糖質の少ない食べ物は血糖値の上昇抑制やダイエットなど、複数の健康効果を得られる手段として食されています。
ただし、糖質も体に一定量は必要であるため、糖質制限は正しい知識で行わなければなりません。
糖質が少ない食べ物もほかの栄養素を摂取し過ぎると、健康を害する可能性があります。
この記事では、糖質の少ない食べ物の健康効果や糖質制限の正しいやり方などをまとめました。
- 糖質制限における糖質の多い食べ物の扱い
- 糖質が少ない食べ物から得られる健康効果
- 主食や副菜、デザートの中で糖質が少ない食べ物
- 糖質制限を継続するための工夫
血糖値が気になる人や糖質制限によるダイエットを始めようとしている人は、参考にしてください。
糖質制限は糖質の多い食べ物の摂取量をコントロールする
糖質はごはんやパン、麺類などに多く含まれていて、体を動かすエネルギーの1つとして使われる栄養素です。
糖質の摂り過ぎや急な摂取は、血糖値を急上昇させて、高血糖や糖尿病などの病気に発展する可能性があります。
エネルギーに使われなかった糖質は、体脂肪として蓄積されるため、糖質の摂り過ぎは肥満にもつながります。
そのため、糖尿病の予防やダイエットなどの健康管理として、糖質制限は有効です。
糖質制限は糖質を完全に摂取しないのではなく、1日に必要な分だけ摂取して血糖値をコントロールします。
ごはんやパンでも1日あたりで食べる量や回数を工夫した場合、食べ続けても問題はありません。
ただし、糖質の多い食べ物を食べつつ糖質制限を行うためには、ほかの食材で糖質が少ない食べ物を選ぶ必要があります。
糖質の少ない食べ物は血糖値の上昇や肥満への対策として効果がある

糖質の少ない食べ物で得られる健康効果は、以下のとおりです。
- 血糖値の変動を緩やかにできて、高血糖や糖尿病を予防できる
- 血糖値の急上昇が発生しないため、血糖値スパイクによる血管への負担が減る
- 糖質の摂取量が少ない場合、代わりに脂質やたんぱく質がエネルギーとして優先的に使われるため、肥満を防げる
- たんぱく質や野菜などをしっかり食べた場合、満腹感を維持できる
ごはんや麺類は腹持ちの良い食べ物ですが、たんぱく質や野菜も量をしっかり食べた場合、満腹感を得られます。
そのため、ダイエットの視点で考えると食べる量を減らさずに、継続できます。
糖質の摂取量は個人で必要なエネルギー量や血糖値の状態で変わる
1日あたりの糖質の摂取量は性別や体重などで変わりますが、目安としては個人で1日に必要な推定エネルギー必要量の50〜65%です。
推定エネルギー必要量と糖質の摂取量は、以下の式で計算できます。
- 1日に必要な推定エネルギー必要量(kcal)= 基礎代謝量 × 身体活動レベル
- 基礎代謝量=基礎代謝基準値(kcal/kg体重/日)× 該当年齢の平均体重にあたる参照体重(kg)
- 身体活動レベル=レベルⅠ~Ⅲに分けられた男女共通の年齢階級別にみた身体活動レベルの群分けを参照
- 1日あたりの糖質の摂取量(g)=(1日に必要な推定エネルギー必要量 × 0.50~0.65)÷ 4(炭水化物は1g約4kcal)
たとえば、30代の男性で身体活動レベルがレベルⅡのふつうに該当する場合、1日に必要な推定エネルギー必要量は2,747kcalです。
上記の計算式から糖質の1日の摂取量は343〜446gとなるため、この数値を基準に食事における糖質の摂取量を調整します。
自分で糖質の摂取量を把握するのが難しい場合は、病院で医師や栄養士に相談しましょう。
糖質の少ない食べ物の中で主食や副菜向けの食材を紹介

糖質制限を行う際に食べる糖質の少ない食べ物の例は、以下のとおりです。
- 主食:脂身の少ない肉や魚、卵や大豆製品などのたんぱく質
- 副菜:食物繊維を多く含む野菜やキノコ類、海藻類
- 物足りない場合の追加食材:こんにゃくやしらたき
- デザート:ナッツや無糖ヨーグルト、低糖質チョコレート
糖質が多い食べ物を食べる場合、主食や副菜で食べる量を増やすと、摂取量を減らせます。
満足感を増やしたい人は、主食や副菜にこんにゃくやしらたきを加えると、物足りない量も補えます。
間食を取るときもなるべく糖質が少なく、血糖値の上昇も抑制できる食材を選ぶと良いでしょう。
たんぱく質の多い食材は脂質量の調整や良質な脂質の選択が肥満対策になる
ごはんやパンの代わりとしての主食は、たんぱく質の多い食材が満足感を得られる点で推奨されます。
たんぱく質の多い食材の代表例は、以下のとおりです。
- 肉:たんぱく質は豊富だが、部位によっては脂質が多い
