高血糖対策は何から始めるべきかをやさしく解説

高血糖対策、何から始めるべきかをやさしく解説

血液中に含まれるブドウ糖は、生きていくためには欠かせないエネルギー源です。

この血液中のブドウ糖濃度が正常値よりも慢性的に高い状態を高血糖といい、高血糖状態が続くと気づかないうちにさまざまな病気を引き起こす可能性があります。

この記事では、高血圧対策は何から始めるべきかをやさしく解説します。

この記事で分かること
  • 高血糖は動脈硬化や心血管疾患などのリスク要因になる
  • 食事による高血圧対策にはさまざまな基本戦略がある
  • 有酸素運動や筋力トレーニングによる血糖コントロール強化方法
  • 睡眠不足とストレスはホルモンに影響を与えて血糖値を上昇させる
  • 高血糖傾向の人が実施すべきセルフモニタリングと改善プラン

高血圧対策のポイントとして、具体的な食事方法や食事内容、有酸素運動や筋力トレーニングによる血糖コントロール強化方法なども紹介しているため、ぜひ参考にしてください。

目次

高血糖は動脈硬化や心血管疾患などのリスク要因になる

高血糖、心血管疾患などのリスク要因

高血糖は糖尿病のみでなく、動脈硬化や心血管疾患、腎障害などの重大なリスク要因として知られています。

高血糖の状態が続くと、血管の内側を覆っている血管内皮細胞がダメージを受けて、コレステロールが蓄積します。

この蓄積したコレステロールは血管内にプラークと呼ばれる塊を形成して、動脈硬化を進行させるのです。

動脈硬化が進行すると、心臓に十分な血液を送れなくなり、狭心症や心筋梗塞と言った心血管疾患を引き起こすリスクが高まります。

さらに脳の血管にも影響が及ぶ場合、脳梗塞や脳出血などの脳血管障害を招く恐れもあります。

他にも高血糖状態が続いて、腎臓の毛細血管が集まる糸球体にダメージが加わると、ろ過機能が低下して腎障害へと進行するのです。

初期段階では自覚症状がほとんどありませんが、糸球体のろ過機能が低下するとタンパク尿が出現し、最終的には腎不全に至る可能性があります。

この結果、透析治療や腎移植が必要になるケースも少なくありません。

このように高血糖は、大血管と微小血管の両方に悪影響を及ぼします。

高血糖によるこれらの病気は、突然発症して命に関わる場合もあるため、未然に予防するのが重要です。

日常的な血糖値コントロールは、糖尿病予防にとどまらず、全身の血管を守る基本的な健康管理でもあります。

食生活の見直しや適度な運動、定期的な血糖チェックを通じて、高血糖による血管への負担を早期に把握するのが将来の重篤な合併症を防ぐ第一歩となります。

食事による高血糖対策としてさまざまな基本戦略がある

食事による高血糖対策。食事内容と食べ方を見直す

高血糖の予防や改善をするためには、日々の食事内容と食べ方を見直すのが非常に重要です。

特に、血糖値の急上昇を避けるのが合併症の予防や適切な血糖コントロールの第一歩となります。

具体的な食事による高血糖対策の基本的な戦略としては、以下が挙げられます。

  • 低GIや食物繊維を含む食品を中心に選ぶ
  • 野菜や豆類、全粒穀物をうまく組み合わせて摂取する
  • 間食や清涼飲料を控えて、糖質総量の管理を行う
  • 規則正しい食事時間を守る

食事による高血糖対策は、特別な制限ではなく、日々の選択の積み重ねが大切となります。

無理のない範囲で継続できる方法を見つけて、自分に合った食習慣を身につけるのが血糖値の安定と健康維持につながります。

低GI食品や食物繊維を多く含む食品は食後血糖値の上昇を緩やかにする

GIとは食後血糖値の上昇度を示す指標のことで、一般的にGI値が55以下のものを低GI食品といいます。

代表的な低GI食品としては、以下が挙げられます。

  • 海藻類(もずくや青のり)
  • きのこ類(しめじやなめこ)
  • 大豆食品(納豆やおから)
  • 野菜類(トマトやブロッコリー)
  • 肉(鶏肉や牛肉)
  • 魚(まぐろやしらす)
  • 乳製品(プレーンヨーグルトやチーズ)
  • 精製されていない麺やパン(全粒粉スパゲッティや全粒粉パン)
  • 果物(グレープフルーツやいちご)

