事療法と運動療法のみで改善するケースがあるものの、進行すると薬物療法が追加されます。

食事療法は、医師の指導のもとで栄養やカロリーのバランスが取れた食事を摂取するのが基本です。

運動療法は食事療法と並行して実施されるケースが多く、1日30分〜60分程度の有酸素運動や筋トレといった無酸素運動を実施します。

薬物療法はインスリン注射薬と経口剤があり、どちらも血糖値をコントロールする効果があります。

糖尿病の初期段階や予備群の人は治療がうまくいくとすい臓の機能が改善し、血糖値も正常値になるため、なるべく早めに医療機関へ受診した方がよいでしょう。

医療機関を受診して、血糖値が正常値になると強い空腹感で悩まされる心配もありません。

一方で血糖値スパイクといった血糖値の乱高下が激しい人も、食事や運動によって強い空腹感を改善できる場合があります。

血糖値の乱高下を抑える場合も食事の取り方や選び方を工夫しよう

血糖値の乱高下を抑える食事の取り方や選び方を工夫

糖尿病ではないものの、日常的に強い空腹感がある人は、食事の取り方や選び方を工夫しましょう。

食事の取り方や選び方を工夫すると、血糖値の上昇や乱高下が改善されて、強い空腹感を抑えられるからです。

他にも血糖値が高めの糖尿病予備群といった人も、普段の食事を工夫すると症状を改善できる可能性があります。

食事を工夫する方法は様々あるものの、最初は糖質の吸収を抑えられるようご飯や白パンといった主食の量を減らすのが最適です。

今では糖質オフといったお米や食パンなどが販売されているため、低糖質に特化した商品に置き換えてみると、血糖値の上昇を抑えられるかもしれません。

さらに以下のような食物繊維が含まれる食材を摂取すると、腸内環境が改善されてブドウ糖の吸収スピードを遅くできます。

分類食材
いも類・こんにゃく
・里芋
・じゃがいも
まめ類・納豆
・おから
・さらしあん
野菜類・ごぼう
・ふき
・セロリ
果物類・バナナ
・みかん
・グレープフルーツ
きのこ類・えのき
・しいたけ
・しめじ
海藻類・粉寒天
・わかめ
・ところてん

ブドウ糖の吸収スピードが遅くなると血糖値の急な上昇を抑えられるため、先述している機能性低血糖症や血糖値スパイクを回避できる可能性があります。

なかでもこんにゃくや寒天といった食材は食物繊維が豊富にあるため、腸内環境を改善したい人は積極的に摂取してください。

さらに血糖値の上昇を抑えるには食べる順番も工夫するとよく、なるべく野菜から摂取した方がよいでしょう。

野菜から食べ始めて最後に炭水化物を摂取すると血糖値を抑えられる

普段の食事の食べる順番を少し工夫するだけでも、血糖値の急な上昇を抑えられます。

例えば最初は野菜から食べ始めて途中でタンパク質を摂取し、最後に炭水化物を食べるという方法です。

野菜
タンパク質
炭水化物

野菜から食べ始めて最後に炭水化物を摂取すると、ブドウ糖の吸収が緩やかになるため、血糖値の上昇もゆっくりと進みます。

実際に大阪府立大学の研究でも、食べる順番を指導した人と指導していない人では、血糖値の変化に違いがある旨を公開しています。

食べる順番を指導した指導群の血糖コントロールは指導直後から低下し、2年半の期間中低下したまま推移したが、食べる順番を指導しなかった対照群は変化がみられなかった。­­

引用元:独立行政法人農畜産業振興機構

血糖値の急な上昇を抑えたい人は、なるべく野菜から食べて最後にお米やパンといった炭水化物を摂取しましょう。

食べる順番を意識するだけで、空腹感の症状を改善できる場合があります。

他にも糖質の上昇値が低い食材を選ぶと、血糖値の急な上昇を抑えられます。

普段の食事を低GI値食品に置き換えると血糖値の乱高下を抑えられる

普段の食事を低GI値食品に置き換えると、血糖値の乱高下が少なくなり、空腹感の症状を改善できる場合があります。

低GI値食品とは、血糖値の上昇速度が低い食品のことです。

グリセミック・インデックスの略称であり、血糖値の上昇率を示す数値になります。

以下でGI値食品を分類しているため、普段の食事でなるべく低GI食品に置き換えてみてください。

分類低GI食品 55以下中GI食品 56〜69高GI食品 70以上
穀類・玄米
・そば
・全粒粉小麦パン
・コーンフレーク
・むぎご飯
・パスタ
・白米
・うどん
・食パン
果物・みかん
・りんご
・グレープフルーツ
・柿
・巨峰
・すいか
・いちごジャム
・パイナップル
野菜・キャベツ
・ブロッコリー
・しめじ
・茹でたかぼちゃ
・さといも
・さつまいも
・ジャガイモ
・にんじん
その他・ゼリー
・プリン
・白玉・チョコレート
・ケーキ

