こんにゃくは低カロリーで食物繊維が多く、腹持ちの良い食材としてダイエットに取り入れられています。
食物繊維は血糖値の上昇を抑える効果があるため、高血糖や糖尿病の対策としても有用な食材です。
この記事では、こんにゃくが血糖値の上昇を抑える理由や取り入れる際の工夫などをまとめました。
- こんにゃくの栄養素と血糖値に対する効果
- 食物繊維のグルコマンナンが血糖値に影響する仕組み
- こんにゃくを食事に取り入れる際の調理方法
- 血糖値の上昇を抑えるためのこんにゃくの食べ方
- こんにゃくの食べ過ぎや噛まずに食べた際の悪影響
食材から高血糖や糖尿病対策を考えている人は、こんにゃくの効果を把握して、取り入れるのを検討してみてください。
こんにゃくは糖質が少なく食物繊維が多い点が血糖値に良い
こんにゃくはこんにゃく芋をすりおろした粉末と凝固剤を混ぜて、熱で固めた加工食品です。
形状や地域によっては、糸こんにゃくやしらたきと呼ばれる場合もありますが、基本的にすべて同じ食材を指します。
こんにゃくやしらたきの100gあたりの主要な栄養素は、以下のとおりです。
| 100gあたり | こんにゃく | しらたき |
|---|---|---|
| カロリー | 5kcal | 7kcal |
| たんぱく質 | 0.1g | 0.2g |
| 脂質 | Trg | Trg |
| 食物繊維 | 2.2g | 2.9g |
| 炭水化物 | 2.3g | 3.0g |
| 糖質 | 0.1g | 0.1g |
| 食塩相当量 | 0g | 0g |
糖質や脂質がほとんど含まれておらず、食物繊維を豊富に含んでいます。
食物繊維のグルコマンナンが体内で糖質の吸収を遅らせる
こんにゃくに含まれている食物繊維は、水溶性食物繊維のグルコマンナンです。
水溶性食物繊維は身体に取り込まれた場合、以下の流れで糖質に影響します。
- 食事で水溶性食物繊維を摂取すると、体内で水分を吸収して粘り気の強い状態に変わる
- 後から食べた糖質は粘り気に包まれる、もしくは粘り気の作用で胃から腸まで移動する速度が遅れる
- 糖質が腸にたどり着くまで時間を要した結果、糖質の吸収速度も遅くなる
- 血糖値の上昇が緩やかになり、血糖値を下げるインスリンも適量分泌される
研究結果から、グルコマンナンも上記の流れで血糖値の上昇を抑制する効果が確認されています。
こんにゃくは腸内環境の改善やカルシウム補給による健康効果も期待できる
こんにゃくには食物繊維を含めたほかの栄養素から、血糖値以外にも以下の健康効果があります。
- 食物繊維による腸内環境の改善、便秘解消
- カルシウムによる骨粗しょう症予防
- 低カロリーでメタボリックシンドローム、肥満対策
食物繊維には整腸作用もあり、腸内環境や便秘の改善につながります。
こんにゃく100gあたりで牛乳の半分程度のカルシウムを含んでいるため、カルシウム不足を補う食材としても有用です。
低カロリーで噛みごたえがある点から、よく噛んで食べると満腹中枢を満たして、ダイエット効果も期待できます。
こんにゃくは炭水化物の置き換えや満足感を足す一品として取り入れる

こんにゃくを普段の食事に取り入れる場合、以下のような調理方法があります。
- お米に混ぜて炊く
- 麺類をこんにゃく麺やしらたきに置き換える
- 普段から食べる料理の具材として入れる
- こんにゃくで簡単に作れる料理を一品足す
主食のご飯や麺で糖質を食べ過ぎている場合は、こんにゃくの商品で置き換えると、糖質の摂取量を調整できます。
こんにゃくは炒め物や煮込み料理に混ぜても、味や風味は大きく変わりません。
ただし、食感は少し変わるため、普段の料理をそのままにしたい人は一品料理のほうが向いています。
お米に混ぜると糖質の摂取量を減らしながら主食からも食物繊維を摂取できる
普段のご飯にこんにゃくを入れた場合、同じ量で普段のご飯を食べたときよりも糖質の摂取量が減ります。
こんにゃくの食物繊維を取り入れつつ、ご飯として食べる量が減らないため、満足感を残しながら糖質制限ができます。
こんにゃく混ぜご飯に必要な材料は、以下のとおりです。
- お米:1合
- こんにゃく:100g
- 水:普段の1合分に使う量
