食事をした後に、急に眠くなったりすぐに空腹を感じたりする原因のひとつが血糖値の急激な変化です。
低GI食品には、血糖値の上昇を緩やかに保つ働きがあります。
低GI食品は血糖値の急激な上昇を抑え、体への負担を軽減します。
- 血糖値の急上昇は、集中力の低下や強い眠気を感じさせる
- GI値は、食品が血糖値に与える影響を示す指標である
- GI値が55以下の低GI値の食品は、身近な食材にある
- 肥満や糖尿病を防ぐためには、低GI食品への置き換えが効果的である
この記事では身近で手に入る低GI食品の紹介と、毎日の食事に取り入れられる賢い食べ方を解説します。
今すぐ始めて、健康的な生活への一歩を踏み出しましょう。
生活習慣病予防に低GI食品が注目されている
近年、健康志向の高まりと共に低GI食品が注目を集めており、この背景には血糖値の急上昇が体に与える影響が近年広く知られるようになった点があげられます。
私たちが食事をすると食べ物に含まれる糖質が消化吸収されて、血液中のブドウ糖の量、つまり血糖値が上がります。
この血糖値の上がり方は、食べるものの種類や内容によって変わるのです。
キャンディのような高GI食品を摂取した場合、初めに血糖値が急上昇して、次にインスリンが過剰に分泌されて血糖値が急降下します。
脳にとってブドウ糖は重要なエネルギー源であるため、血糖値が急に下がると脳がエネルギー不足と判断して、集中力が落ちたり強い眠気を引き起こしたりします。
さらに、インスリンが過剰に分泌され、血糖値が下がりすぎた状態では体が飢餓状態と勘違いします。
このような急激な変動を繰り返すと体にも心にも負担がかかり過食や体重増加、集中力の低下などを引き起こすため、血糖値を安定させる食生活が重要になります。
これに対して糖の吸収が緩やかに進み、血糖値の急激な上昇を抑えられるのが、低GI食品です。
低GI食品を意識して食べると、食後の眠気や急な空腹感を防ぎ、仕事や勉強のパフォーマンスを維持できます。
血糖値の安定は肥満や生活習慣病の予防にもつながるため、健康志向が高まる現代において低GI食品は注目を集めています。
参照元:「血糖値」健康日本21アクション支援システム-厚生労働省
「インスリン」健康日本21アクション支援システム-厚生労働省
GI値は血糖値の上昇を比較できる指標である

Glycemic Indexの略で、血糖値の上昇を定量的に比較できる指標として1981年に提唱されました。
基準となるブドウ糖のGI値を100とし、それに対する各食品の影響度を比較します。
例えば白米や食パンのような炭水化物はGI値が高く、食後に急激な血糖値上昇を引き起こします。
一方で玄米や全粒粉パンなどはGI値が低く、血糖値の上昇が緩やかです。
GI値を意識した食事は健康管理に多くの利点があり、特に血糖値の急上昇を避けたい糖尿病の食事療法において、低GI食品の選択は有効とされています。
他にも急激な血糖値の変動はインスリンの過剰分泌を招き、脂肪の蓄積や空腹感の増加につながるため、ダイエットにおいてもGI値の管理は重要です。
このような食品を中心に摂取すると、血糖値の安定と満腹感の持続が期待できます。
GI値を理解し賢く活用すると、健康的な食生活への第一歩となるでしょう。
参照元:Chapter 4 – The role of the glycemic index in food choice-国連食糧農業機関
2025年6月13日配信 食品に含まれる糖質量を知ろう!-全国健康保険協会
11月1日は低GIの日-日本Glycemic Index(グライセミックインデックス)研究会
低GI食品が身体に与える健康効果は食材で異なる

低GI食品をカテゴリーごとに分けて、代表的な食材とその栄養や健康効果について詳しく紹介します。
