HbA1c（ヘモグロビンエーワンシー）は、糖尿病の診断・治療を進めていくうえで最も重要な指標のひとつです。
血糖値とは血液中のブドウ糖の量のことを言いますが、これは食事や運動によって常に変動します。つまり測定をしたその“瞬間”を反映したものになります。一方、HbA1cは1～2か月の血糖の平均レベルを反映した指標であり、1度や2度の食事内容や検査当日の運動量の変化など、短期間の変動には大きな影響を受けないことが特徴です。
血糖値が高い状態がずっと続いているのかどうかという「診断」に用いられるだけでなく、血糖コントロールの状況を中長期的に確認できるので、「治療効果」を確認する目的としても用いることができます。
一方で、これはあくまで平均レベルを示す検査ですので、血糖値の変動がどうなのか、ということを確認することはできません。例えば、血糖値の上昇・低下の程度が急激な人と緩やかな人では大分血糖の変動に差がありますが、HbA1cでは一緒の数値になってしまうという欠点があります。HbA1c値が良好な数値であっても、血糖値が急激に変化している場合（血糖値スパイクといいます）は、血管への負担が存在し続けますので、HbA1cだけでは測定できない部分にも注意が必要です。
図：食後の血糖値上昇
日本糖尿病学会の標記では4.6～6.2％が正常値とされています。特定保健指導においては年齢・性別を問わず5.6％未満を維持することとなっています。HbA1cが6.5%以上の場合は「糖尿病型」と呼ばれ、糖尿病であることが強く疑われますが、HbA1cだけでは糖尿病と診断することはできません。また、もしHbA1cが6.5％未満であっても、それに近い数値である場合には、糖尿病あるいはその一歩手前の状態を示す「境界型」である可能性が大いにあります。
境界型であっても全身の血管への影響が全くないということではありません。軽く考えず、この時点から生活習慣を見直すことが肝要です。
注意すべき点としてHbA1cはあくまで血液の成分であるヘモグロビンの一部であるため、
血液に影響がある病気（例えば貧血など）をお持ちであると、数値が変化してしまう事があります。その場合は他の指標を使用して評価することになります。
日本糖尿病学会、日本老年医学会ではHbA1cの目標を上の表のように設定しています。
ご年齢や糖尿病による合併症の有無、併存する疾患、使用している薬剤などによって目標値が異なりますので、もしご自身の目標値がどれに当てはまるのかご存知でない場合には遠慮なく医師に聞いてください。
糖尿病は長く付き合うことになる病気です。つまり糖尿病治療の目的は「糖尿病によって引き起こされる様々な合併症を予防すること」と、それによって、健康な人と変わらない人生を目指すことにあります。「血糖値を下げること」「HbA1cを下げること」だけが目的とならないよう、無理なく続けられる治療で長く継続し、合併症で悩む方が一人でも少なくなるよう取り組んでいきたいと思っております。
AHbA1cは直近1〜2か月の血糖の平均レベルを反映した指標で、特定保健指導においては年齢・性別を問わず5.6％未満を維持することとなっています。6.5%以上の場合は「糖尿病型」と呼ばれ、糖尿病が強く疑われます。ただしHbA1cだけでは糖尿病と診断できませんし、逆に6.5％未満であっても、糖尿病の可能性が否定できませんので要注意です。
A糖尿病合併症の発症・進展予防のために、HbA1cは7.0％未満を目指しましょう。 血糖値で言うと空腹時血糖値130mg/dl未満、食後血糖値200mg/dl未満が目安となります。ただし年齢や低血糖の危険性などを考慮して個別に目標値が設定される場合もあります。
AHbA1cが高いということは、ここ1－2か月の血糖値のコントロールが良くないことを意味します。血糖コントロールが悪いほど、またその期間が長いほど糖尿病合併症が起こりやすくなります。合併症の予防のため、HbA1c値を目標値内にコントロールし、その状態を維持できるようにしましょう。
A当院では外部の検査会社に出すことなく、専用の検査設備があるため、わずかな血液で5分程度で結果がわかります。
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