- 魚:不飽和脂肪酸で肉よりも健康的に脂質を摂取できる
- 卵:全体的に栄養価は高いが、多量に食べると脂質過多になる
- 大豆:たんぱく質が豊富で、食物繊維が含まれている
魚は不飽和脂肪酸、大豆は植物性の油で健康的に脂質を取り入れつつ、たんぱく質を確保できます。
ただし、大豆の場合は肉類と同じ量のたんぱく質を摂取するためにある程度の量が必要です。
肉類も脂身や皮など脂質が多い部位を取り除くと、たんぱく質と合わせて適量の脂質を摂取できます。
卵の摂取量は1日1〜2個が目安ですが、卵の種類や大きさによって1個あたりに含まれる栄養素は変動します。
糖質が少ない主食の具体例は、以下のとおりです。
100gあたり | とりの胸肉 (皮なし) | 魚のあじ (水煮) | 生卵 | 国産大豆 (茹で) |
---|---|---|---|---|
カロリー | 113kcal | 136kcal | 336kcal | 163kcal |
たんぱく質 | 24.4g | 22.4g | 16.5g | 14.8g |
脂質 | 1.9g | 5.9g | 34.3g | 9.8g |
食物繊維 | 0g | 0g | 0g | 8.5g |
炭水化物 | 0g | 0.1g | 0.2g | 8.4g |
糖質 | 0g | 0.1g | 0.2g | 0g |
食塩相当量 | 0.1g | 0.3g | 0.1g | 0g |
筋トレの際によく食べられるとりの胸肉は、皮を取り除くと大幅に脂質を抑えて、たんぱく質も多く摂取できます。
しかし、ここまで脂質を取り除くのは極端な例であるため、国産大豆や卵の脂質量でも調整した場合は問題なく食べられます。
野菜の中でも糖質が多い野菜は1日あたりの摂取量を調整する
野菜はビタミンなどの栄養素から健康的な食材に見えますが、野菜の種類によっては糖質を多く含んでいる可能性があります。
糖質が多い野菜の代表例は、以下のとおりです。
- じゃがいもやさつまいもなどの多くのいも類
- 人参やれんこんなどの一部の根菜類
- かぼちゃ
- とうもろこし
サラダに使われる人参やごぼうは栄養価が高いですが、糖質制限においては食べ過ぎると糖質の摂取量を増やします。
野菜スティックなどで少量を食べる場合は問題ありませんが、野菜炒めなどで大量に入れると血糖値にも影響が出ます。
野菜やキノコ類に多く含まれる食物繊維は血糖値の上昇を緩やかにする
食物繊維は糖質の吸収を緩やかにする効果があり、食事の最初に食べておくと、後から食べた糖質による血糖値の急上昇を防げます。
食物繊維を多く含む食材の代表例は、以下のとおりです。
- 野菜:ビタミンなど豊富な栄養素を含んでいるが、糖質が多い場合もある
- キノコ類:種類に限らず、全体的に食物繊維が多い
- 海藻類:ミネラル成分も多い
- 大豆類:たんぱく質も多い
ビタミンが足りない場合は野菜中心、ミネラル成分を増やしたい場合は海藻類を増やすなど、食物繊維と同時に足りない栄養素を補えます。
食物繊維の多い食材の具体例は、以下のとおりです。
100gあたり | ブロッコリー | わかめ | まいたけ |
---|---|---|---|
カロリー | 30kcal | 20kcal | 27kcal |
たんぱく質 | 3.9g | 1.6g | 1.6g |
脂質 | 0.4g | 0.3g | 0.5g |
食物繊維 | 4.3g | 4.3g | 4.3g |
炭水化物 | 5.2g | 4.9g | 6.4g |
糖質 | 0.9g | 0.6g | 1.9g |
食塩相当量 | 0g | 0.7g | 0g |
いずれも食物繊維の含有量は同じですが、それぞれ食感や味は異なります。
海藻類やキノコ類は旨味成分も強いため、野菜類と混ぜて味による満足感を増やすとおいしく食べられるでしょう。
こんにゃくやしらたきは糖質がほとんどない食材で満腹感を高められる
主食や副菜で満腹感が足りない場合、こんにゃくやしらたきが追加する食材の候補です。
両方ともこんにゃく芋を原料としていて、糖質が多いほかのいも類とは異なり、糖質はほとんど含まれていません。
こんにゃくやしらたきの栄養素は、以下のとおりです。
100gあたり | こんにゃく | しらたき |
---|---|---|
カロリー | 5kcal | 7kcal |
たんぱく質 | 0.1g | 0.2g |
脂質 | Trg | Trg |
食物繊維 | 2.2g | 2.9g |
炭水化物 | 2.3g | 3.0g |