一般的に、GI値が55以下のものが低GI食品です。
初めに、低GI食品の穀類として代表されるのは以下の3つがあります。
- 玄米
- オートミール
- 全粒粉パン
いずれも精製度が低く食物繊維やビタミンB群が豊富で、特に玄米は白米に比べてGI値が低いため、血糖値の上昇を穏やかに保ちます。
オートミールは水溶性食物繊維β-グルカンを含み、コレステロールの低下にも役に立つ食材です。
野菜では、以下のものが低GI食品に該当します。
- ブロッコリー
- ほうれん草
- トマト
ブロッコリーやほうれん草には、ビタミンCや鉄分、カリウムが豊富に含まれています。
体のサビつきの原因となる活性酸素を取り除く抗酸化作用があり、体を守る働きをするのがビタミンCです。
鉄分は血液を作って酸素を運ぶ役割を持ち、カリウムは体の水分バランスや筋肉の動きを調整します。
トマトにはリコピンが含まれ、こちらにも抗酸化作用があり、動脈硬化の予防に役立ちます。
低GIな果物は、以下の3つです。
- りんご
- キウイ
- グレープフルーツ
りんごやキウイは食物繊維が豊富で腸内環境の改善に役立ち、グレープフルーツには脂肪燃焼効果があります。
豆類としては、以下のものが低GI食品として優秀とされています。
- 大豆
- 納豆
これらは植物性たんぱく質の供給源であり、食物繊維も多く含まれるため腹持ちが良く、ダイエット中にも最適です。
特に大豆にはイソフラボンが含まれ、ホルモンバランスを整える効果が期待できます。
ここまでに紹介した食品のGI値を、以下の表にまとめました。
玄米 | 55 |
---|---|
オートミール | 55 |
全粒粉パン | 50 |
ブロッコリー | 25 |
ほうれん草 | 15 |
トマト | 30 |
りんご | 36 |
キウイ | 35 |
グレープフルーツ | 25 |
大豆 | 30 |
納豆 | 33 |
参照元:GI値一覧表 | 食の羅針盤-一般社団法人バリアフリーフード普及協会
食品パッケージへのグリセミックインデックス(GI)の表示 世界各国の現状-一般社団法人日本スポーツ栄養協会
高GI食品を低GI食品に置き換える

白米や食パンといった主食の高GI食品は、血糖値を急激に上昇させ、肥満や糖尿病のリスクを高める要因となります。
これを防ぐためには、低GI食品へ置き換えると効果があります。
初めに、白米の代替として提案されるのは玄米や雑穀米です。
なかでも玄米は精製されていないため、血糖値の上昇を緩やかにする食物繊維やビタミン、ミネラルが豊富に含まれています。
さらに押し麦やキヌアなどを混ぜた雑穀米にすると、栄養価と食感が増してより満腹感が得られます。
これにより胃腸への負担が減り、消化吸収が緩やかになり、血糖値の急上昇も抑えられます。
次に、パンは一般的な食パンやロールパンだと精製された小麦粉が使われているため、GI値が高いです。
これを全粒粉パンやライ麦パンに置き換えると、血糖値の急上昇が避けられます。
特に全粒粉パンは精製過程で失われがちな外皮や胚芽が残っているため、食物繊維が豊富で腹持ちが良く、栄養バランスにも優れている食品です。
さらに主食の取り方も工夫し、食事の最初に野菜やたんぱく質を取るベジファーストを意識すると、GI値の高い食品でも血糖値の急上昇を抑えられます。
他にも、冷ましたご飯を使うと吸収が穏やかになりGI値が下がるという研究結果もあります。
日々の食事にこうした工夫を加えると、無理なく血糖管理が可能です。
高GI食品を避けるだけでなく、低GIな代替食品と食品ごとの食べ方の工夫を組み合わせた食事が大切となります。
Whole Wheat Bread Consumption Suppresses Postprandial Glucose Levels in Healthy Adults-Jstage