上記のような食品は、食後血糖値の上昇を緩やかにする効果を持ちます。

白米を玄米や食パンを全粒粉パンに置き換えるなど、積極的に低GI食品を活用するのが血糖コントロールをする上で効果的です。

さらに食物繊維にも血糖値の上昇を緩やかにする効果があり、適切な血糖コントロールに役立ちます。

食物繊維を多く含む食品は、以下の通りです。

  • 穀類(玄米やライ麦)
  • 野菜(ごぼうやモロヘイヤ)
  • きのこ類(エリンギやまいたけ)
  • 大豆食品(大豆やいんげん豆)
  • 海藻類(わかめやきくらげ)
  • イモ類(さつまいもやじゃがいも)

食物繊維の1日あたりの摂取目安量は、男性21g、女性18g以上とされているため、毎日意識的に摂取するように心がけましょう。

食事をする際は、食物繊維を多く含む食品を最初に食べると、糖の吸収を緩やかにして血糖値の上昇を抑制する効果が期待できます。

そのため最初に野菜、次にたんぱく質、最後に炭水化物の順番で食べるのが理想的です。

野菜や豆類、全粒穀物との組み合わせが血糖値の急上昇を抑制する

血糖値の急上昇を抑制

食後の高血糖を予防するためには、食材の選び方と組み合わせが非常に重要となります。

中でも、食物繊維が豊富な野菜や豆類、全粒穀物を食事に取り入れるのが効果的です。

これらの食品は、糖質の吸収を緩やかにして、血糖値の上昇を抑制する働きがあります。

そのため白米単体で食べるよりも、野菜のおかずや豆類の料理を一緒に取ると、食後血糖値の上昇を緩やかにできます。

さらに白米を玄米や雑穀米に置き換えるのみでも、糖の消化吸収速度が遅くなり、血糖値の安定につながるのです。

特に豆類は食物繊維に加えてたんぱく質も豊富に含まれており、腹持ちも良く、間食の予防にも役立ちます。

これにより、1日全体の血圧変動を緩やかに保つ効果が期待できます。

血糖値のコントロールは特別な食材に頼るのではなく、日々の食事で何を組み合わせるかが大切です。

安定した血糖値を保つためにも、野菜や豆類、全粒穀物を意識的に取り入れましょう。

血糖値を安定させるために間食や清涼飲料水を控えて糖質総量の管理を行う

血糖値を安定させるためには、1回の食事のみでなく、1日を通した糖質の総量に注意を払うのが大切です。

特に見落とされがちなのが間食や清涼飲料水に含まれる糖分で、これらは血糖値を急上昇させて気づかないうちに糖質の摂取量を増やす原因となります。

以下のような清涼飲料水には砂糖が多く含まれており、少量でも血糖値に強く影響を与えます。

  • ジュース
  • スポーツドリンク
  • エナジードリンク
  • 加糖されたコーヒーやカフェオレ
  • ヨーグルト

さらにスナック菓子や菓子パン、キャンディなどの間食も血糖値を急上昇させて、血糖コントロールを乱す要因になります。

そのため、間食を控えて、飲み物は無糖のものや水、お茶に変更するのが血糖値を安定させる効果的な方法のひとつです。

間食をする場合には、ナッツ類やゆで卵、無糖ヨーグルトといった低糖質で血糖値への影響が少ない食品を選びましょう。

最終的には1日でどれくらいの糖質総量を取っているかを意識して、過剰な糖質摂取を避けるのが血糖値を安定させるうえで重要です。

日々の選択が将来の健康につながるため、糖質総量の管理を意識的に行いましょう。

1日3食規則正しい食事時間を守って血糖値の急上昇を抑制する

血糖値を安定させるためには、1日3回の食事を規則正しく取るのが基本です。

不規則な食事をしたり、食事を抜いたりすると、血糖値の急上昇や乱高下を引き起こしてインスリンの働きを乱す原因になります。

特に朝食を抜いた場合、空腹時間が長くなるため昼食後の血糖値が急上昇する傾向が高くなるほか、過食につながる可能性もあります。

これにより、血糖値のコントロールが難しくなり、将来的な糖尿病や生活習慣病のリスクが高まるのです。

さらに食事の時間が毎日不規則になると、体内の代謝リズムやホルモンの分泌バランスが崩れて、血糖値が不安定になります。