糖質 | 0.1g | 0.1g |
食塩相当量 | 0g | 0g |
どちらも栄養素上では大きな違いがないため、形や食感から好きなほうを選びましょう。
小腹がすいた際はナッツ類やヨーグルトを選ぶと健康的に食べられる
小腹がすいた際の間食としては、以下の食材が糖質が低めで健康的に食べられます。
- ナッツ類:食物繊維や植物性の良質な脂質、ミネラルなどを含む
- ヨーグルト:乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌が整腸作用や免疫力を向上させる
- チョコレート:カカオポリフェノールの抗酸化作用から複数の健康効果が得られる
ただし、いずれの食材も商品によっては、砂糖や脂質量が多い可能性があります。
ヨーグルトは無糖や低糖質の商品が販売されているため、食事で糖質の摂取量が多い場合でも間食で食べられます。
チョコレートはミルクチョコレートよりもダークチョコレートのほうがカカオ含有量が多く、砂糖も控えた商品があります。
間食向きの食材の栄養素は、以下のとおりです。
100gあたり | らっかせい(乾燥) | ヨーグルト/低脂肪無糖 | スイートチョコレート/カカオ増量 |
---|---|---|---|
カロリー | 572kcal | 168kcal | 539kcal |
たんぱく質 | 25.2g | 3.7g | 8.9g |
脂質 | 47.0g | 1.0g | 41.3g |
食物繊維 | 8.5g | 0g | 13.1g |
炭水化物 | 19.4g | 5.2g | 43.3g |
糖質 | 10.9g | 5.2g | 30.2g |
食塩相当量 | 0g | 0.1g | 0g |
らっかせいやスイートチョコレートは100gあたりであるため、数値は高いですが、実際に間食で食べる量によって数値が減ります。
料理に使う調味料でも糖質の量を意識して商品を選ぶ

糖質の少ない食べ物を意識して選んだ場合でも、調味料に含まれる糖質の量を理解していないと、糖質制限の意味がなくなる可能性があります。
調味料は食材と比較して糖質の含有量は少ないですが、調理方法によっては大量に使うため、糖質制限においては無視できません。
そのほかにも以下の調味料は、100gあたりで糖質の含有量が多い部類に入ります。
- 蜂蜜:81.7g
- コショウ:黒66.6g、白70.1g
- みりん:43.2g
- からし:40.1g
- わさび:39.8g
- みそ:37.9g
- ウスターソース:26.6g
- ケチャップ:25.9g
商品の配分にも寄りますが、味付けで大量に使う場合はほかの調味料に置き換えましょう。
調味料の中でも100gあたりで比較的糖質が少ないものは、以下のとおりです。
- マヨネーズ:卵黄型0.6g、全卵型3.6g、低カロリータイプ2.5g
- バター:0.2g
- サラダ油:0g
- 食塩:0g
脂質や塩分量が多い調味料もありますが、糖質の含有量に関しては多くの商品で少なく調整されています。
料理に使う食材の脂質や塩分量と照らし合わせて、糖質が少ない調味料を活用してください。
糖質制限は栄養バランスを意識しつつ新しい食材や調理方法を楽しむ

糖質制限で一部の食材や料理が食べられないと、ストレスを感じる可能性があります。
重要なのは1度に大量に食べない、食べ過ぎない点です。
ストレスを感じてやけ食いで血糖値を急上昇させるよりは、適度に食べるほうが心身ともに健康的に過ごせます。
糖質制限を継続するうえでは、新しい食材や料理に挑戦するのも1つの手です。
肉の部位や野菜の種類が変わると味や食感も変わって、料理に使う際の組み合わせも増やせます。
同じ食材のほうが栄養バランス上は安定しますが、同じ食材で飽きないように新しい食材も取り入れてください。
糖質の少ない食べ物で適度に糖質制限しながら健康効果を得る
糖質制限は糖質を一切摂取しないわけではなく、食材選びや食べる量で調整しながら適切な範囲で糖質を摂取していきます。
ごはんやパンなどの糖質が多い食べ物は1食あたりの量を減らしつつ、糖質が少ない食べ物を積極的に取り入れましょう。
主食はたんぱく質の多い肉や魚、副菜は食物繊維の多い野菜やキノコ類、海藻類が適しています。
調味料も種類によっては一定数の糖質が含まれるため、比較的糖質が少ないマヨネーズやバターなどが味付けの候補です。
糖質の摂取量に加えて、たんぱく質や脂質の量も意識しながら、栄養バランスの良い食事を心がけてください。