血糖値の上昇対策としてヨーグルトの善玉菌が効果的に働く

ヨーグルトで血糖値の上昇対策。善玉菌が効果的に働く

血糖値は食事の影響で数値が大きく変動するため、糖尿病や高血糖を対策するには普段から食べる食品を意識する必要があります。

血糖値の上昇対策として有効な食品は複数ありますが、中でもヨーグルトは糖尿病を含めた複数の症状に有効な食品です。

ヨーグルトは腸内環境を整える食品として食べる人が多いですが、腸内環境への効果が血糖値に関してもよい効果を発揮します。

この記事では、血糖値とヨーグルトの関係性について、成分による効果や適切な摂取量などをまとめました。

この記事でわかること
  • ヨーグルトに関する研究結果
  • ヨーグルトの主な効果
  • 1日あたりのヨーグルトの摂取量

食事にヨーグルトを取り入れようと考えている人は、摂取量や食べ方を参考にしてください。

目次

血糖値の慢性的な上昇やインスリン異常は糖尿病の発症リスクを高める

糖尿病の発症リスク。血糖値の上昇やインスリン異常

血糖値は食事で糖質を摂取した場合、一時的に上昇しますが、すい臓から分泌されるインスリンによって元の数値に戻ります。

しかし以下のような状態に該当すると、血糖値を正常な数値に戻せません。

インスリン異常の継続で糖尿病発症
  • 過剰な糖質摂取でインスリンの効果が追いつかない
  • 肥満やストレスなどの体調不良によりインスリンの働きが弱まる
  • 運動不足から摂取した糖質や脂質を体内で消費できていない
  • 上記の症状が慢性化して、少しずつ血糖値が高くなる

インスリンが正常に働かない状態が継続すると、高血糖が当たり前になり、尿に糖が混ざる糖尿病の発症リスクが高くなります。

糖尿病はほかの病気に発展する可能性もあるため、血糖値の上昇を防いで対策する必要があります。

ヨーグルトは糖尿病の発症リスクを低下させる研究結果が出ている

ヨーグルトが糖尿病発症リスク軽減

ヨーグルトに関する研究のうち、糖尿病に関しては以下のような結果が出ています。

  • ハーバード公衆衛生大学院:毎日食べた場合、2型糖尿病の発症リスクが18%低下
  • ケンブリッジ大学:週4~5回食べると、2型糖尿病の発症リスクが28%低下

どちらも繰り返しヨーグルトを食べ続けた場合に、血糖値の上昇を防いで糖尿病の発症リスクが軽減されています。

上記の発症リスクの低下で主な要因になっているのは、ヨーグルトに含まれる乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌です。

発酵食品のヨーグルトはさまざまな菌を含んでいて、人が摂取した際によい効果をもたらすのが善玉菌と言われています。

ヨーグルトは善玉菌による整腸作用からさまざまな症状の対策になる

ヨーグルトに含まれる栄養素や成分がもたらす主な効果は、以下のとおりです。

様々な作用で多面的に健康に寄与
  • 整腸作用:善玉菌による腸内環境の整備
  • 免疫力向上:腸内の善玉菌が優位になって免疫細胞を活性化させる
  • 血糖値の低下:乳酸が食べた食品を小腸へ緩やかに移動させて、急上昇を防ぐ
  • 大腸がん予防:カルシウムにより大腸内の発がん物質を抑制
  • 血管のサポート:ラクトトリペプチドによる血圧上昇作用の抑制

