糖尿病とはインスリン(膵臓から出る血中の糖を細胞内に移行させることで血糖値を下げるホルモン)作用の不足に基づく慢性の高血糖状態により動脈硬化が進行し神経障害、視覚障害、腎障害を引き起こす他に脳卒中、心筋梗塞のリスクにもつながる疾患です。
のどの渇き、疲れやすいといった代表的な症状を自覚することもありますが、全くの無症状で健診を受けて初めて指摘されることも多いです。
膵臓のインスリンを作る細胞が壊れて発症する1型、生活習慣などによってインスリンの分泌障害や作用低下が起こって発症する2型に分けられ、糖尿病の95%以上が2型です。日本では、40歳以上の3人に1人が糖尿病やその予備群とされています。
この病気は、主に自己免疫学的機序により、膵臓にあるインスリンを分泌するβ(ベータ)細胞が破壊され、インスリンが出なくなるため高血糖状態となり、糖尿病を発症します。比較的、短期間で急激な高血糖となって発症するタイプです。多くは幼児から15歳以下の小児期に比較的急激に発症することが多く、かつて「若年型糖尿病」とも呼ばれていました。2型糖尿病に比べると少ないですが、毎年約1万4千人の患者さんが発症し、全国で約21万人が治療を受けていて、決して希な疾患ではありません。発症には地域差があることが知られており、フィンランド、スウェーデン、ノルウェーなど北欧諸国に多く見られます。日本国内での地域差はないとされています。しかし、成人にも発症する事がありますので、小児だけの病気ではありません。
皆さまがご存知のいわゆる生活習慣病としての糖尿病です。遺伝的な素因があって、肥満、運動不足、ストレスなどの生活習慣の乱れが重なって発症します。インスリンの分泌に問題があるインスリン分泌障害や、インスリンが十分に作用しないインスリン抵抗性によって血糖値が高い状態が慢性的に続きます。40歳以上の発症が多く、早期であれば食事や運動などの生活習慣改善だけで十分な効果が得られる場合もあります。効果が得られない場合には、内服薬やインスリンなどの自己注射治療を併用します。
糖尿病はかなり進行しないと自覚症状がほとんどありません。下記のような症状に気付いたら、できるだけ早く受診してください。
上記2つのタイプの糖尿病のほかに、遺伝子異常によることが明らかになった糖尿病や、他の病気や薬の副作用(ステロイドなど)の結果、インスリンの分泌がなくなったり、その働きが妨害されて引き起こされる糖尿病もあります。
妊娠糖尿病とは、妊娠中にはじめて発見された糖代謝異常です。お母さんが高血糖であると、おなかの中の赤ちゃんも高血糖になり、さまざまな合併症が起こり得ます。
妊娠高血圧症候群、羊水量の異常、肩甲難産、網膜症・腎症およびそれらの悪化
流産、形態異常、巨大児、心臓の肥大、低血糖、多血症、電解質異常、黄疸、胎児死亡など
食事運動療法でコントロールが不十分な場合はインスリン治療を必要とします。当クリニックでは妊娠糖尿病の妊婦さんへの栄養指導やインスリン治療を行なっています。
糖尿病は今や国民病と呼ばれるほどに増え続けており、血糖コントロールが悪い状態が継続することは、神経障害、網膜症、腎症の三大合併症をはじめとした全身の合併症が出現する危険につながります。
しかし、わが国の糖尿病の95%を占める2型糖尿病の実情は、かなり長い年月病状がないため無治療に放置され、そのために合併症に苦しむ方が少なくありません。
当院では、糖尿病の適切なコントロールによる合併症予防を目指して、患者様おひとりおひとりの糖尿病の状態に合わせて治療方針を検討し、患者様ご自身と一緒に考えながら、ライフスタイルに合わせたきめ細かい治療をご提案させていただきます。
血液検査で血糖値とHbA1cを調べて糖尿病の状態を評価します。
血糖値は変動しやすいため、糖尿病のコントロールを調べるときはHbA1cを用います。
糖尿病治療においては①適切な食事/②適切な運動/③適切な治療薬の3つの柱が重要です。
当院では食事、運動につき患者さんのライフスタイル、お体の状態に応じ、適切と考えられる方針を一緒に考えます。また治療薬が必要な際は飲み薬、注射薬の中で最適と考えられるものをご提案いたします。
適正な体重を維持するためにカロリーをコントロールします。男性であれば、1日1400-2000kcal、女性であれば1日1200-1800kcalが目安になります。(体型や活動性により異なる)
また、各栄養素(炭水化物、脂質、たんぱく質)をバランスよく摂取しましょう。間食を避けて、食事はよく噛んでゆっくり摂取しましょう。また血糖値の上昇が緩やかな食品を摂取しましょう。
当院では、管理栄養士による食事・栄養指導を行っております。
運動することでエネルギーを消費し、血糖値を下げていきます。またインスリンの効果上昇も期待できます。ウォーキング、軽いランニングなどの有酸素運動に加えて、筋力トレーニング、レジスタンス運動、バランス運動も行うと効果的です。無理せず、継続できる範囲で運動していきましょう。
小腸での糖の分解・吸収を抑えて血糖の上昇を抑制します。
肝臓からの新たな糖の放出を抑えたり、筋肉などの組織におけるインスリンの効果を上げたり、消化器官からの糖の吸収を抑えたりと様々な効果があります。