そのため、食事の間隔は4〜5時間を心がけましょう。

さらに同じ内容の食事でも、遅い時間に取ると血糖値が上がる傾向があるため、夕食は可能な限り就寝の3時間前に済ませるのが理想的です。

毎日決まった時間に3食摂取すると、血糖値の急激な上昇を抑制できます。

これは無駄な間食を減らして、結果的に糖質の過剰摂取の抑制にもつながります。

血糖値を安定させるためには食事の内容のみでなく、タイミングも重要な要素です。

毎日の生活リズムの中に、規則正しい食事習慣の取り組みが適切な血糖コントロールへの第一歩となります。

有酸素運動や筋力トレーニングによる血糖コントロール強化方法を知ろう

適度な運動の習慣化。血糖コントロールの強化方法

血糖値を安定させるためには、食事の工夫のみでなく、適度な運動の習慣化が非常に効果的です。

特に有酸素運動や筋力トレーニングには、それぞれ異なるメカニズムで血糖コントロールをサポートしてくれます。

ウォーキングやジョギング、サイクリングなどの有酸素運動は、体内のブドウ糖をエネルギーとして消費してインスリンの効果が高まり、血糖値が低下します。

このような運動は、食後血糖値が最も高くなる食事から1時間後のタイミングでおこなうのが効果的です。

1日30分を目安に、無理のない範囲で継続するのが大切となります。

さらに筋力トレーニングは、筋肉を増やしてインスリン効果を高め、血糖値を低下させます。

筋力トレーニングは週2〜3回のペースで、下半身や体幹を中心に行うとインスリン感受性の向上にもつながり、長期的な血糖管理に有効です。

他にも有酸素運動と筋力トレーニングの組み合わせにより、それぞれの効果を相乗的に高められます。

ただし、運動をやめてしまうと血糖値を安定させる効果は約3日で失われるため、自分に合った運動方法を見つけて継続的に行いましょう。

睡眠不足やストレスは血糖値を上昇させる要因のひとつである

睡眠不足や慢性的なストレスは、血糖値を上昇させる重要な要因のひとつとされています。

これらは体内のホルモンバランスに作用して、糖代謝に悪影響を及ぼします。

睡眠が不足すると、血糖値を下げるホルモンであるインスリンの働きが弱まり、インスリン抵抗性が高まるのです。

その結果、食後血糖値が通常より高くなり、血糖コントロールが乱れる原因になります。

さらにストレスを感じると、副腎皮質からコルチゾールやアドレナリンなどのストレスホルモンが分泌され、これらが血糖値を上昇させる働きをします。

これはストレスから身体を守るための一時的な現象ですが、この状態が慢性化すると血糖値が常に高めに保たれるリスクがあるのです。

このように睡眠や心の状態も血糖値に深く関係しているため、生活習慣の見直しには、心と身体の両方を整える必要があります。

血糖値の安定につなげるためにも、質の良い睡眠を取る工夫やリラックスできる時間を日常生活の中に意識的に取り入れましょう。

高血糖傾向の人が実施すべきセルフモニタリングと改善プランを理解しよう

血糖値が高めの傾向にある場合、放置せずに自分の状態を正確に把握して、生活習慣の改善につなげるのが大切です。

そのためには、日々のセルフモニタリングと具体的な改善プランの実践が欠かせません。

はじめに基本となる自己血糖測定器を活用した血糖値の定期的な測定です。

食前や食後、就寝前などの血糖変動を把握して自分の食事や生活習慣が血糖値にどのような影響を与えているのかが分かります。

自己血糖測定をしたら、血糖値の数値とともに食事や運動のタイミングや症状の有無などを記録に残して、変化を把握するのが改善の手がかりを掴むうえで重要になります。

次に重要なのが、血糖値の測定結果に基づいた具体的な改善プランの実践です。

以下のような改善プランを組み合わせると、血糖値は徐々に安定していきます。

  • 食事では糖質総量の管理や低GI食品の活用
  • 運動ではウォーキングやジョギングなどの有酸素運動や筋力トレーニングの習慣化
  • 生活面では規則正しい睡眠とストレス対策