例えば主食を白米や食パンとしている人は、低GI値食品に分類されている玄米や全粒粉小麦パンに置き換えるのがよい方法です。

食後のデザートをみかんやりんごといった、低GI値食品の果物に置き換える方法もあります。

全ての食品を低GI値食品にするのは難しいため、無理のない範囲で少しずつ取り入れたり置き換えたりしましょう。

一方で血糖値の上昇を改善するには普段の食事だけではなく、生活習慣の見直しも大切です。

生活習慣を見直すとホルモンバランスの改善によって血糖値を抑制できる

生活習慣を見直すと血糖値を抑制できる

血糖値の上昇によって強い空腹感がある人は、普段の生活習慣も見直しましょう。

普段の生活習慣を見直すと、体内のホルモンバランスが改善されて、血糖値の上昇による空腹感を抑制できます。

生活習慣を見直す方法は様々あるものの、簡単に取り入れられるのは規則正しい生活を送るというものです。

起床と就寝の時刻を毎日同じ時間にすると、規則正しい生活を送れるようになります。

他にもストレスを溜めないようにしたり、軽い運動を取り入れたりするのもよい方法です。

  • 規則正しい生活
  • ストレスを溜めないようにする
  • 運動する習慣を作る
  • 睡眠の質を向上させる

全てを実行するのは難しいため、自分の生活リズムに合わせて、徐々に普段の生活で取り入れてみてください。

例えばストレスを溜めないようにするには、なるべく自分に合ったリフレッシュ方法を見つけるのがよい方法です。

ストレスを溜めないようにすると食べたいという気持ちを抑えられる

空腹感を抑えるには、普段の生活でストレスを溜めないよう心がけるのも大切です。

人間がストレスを感じると、ノンアドレナリンが放出され、食べたいという気持ちを抑えられなくなります。

ノンアドレナリンとは副腎髄質から放出されるホルモンのことであり、血圧上昇や基礎代謝の増加などにも影響します。

そのため仕事や家庭内でストレスを感じたら、できるだけリフレッシュするよう心がけましょう。

リフレッシュする方法は様々あるものの、好きな音楽を聴いたり散歩をしたりなど、なるべく自分に合った方法が理想です。

  • アロマグッズを使う
  • 好きな音楽を聴く
  • 散歩をする
  • 日光を浴びる
  • 友達と遊びに行く

普段の生活でリフレッシュする行動を意識すると、ストレスが軽減されて少しずつ空腹感を抑えられる可能性があります。

空腹感を抑える方法は適度な運動もあり、うまく取り込むと空腹感の改善だけではなく、健康的な体づくりも目指せます。

適度な運動を取り入れると筋肉がブドウ糖を消化して血糖値を抑えられる

適度な運動を取り入れる。筋肉がブドウ糖を消化

血糖値が高い人や乱高下が激しい人でも、適度な運動によって徐々に改善する可能性があります。

運動で血糖値が改善する理由は、筋肉がブドウ糖をエネルギーとして消費するため、余計な糖分が体に残らないからです。

さらに運動はインスリンの働きをもよくする効果もあるため、糖尿病を発症している人には運動療法として取り入れられています。

運動の種類は有酸素運動と、筋肉に負荷をかけるレジスタンス運動を組み合わせるのが理想ですが、軽い散歩やウォーキングなどでも効果があります。

運動するタイミングとしては、食事をしてからおよそ1時間後が理想的です。

食後すぐに運動しても、ブドウ糖が筋肉へ運ばれていないため、体の隅々までインスリンが行き渡りません。

ただし急に激しい運動を取り入れたり運動のペースが多かったりすると、ケガにつながる可能性があるため、無理のないペースで取り入れてみてください。

適度な運動を取り入れた結果、血糖値が改善されて空腹感を抑制できる可能性があります。

血糖値を改善させるには、運動の他にも睡眠の質を向上させる方法も挙げられます。

寝不足はインスリンやレプチンが弱くなるため睡眠の質を向上させよう

睡眠不足に陥るとホルモンバランスが崩れるため、インスリンの働きが弱くなり結果的に血糖値が上昇します。

他にも睡眠不足は食欲を抑えるレプチンといったホルモンが減少したり、食欲を増大させるグレリンといったホルモンが増えたりするのが難点です。

そのため日常的に寝不足が続いている人は、睡眠の質を向上させましょう。

睡眠の質を向上させるには、以下のような朝日を浴びたり、就寝前にスマートフォンを見ないようにしたりする方法が挙げられます。

  • 朝日を浴びる
  • 就寝前はスマホを見ない
  • 午後はカフェインを摂取しない
  • 就寝前にぬるま湯に浸かる

睡眠の質を向上させると、インスリンをはじめとする様々なホルモンバランスが改善され、血糖値の急な上昇を抑えられます。

血糖値の急な上昇を抑えられると強い空腹感も改善するため、日頃から睡眠の質を意識するのが大切です。

偽りのSOS信号を理解して健康的な体を取り戻しましょう

糖尿病によって強い空腹感を覚える理由は、インスリンの働きが弱くなり体内の細胞にエネルギーを蓄えられないからです。

他にも食欲ホルモンにあたるグレリンやレプチンの増減なども影響しており、糖尿病になると多食症といった強い空腹感を覚える症状を発症します。

糖尿病が進行すると様々な合併症を引き起こすため、自分の血糖値を医療機関で検査してもらうのが賢明です。

糖尿病の初期段階であれば、食事療法や運動療法のみで改善する可能性があります。

健康的な体を取り戻すためにも、無理のない範囲で自分に合った改善方法や治療方法を見つけてみてください。

この記事の監修者

大学病院で糖尿病・内分泌内科の臨床医として経験を積み「リサーチマインドを持った診療」をモットーに日々研鑽を積んでまいりました。当院が少しでもあなた様のお役に立つことが出来れば幸いです。

■経歴
平成21年3月 金沢医科大学医学部医学科卒業
平成21年4月 杏林大学病院 初期臨床研修医
平成26年1月 金沢医科大学病院 糖尿病・内分泌内科学教室
平成30年4月 金沢医科大学病院 助教
平成30年9月 金沢医科大学大学院医学研究科 博士課程修了
令和3年1月 金沢医科大学病院学内講師
令和5年6月 Gran Clinic(石川県金沢市)院長

■所属学会
日本内科学会 認定医
日本糖尿病学会 専門医
日本抗加齢医学会 専門医
日本腎臓学会
日本内分泌学会

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