糖尿病患者における食品の摂取順序による食後血糖上昇抑制効果-Jstage
低GI食品を美味しく食べるためにはコツがある

低GI食品を美味しく取り入れるためには、調理方法や食べ合わせに工夫を凝らすのが重要です。
低GI食品の代表格である玄米や豆類、野菜を使う際は、素材の味を活かす調理法を心掛けましょう。
玄米は炊く前に30分程度浸水させるとふっくらとした食感になり、全粒粉のパンは焼くと香ばしさが増して食欲をそそります。
さらに、豆類は煮込み料理に取り入れると、より献立のバリエーションが広がる食材です。
旨味がスープやカレーに溶け込んで、味わいが豊かになります。
簡素な味付けでもトマトや玉ねぎ、にんにくと合わせると、味に深みが出るため満足度が高まります。
野菜は蒸したり軽く炒めたりすると、シャキシャキ感や甘みが引き出されるためおすすめです。
特にブロッコリーはオリーブオイルで軽くソテーすると風味が豊かになり、低GIのヘルシーさと美味しさを両立できます。
食事の最初に食物繊維が豊富な野菜や海藻類を食べ、その後にたんぱく質源、最後に炭水化物を取ると糖の吸収が緩やかになります。
具体的には、サラダや味噌汁を最初に取り入れてからメインディッシュ、最後に玄米や全粒粉のパンを少量食べるという順番です。
さらに、低GI食品同士を組み合わせると満腹感が持続します。
例えば以下のような献立は、栄養バランスに優れ、美味しく仕上がる組み合わせです。
- 豆腐とアボカドを和えたサラダにナッツを乗せる
- 全粒粉のパスタに野菜たっぷりのトマトソースと豆類を加える
調味料の選び方も、工夫のひとつです。
砂糖や甘味料を控えめにして醤油や酢、スパイスなどで味に変化をつけると、カロリーを抑えながら風味豊かな味わいが楽しめます。
特に酢やレモン汁には胃から小腸への移動を緩やかにする作用があり、血糖値の急上昇を抑える効果も期待できるため、ドレッシングやマリネに積極的に使いましょう。
このように低GI食品は調理法や食べ合わせを工夫すると、健康に配慮しながら美味しく食事に取り入れられるのです。
血糖管理を意識しつつ、食事の満足感を高める工夫のひとつとしてぜひ活用してください。
参照元:玄米と玄米粉の加工適性、健康機能性と利用-農林水産省
コクミでもっと美味しくヘルシーな料理を-味の素ヘルス&ニュートリション
低GI食品は食材選びを意識すると自然に続けられる
低GI食品は、無理な食事制限やストレスを伴う健康管理とは異なり、習慣として自然に続けられます。
低GI食品は味の面でも満足度が高く、食事の楽しみを損なわないのも長く続けられる理由の一つです。
これらの食品は近所のスーパーで手軽に手に入るため、特別な食材を揃える必要はなく、手に取る食品を少し意識するだけで食生活を変えられます。
価格も比較的リーズナブルで、特別な準備や調理技術が必要ないため、忙しい毎日の中でもすぐに実践が可能です。
買い物の際に棚の前で少し立ち止まって、低GI食品を手に取ってみてください。
低GI食品を上手に取り入れ健康的な未来を掴みましょう
低GI食品は血糖値の急上昇を防ぎ、インスリンの過剰な分泌を抑え、過食や肥満の予防に役立ちます。
GI値とは、食品がどれだけ血糖値をどれだけ速く、どの程度上げるかを示す指標のことです。
この指標は健康管理や糖尿病予防、ダイエットにも効果があります。
玄米や全粒粉パン、野菜などの身近な食材を取り入れて食べ方を少し工夫するだけで、血糖管理に役立ちます。
小さな選択が、未来の自分をつくります。
低GI食品を積極的に取り入れ、今日から心も体も健やかな毎日を始めましょう。
あなたの健康的な未来は、いつもあなたの手の中にあります。