さらに自己血糖測定により記録したデータを医師に確認してもらうと、より効果的な指導や治療方針の検討にもつながります。

高血糖傾向があるのに気づいたら、早期にセルフモニタリングと生活習慣の改善を始めるのが、将来の糖尿病や合併症を予防する第一歩となります。

健康維持のためにも、セルフモニタリングと生活習慣の改善をともに継続しましょう。

高血糖対策に医学的支援が必要になるケースがいくつか存在する

高血糖対策に医学的支援

高血糖は生活習慣の見直しによって改善できる場合もありますが、状況によっては医学的支援が必要になるケースがあります。

特に血糖値の上昇が慢性的に続いている、または生活習慣のみでは十分に血糖コントロールができない場合には、医療機関でのサポートが必要です。

具体的には、以下のような状況が当てはまります。

  • 空腹時血糖値や食後血糖値が高値を繰り返している
  • 健康診断でHbA1cが基準値を超えている
  • 動悸や疲労感、手足のしびれといった高血糖に関連する自覚症状がでている
  • 生活習慣の改善をしても血糖値の改善が見られない

上記のような場合には医師の診断のもとで、血糖値測定の精密評価や薬物療法の検討が行われます。

さらに管理栄養士による栄養指導や運動指導も、生活習慣の改善を継続する上で大きな助けになります。

高血糖を放置すると動脈硬化や腎障害、神経障害などの合併症リスクが高まるため、早期の医療介入が重要です。

日々のセルフケアに加えて、必要な場面では医学的支援を受けると、より安全かつ効果的に血糖コントロールを進められます。

高血糖対策は日々の生活習慣の見直しと測定の継続が鍵となる

高血糖を予防して血糖値を安定させるためには、一時的な対応ではなく、継続的な生活習慣の見直しと日々の状態の把握が必要です。

特に食事や運動、睡眠、ストレス管理といった基本的な生活リズムを整えるのが適切な血糖コントロールの土台となります。

はじめに見直すべきなのは、過剰な糖質の摂取や不規則な食事時間、運動不足などの日常の習慣です。

毎日の小さな選択の積み重ねが将来的な健康状態に大きく影響を与えるため、食後の軽い運動や野菜から食べる習慣など、自分のできる範囲から積極的に行ってください。

加えて、重要なのが定期的な血糖測定です。

血糖値は目に見えないため、数値確認により自分の体の変化に気づき、早期の対応が可能になります。

自己管理が難しい場合には、医療機関での定期的な検査や栄養指導を受けるのも効果的です。

高血糖は放置するとさまざまな合併症を引き起こすリスクが高まりますが、日々の生活の見直しで、十分に予防や改善ができます。

自分の健康と向き合う意識を大切にしながら、無理なく継続できる工夫を意識的に取り入れましょう。

この記事の監修者

大学病院で糖尿病・内分泌内科の臨床医として経験を積み「リサーチマインドを持った診療」をモットーに日々研鑽を積んでまいりました。当院が少しでもあなた様のお役に立つことが出来れば幸いです。

■経歴
平成21年3月 金沢医科大学医学部医学科卒業
平成21年4月 杏林大学病院 初期臨床研修医
平成26年1月 金沢医科大学病院 糖尿病・内分泌内科学教室
平成30年4月 金沢医科大学病院 助教
平成30年9月 金沢医科大学大学院医学研究科 博士課程修了
令和3年1月 金沢医科大学病院学内講師
令和5年6月 Gran Clinic(石川県金沢市)院長

■所属学会
日本内科学会 認定医
日本糖尿病学会 専門医
日本抗加齢医学会 専門医
日本腎臓学会
日本内分泌学会

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