商品によってはお米と混ぜる用のこんにゃくもありますが、細かくきざめる場合は普通のこんにゃくでも問題なく使えます。
具体的な炊飯方法は、以下のとおりです。
- こんにゃくをみじん切りにして、2~3分程度湯通しする
- 研いだ後のお米にこんにゃくを混ぜて、水を入れる
- 炊飯して完成
普段の炊飯にこんにゃくを混ぜるだけであり、水の量はお米の好みの柔らかさに合わせて調整します。
こんにゃくの一品料理に使う調味料も含まれる糖質の量を意識して作る
こんにゃくの一品料理を作る際は、調味料に含まれる糖質の量も意識する必要があります。
甘辛い味付けにするために砂糖を加えてしまうと、こんにゃくに糖質が無くても、砂糖の糖質で血糖値が上昇します。
少量なら糖質を含む調味料を使っても問題ありませんが、血糖値の上昇を対策する料理としては糖質の量を意識してみましょう。
バターやマヨネーズ、塩などは糖質がほとんど含まれていないため、糖質を控えながら味付けできる調味料です。
こんにゃくとバターを使った料理として、こんにゃくの醬油バター焼きを紹介します。
- こんにゃく:1枚
- すりおろしにんにく:大さじ1/2
- 洋風スープの素:1個
- 水:カップ1/2
- サラダ油:適量
- バター:小さじ2
- しょうゆ:小さじ2
具体的な調理方法は、以下のとおりです。
- こんにゃくに格子状の切り込みを入れて、2~3分程度湯通しする
- すりおろしにんにくと洋風スープの素、水と一緒に鍋に入れて、汁けがなくなるまで8分ほど中火で煮る
- 粗熱を取った後、汁けを拭いたこんにゃくを一口大の角切りにする
- フライパンにサラダ油を敷いて中火にかけ、こんにゃくの両面をこんがりするまで3~4分程度焼く
- バターとしょうゆをからめて焼き上げれば完成
切り込みを細かく入れておくと、焼き上げる際にバターとしょうゆがよくしみ込んでおいしく仕上げられます。
こんにゃくは食事で先に食べておくと食物繊維の効果を発揮する

食事で血糖値の上昇を抑えるための食材を食べる順番は、以下の以下のとおりです。
- 野菜やキノコ類、海藻類など食物繊維が豊富な食材
- 肉や魚、卵などのたんぱく質が豊富な食材
- 米やパンなどの糖質を含む炭水化物の食材
食物繊維の効果を発揮させるには、先に摂取する必要があるため、食事でも最初に食べておきます。
たんぱく質は炭水化物よりも先に食べると、消化に時間がかかって、糖質が消化される時間を遅らせられます。
こんにゃくは食物繊維が多い食材に分類されるため、主菜と混ぜたときや一品料理として食べるときは最初のほうに食べましょう。
こんにゃくは食べ過ぎや噛まずに食べると腸内に溜まって悪影響を及ぼす
こんにゃくは健康効果が期待できる一方で、食べ過ぎやよく噛まずに食べた場合は、悪影響が出る可能性があります。
グルコマンナンは消化されないため、食べ過ぎや噛む回数が少ないと塊が腸内に溜まり、腸閉塞を引き起こします。
腸閉塞は栄養素の吸収阻害や胃腸の負担を増加させるため、健康効果を得るうえでは防がなければいけません。
食事にこんにゃくを取り入れる際は、以下の内容を心がけましょう。
- 1日200~250gを目安にして、適量を食べる
- ゆっくりとよく噛んで食べて、腸内で塊を作らないようにする
- 水分補給をこまめにして消化を助ける
こんにゃくは1枚あたり200〜300g程度であるため、1日1枚ずつ食事のどこかに取り入れる場合は適量です。
よく噛んで食べると、腸内で塊を作らないようにしつつ、満腹中枢が刺激されて食べ過ぎも防げます。
こんにゃくを普段の食事に取り入れて健康的な生活を目指す
こんにゃくは糖質が少なく、食物繊維が多い点から、食事に取り入れると血糖値の上昇を対策できます。
食物繊維の整腸効果や牛乳の半分のカルシウム量、低カロリーである点も健康的な食材として優秀です。
ただし、食べ過ぎや噛む回数が少ない場合は、腸内に溜まって体に悪影響を及ぼします。
1日あたりの摂取量はこんにゃく1枚分にあたる200~250gを目安にして、主食の置き換えや一品料理として付け足してみましょう。
糖質制限における食べる量の物足りなさを補える食材でもあるため、食事の中に適量のこんにゃくを取り入れてみてください。