インクレチンという食事をした時のみ血糖を下げるホルモンの働きを強化して血糖の上昇を抑制します。
膵臓からのインスリン分泌を促します。
スルホニル尿素薬よりも早く、服用後すぐにインスリン分泌を促進し、それを早く消化します。食後の血糖上昇に対する効果が高いです。
体の組織のインスリンに対する抵抗性を改善することができます。
血液中の余分な糖を腎から尿へ排出します。
インクレチンホルモンであるGLP-1と同様の作用をする薬です。血糖値が上がってきた時だけインスリン分泌を促進します。他にも胃から食べ物が排泄されるのを遅らせたり、食欲抑制作用もあります。
当院の診察・指導を行うのは、日本糖尿病学会専門医の小倉 慶雄です。
大学病院に長く勤めており、糖尿病を中心に内科医師として活躍しております。
糖尿病の治療は、途中で中止してしまう方や、精神的に落ち込んで治療がうまくいかなくない場合があります。特に糖尿病は医師との関係により治療を中断される方も多くおられます。そうならないように糖尿病の方と一緒に寄り添っていくような関わり方を目指しております。
糖尿病の初期においては、健康診断などで尿に糖がでている、血糖値がやや高いと指摘はされることがあっても、そのころはまだ自覚症状のない方がほとんどです。この状態を数年放置すると持続的な高血糖によって全身の血管が障害され、合併症による症状が出現することがあります。
おもに全身の細い血管が障害されて症状が起こります。いずれも初期には自覚症状がないため、定期的な検査が必要です。
三大合併症の中で最も早く出る症状です。手足のしびれ、怪我や火傷の痛みに気づかない等、手足の末梢神経障害の症状が出ます。
その他筋肉の萎縮、筋力の低下や胃腸の不調、発汗異常、立ちくらみ等、様々な自律神経障害の症状も出ます。
2.網膜症
眼球の網膜という部分の血管の障害により眼底出血や浮腫を引き起き越します。初期には見え方の異常を伴わず眼底検査でのみ異常を指摘されることが多いです。見え方に問題がなくても必ず定期的に眼科で眼底検査を行うこと、早期に発見し加療することで失明への進行を阻止することが重要です。日本での失明原因の2位です。(1位は緑内障)また、白内障になることも多いといわれています。
3.腎症
動脈硬化による腎障害が進むと、腎臓のザルとしての機能が低下し、尿中に蛋白が漏れ出します。尿検査で蛋白の漏れ、血液検査で腎機能の評価を行います。進行すると、腎臓の機能が停止し腎不全となり、透析治療が必要な状態になります。人工透析になる原因の1位がこの糖尿病腎症です。
4.その他の合併症
脳梗塞、脳卒中、心筋梗塞、皮膚病、感染症、下肢閉塞性動脈硬化症、など。当院では、胸部レントゲン、腹部エコー、心電図、CAVI(血管年齢測定)なども必要に応じて行います。
糖尿病の治療方法は、患者様の状態によって多様です。生活習慣(食事、運動)の改善が非常に重要で有効で、患者様お一人お一人と一緒に考えながら、実行可能で継続できる方針を探ってまいります。薬物治療が必要な場合には、患者様の病状にあわせて、生活習慣、年齢を加味して選択します。また必要であればインスリンなどの注射での治療も含め適切な治療方針を検討いたします。糖尿病は高血圧、高脂血症の合併も多く治療もあわせて行う必要もあります。糖尿病のコントロールを良好に維持し、患者様おひとりおひとりにより良い日々を過ごしていただきたいというのは、私どもスタッフの共通した願いです。
糖尿病療養指導を行っています。インスリン注射や血糖測定方法の説明、日常生活での困ったことなどの相談・質問をお受けし、治療意欲を継続するための支援を行います。
医師の指示のもと、糖尿病や高血圧、脂質異常症など、病状の改善に食生活の改善が必要と判断された方に対して個別に管理栄養士による栄養相談を行っています。皆様の生活や家族背景などをお伺いして、「実行可能で続けられること」を一緒に考えてまいります。今までの生活習慣を少しでも改善していただき、健やかにすごしていただけるようサポートさせていただきます。
A 大別すると7種類の飲み薬、その他注射薬があります。
飲み薬は膵臓に作用しインスリンの分泌を促す薬、インスリン抵抗性を改善する薬、尿中への糖の排泄を増加させ血糖値を下げる薬、腸からの糖の吸収を緩やかにする薬があります。これらから年齢、肥満度、腎機能に応じ最適と考えられるものをご提案いたします。
A2016年国民健康・栄養調査で「糖尿病が疑われる人」約1000万人、「糖尿病の可能性が否定できない人」約1000万人と推定されました。
A糖尿病のコントロール状況を把握するために血液検査でHbA1c、血糖値を調べることはもちろんですが、腎機能障害の進行評価として尿検査を、また動脈硬化の進行を評価するためのCAVI/ABI検査を、脂肪肝の合併も多く定期的な腹部エコー検査もお勧めいたします。
電話でご予約
LINEでお問い合わせ
WEBでご予約(24時間受付可能)
■ 当院は事前の予約なしで診察を受けることができます。
■ 保険診療のご予約は午前もしくは午後のご予約になります。
お時間を指定することはできません。
(また、ご案内はご来院順となりますので、予めご了承ください。)