善玉菌以外にも乳製品に含まれる乳酸やカルシウムが、身体によい影響を与えてくれます。

血糖値に関しては整腸作用や免疫力向上から、間接的に血糖値の上昇対策も可能です。

腸内の善玉菌が多いときは、消化力の向上などから太りにくい身体を作る効果があります。

インスリンの働きを弱める肥満を対策できるため、血糖値の正常化に効果的です。

免疫力向上で健康的に過ごせていると、体調不良やストレスが要因でインスリンが弱まるのも対策できます。

ヨーグルトは食べ過ぎると商品によっては糖質過多やお腹が緩くなる

メリットは多いが過剰摂取は注意

複数のよい効果から食べる利点が多いヨーグルトですが、以下の点から身体の調子を悪くしてしまう可能性があります。

  • 糖質過多:食べ過ぎると血糖値の上昇につながる
  • 脂質過多:食べ過ぎると肥満の原因になる
  • お腹の緩み:食べ過ぎや善玉菌の種類が身体に合っていない

ヨーグルトは乳製品である点からある程度の脂質があり、甘いヨーグルトは基本的に砂糖が入っています。

食べ過ぎたときはお腹が緩むだけでなく、糖質や脂質の過剰摂取につながるため、食べる量は意識しなければいけません。

健康面を意識する場合はプレーンヨーグルトや低糖質、低脂質の商品を選んでください。

ヨーグルトに含まれる善玉菌は商品ごとに種類が異なっていて、人によっては身体に合わない菌もあります。

1〜2週間食べ続けてお腹の緩みなどが顕著に見られた場合は、食べるのを一旦やめましょう。

飲むヨーグルトも糖分の少ない機能性表示食品を選択すると候補になる

血糖値上昇対策になるか商品による

ヨーグルトには液体状にした飲むヨーグルトもありますが、商品によって血糖値の上昇対策になるかが異なります。

液体化した食品を飲む場合、固体のときよりも糖質の吸収率が高くなってしまいます。

そのため、砂糖などの糖分を多く含むヨーグルト飲料は、血糖値の上昇対策として飲むのを推奨できません。

一方で、ヨーグルト飲料の中にも糖分を控えめにして、血糖値を下げるのに効果的な飲料として売り出している商品もあります。

商品が機能性表示食品の場合は科学的根拠に基づいて販売されているため、血糖値を下げる効果の信用度は高くなります。

基本的には固形のプレーンヨーグルトが推奨されますが、固形が食べにくい人は機能性表示食品の飲むヨーグルトも選択肢になるでしょう。

ヨーグルトは毎日の間食や就寝3時間前に食べると効果的である

ヨーグルトを食べる時間帯。間食や就寝3時間前が効果的

ヨーグルトに含まれる善玉菌は摂取しても一定期間で腸内から消えるため、血糖値への効果を期待する場合は毎日の摂取が推奨されます。

食べる回数や時間帯は医師などの指定がない場合、商品の表記に従うのが最も効果的です。

血糖値上昇対策には毎日の摂取が必要

食べきりタイプのヨーグルトは1日1個を推奨する商品が多く、1個あたりは70〜100gになっています。

大容量タイプのヨーグルトの場合、摂取量は商品ごとの成分量によりますが、1日1回で100〜200g程度の摂取を目安にしましょう。

ヨーグルトを食べる時間帯については、以下の4つが候補になります。

  • 食前:血糖値の上昇を緩やかにするため、事前に食べるのが効果的
  • 間食:血糖値を急激に上昇させずに、小腹を満たせる
  • 夕方:カルシウムの吸収率が最もよい時間帯とされる
  • 就寝3時間前:腸内活動は夜間が活発であるため、善玉菌を増やせる

それぞれの時間帯でメリットはありますが、1日1回が基準であるため、自身の生活リズムに合う時間帯を選んでみてください。

ヨーグルトの善玉菌を有効活用するためにはほかの栄養素も気をつける

主食・副菜で栄養素を補う

ヨーグルトは多数の栄養素を含んでいますが、補助的な食品であるため、主食や副菜でほかの栄養素をしっかり摂取する必要があります。

ヨーグルトを食べるのと同時に、摂取量を増やしたい栄養素は食物繊維です。

食物繊維は善玉菌の餌になって、腸内の善玉菌を増加させます。

さらに、食物繊維をほかの食品よりも先に摂取しておくと、ヨーグルトと同様に血糖値の上昇を緩やかにする効果もあります。

食物繊維は野菜やきのこ類、海藻に多く含まれているため、主食や副菜で該当食品を増やしてみましょう。

反対に以下のような食事や体調は、悪玉菌を増やす原因になります。

  • 脂質の多い食事
  • 合成保存料が使われた食品の多量摂取
  • 不規則な生活による寝不足
  • ストレス

ヨーグルトを食べるだけで血糖値上昇の対策になるわけではないため、食べ始めと合わせて生活全体も見直してください。

ヨーグルトの摂取で善玉菌を増やして血糖値の上昇を対策しよう

ヨーグルトに含まれる善玉菌は整腸作用を始めとして、身体を健康的にする効果が複数あります。

血糖値に対しては食後の数値の上昇を緩やかにしつつ、太りにくい身体作りや免疫力向上からインスリンを正常に働かせます。

ただし、健康効果を取り入れるためにヨーグルトを多く食べるのは推奨できません。

砂糖入りの商品による糖分過多や身体に合わない菌によって、お腹が緩くなる場合があります。

基本は商品ごとに推奨される摂取量に従って、毎日の間食や就寝3時間前など適切な時間に取り入れてください。

善玉菌は食物繊維により増加する一方で、脂質の多い食生活や不規則な生活で減少してしまいます。

ヨーグルトを取り入れる際は、食事や睡眠など生活全体を見直して、健康的に過ごせるようにしてみましょう。

この記事の監修者

大学病院で糖尿病・内分泌内科の臨床医として経験を積み「リサーチマインドを持った診療」をモットーに日々研鑽を積んでまいりました。当院が少しでもあなた様のお役に立つことが出来れば幸いです。

■経歴
平成21年3月 金沢医科大学医学部医学科卒業
平成21年4月 杏林大学病院 初期臨床研修医
平成26年1月 金沢医科大学病院 糖尿病・内分泌内科学教室
平成30年4月 金沢医科大学病院 助教
平成30年9月 金沢医科大学大学院医学研究科 博士課程修了
令和3年1月 金沢医科大学病院学内講師
令和5年6月 Gran Clinic(石川県金沢市)院長

■所属学会
日本内科学会 認定医
日本糖尿病学会 専門医
日本抗加齢医学会 専門医
日本腎臓学会
日本内分泌学会

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